αチームの紹介を終えたがリトは考えが追いつかず、呆然としてしまう。
それに気づいたアラシが再度声をかけた。
「質問は?」
「……え?あぁ……頭が追い付かねぇけど、えっと……そ、そうだ!な、なんで新星がウルトラマンなんだよ!?というかいつから!?」
「まず自分が襲われた理由を聞きたい思ったが……彼は特異な能力を持っておりS.S.S.Tがスカウトした。ウルトラマンとして活動したのは2年前から。他には?」
「え、えーと……!S.S.S.Tって何だよ!?」
「科学特別捜査隊隊、通称S.S.S.T。地球に訪れる異星人の取り締まり、監視、対策を行なう組織だ。もういいか?」
「え、えぇ……じゃ、じゃあ次は……」
「もう!リト、落ち着いて!何で私たちが狙われたんですか!?」
アラシの圧力にしどろもどろになるリトを抑えて美柑がアラシに質問する。
アラシは漸くかと言わんばかりの顔になる。
「それは結城リト、お前がララ・サタリン・デビルークの婚約者第一候補になったからだ」
「は……?」
「ララさん……の?」
ララの名前が出て訳が分からないと言った顔になる。
「デビルークは銀