ウルトラマンへと変身した新星は構えをとって男達を見据える。
男達はさっきとは打って変わって新星の姿を見た途端に狼狽始める。
「ウルトラマンだと……?」
「ただパワードスーツを着ただけではないか」
「だがあの姿は……」
そして変身した新星を見て、リトと美柑は目を見開いて驚いていた。
「新星さんが……」
「ウルトラマン!?」
リーダー格の男が手を上げると狼狽えていた男達は整列して姿勢を正す。
「どんな者だろうが我らの宿願を邪魔すると言うのであれば排除するのみ……撃て!」
リーダーの合図と共に一斉に光線銃が放たれるがそれと同時に新星も大きく跳躍して光線を避けながら男達に向かって突撃する。
着地すると共に一番近い男を掴むと他の男達を巻き込むように放り投げ、次に近い男の腕を掴むとその超人的な腕力で背負い投げをして地面に叩きつける。
凄まじい力で叩きつけられ、地面にヒビが入る程だ。
すると男の顔にノイズが走ったような光が差し、その顔は表皮が紫色で4つ目の異星人へと変わった。
「ハンカ星人だったのか」
その異星人に見覚えがあった新星は名前を呟くと残党が光線銃で攻撃してくる。
新星は光線をアクロバットに避けながら敵に近づき、拳と蹴りで倒していく。
「くっ……予定外だ。これを使うことになるとは……」
次々とリーダーの男はそう呟きながら手に持つ紫色の薬品が入った注射器を見る。
部下の最後の1人を倒し、リーダーの方を向いて新星は警告する。
「どうする?部下は全員倒した。大人しく引き下がるならもう攻撃しない」
「………我らの宿願を叶えるために止まるわけにはいかないのだ!」
リーダーは強く言うと自分の首に注射器を押し当て、スイッチを押す。
注射器に入っていた紫色の薬品が注入されると男の体は肥大化し、体は鱗に覆われ黒く変色していく。
口は爬虫類のような形になり鋭い牙が生える。
「な、なっなんだありゃ!」
「どんどん大きく……」
「怪獣ブーストか」
新星がそう呟くと男の変身は終わった。
頭と肩に鋭い角と丸太のような太い尻尾が生え、全長3メートルを超える姿は正しく怪獣だった。
『グオオアアァァッ!!!』
怪獣は雄叫びを上げて、ウルトラマンに近づいてその太い腕を振るう。
その攻撃を避けるが尻尾の攻撃を読みきれずに脇腹にくらってしまうが、
咄嗟に尻尾を掴んで受け止める
「フンッ!」
尻尾を掴んで振り回し、怪獣を投げ飛ばした新星は怪獣に向かって、右腕を立てて左腕を交差させる。
「スペシウム光線!」
左腕を下ろすと光線が発射され、怪獣に直撃し爆発を起こした。
怪獣が動かなくなったのを確認すると新星は後ろで隠れていたリト達に顔を向ける。
その顔は戸惑い、若干の恐怖が見えており新星はヘルメットの下で複雑そうにしていた。
「こ、殺したのか?」
「いや、今はスタンモードにしてるから気絶してるだけさ」
動かないハンカ星人を見ながら説明を受けると今度は新星の姿をまじまじと見る。
「本当にウルトラマンなんだな……」
「………」
なんとも言えない重い空気が流れるがここで立ち止まっていても仕方ないと思い、行動を起こす。
「ここにいたら新手が来るかもしれない。早く移動しよう」
新星に続いて倉庫から出ると、彼らの前にまた同じ顔の男達がズラッと並んでいたがその数は先の何倍もある。
その背後には4つ足の戦車のような戦闘機まである。
「まぁ、まだいるよな」
「こんなにまだいるの……!?」
「うっ、くそ……!」
美柑とリトはその数に恐怖するが新星は2人を守るように前に出る。
すると男の1人が話し出す。
「ここで諦める訳にはいかないのだ。我々は何がなんでも宇宙の覇権を取らなければいけない……さもなければ我々は……」
男が腕を上げると周りの男達の姿が異星人になり、全員が武器を構えて新星達を狙う。
ハンカ星人が合図を出そうとした瞬間、異星人の軍団の後方で爆発が起きた。
後方からゴツく機械的なバイクが周りを蹴散らしながら進んでくる。
バイクのタイヤが大きく跳ねると軍団を通り越して跳躍し、新星達の前に着地する。
そのバイクに乗っていたのはウルトラマンとよく似たスーツだが、色は紺色とメタルグレーでウルトラマンと正反対でヘルメットに剣のような角が生えている。
「キリタ!」
「本名で呼ぶな、馬鹿が」
「あっ、ごめん。遅いって『キャリバー』!」
キリタこと、コードネーム『キャリバー』はバイクから降りて固まっているリトと美柑を見る。
「対象は無事だったようだな」
「あぁ、相手はハンカ星人だ。アイツら意識を共有する特徴があるから他にも来るぞ」
「安心しろ。もう終わらせてきた」
そう言うと今度はバイクと車のエンジン音が響いて、新星達の前に黄色のカマロとピンクと白のバイクが止まり、車からはアラシ、バイクに跨っていたスラムが降りる。
「アラシさん」
「隊長と呼べ。母船は抑えた。あとはアイツらだけだ」
その言葉にハンカ星人に動揺が走る。
「馬鹿な!?我が軍最大の母船なんだぞ!?」
「俺たちのことを舐め過ぎだ。お前達が結城リト達に夢中になっている間に俺たちが拘束させてもらった。もう終わりだ。諦めて投降しろ」
アラシの言葉に狼狽えるハンカ星人、実際に母船にいる同胞に意識を共有させようとしたがノイズが走って出来ない。
怒りがこもった目で新星達を睨む。
「貴様らぁ……!許さんぞ!!」
男の怒号と共にハンカ星人達は光線銃で攻撃してくる。
「ノヴァ、キャリバー頼むぞ」
アラシはそう言ってリト達の所まで下がると新星は両腕の武器、『スペシウムカッター』を展開し、敵に突撃する。
キリタもバイクから機械的で鍔のない刀を抜くと新星に続いて敵に向かっていく。
「バンブルビー、アーシーも行ってくれ」
アラシがカマロとバイクに向かってそう言うと誰にも乗っていないのにも関わらず、エンジン音が一度鳴ると
車、バイクからロボットへと変形していく。
現在の地球ではあり得ない現象にリトと美柑は目を丸くして驚く。
「『やってやるぜ!』『あの程度瞬殺だ』」
「ビー、油断はしないように」
車から変形した黄色を基調としたロボット、『バンブルビー』はラジオを介した言葉を発しながら腕をブラスターへと変形させて、その横でバイクから変形した女性型のロボット、『アーシー』はバンブルビーに注意しながら新星達に続く。
突撃してくる新星達にハンカ星人は攻撃してくるが新星は光線を躱してハンカ星人に殴る、蹴るで次々と倒していき、キリタはスペシウムエネルギーを刃に纏った刀を素早く振って敵を倒していく。
囲まれても体術や、腕から射出できる爆破クナイを使って難なく倒していく。
その光景を見て、ハンカ星人のリーダーは体を怒りでワナワナと震わせる。
「我が軍団が……こんな、こんな奴らに負ける筈がっ!!」
そう叫ぶが新星のスペシウム光線に飲み込まれ、リーダー含む全てのハンカ星人は倒された。
急変し続ける事態にリト達は呆然とした表情になり、そこにアラシが声をかける。
「取り敢えずの事態は片付いたな。悪いが私達について来て貰おうか」
「え!?な、なん」
「答えは聞いていない」
アラシがそう言うながら懐から出したライトの光を当てるとリトと美柑の意識は遠のいてしまった。
○
2人は気がつくとどこかのオフィスの椅子に座っていた。
周りには窓がなく、どこにいるのかも分からない。
そして、彼らの前には新星を始めとするS.S.S.Tのメンバーが揃っていた。
突然の事態に困惑する2人に新星は申し訳なさそうにする。
「まず、手荒な真似をして申し訳ない結城リト君、結城美柑さん。我々は科学特別捜査隊、S.S.S.Tのメンバーだ。私は隊長を務めているアラシ、よろしく頼む」
「私はスラン。見た目は地球人だけど異星人よ。ここの諜報員をしてるの」
スランはそう言って自分の手をスライム状に戻して見せる。
すると今度は20代前半で黒髪の男が話し掛ける。
「僕はエンカ。ここの戦闘兼諜報員だ。君たちの護衛には滅多に回らないけど度々会うことになるかもしれないからよろしく」
「そこの仏頂面のメガネは戦闘兼諜報員キリタだ。彼も護衛には回らないが助っ人として会うこともあるだろう」
アラシが部屋の隅で腕を組んでもたれかかっているキリタを紹介する。
キリタはリト達を一瞥して目を伏せた。
「そして、まぁ紹介しなくてもいいと思うがチームの戦闘員であるシンセイだ。こいつが主に君たちの護衛に当たる」
新星は気まずそうにしてリト達と顔を合わせない。
「あと今は倉庫にいる戦闘員のバンブルビーとアーシ。そして、もう1人衛生員がいるが……コイツはいつか顔を合わせるだろう」
アラシはリトと美柑に向き直って両手を広げる。
「これがS.S.S.T日本支部所属広域活動部隊『αチーム』のメンバーだ。これから君たち結城一家を護衛する。どうぞ、よろしく」
宇宙人紹介
⚫︎ハンカ星人
第23星雲に属する惑星『ノロクス』の異星人。
外見は紫色の皮膚に4つの切れ長の目がある。
特性は意識を共有しており、半径500m以内であればテレパシー能力を使える。
身体能力は地球人を軽く凌駕している。
デビルークが統治している連合に属しているが序列は低く、権威はそれほどない。
また戦争後の復興がうまくいかず危機的状況であるため、権力を強めようとララとの婚約者候補に名を挙げていたが候補の中でも序列が低いため今回リトを襲撃した。
※元ネタは『ジャンプ⚪︎走中』のハンター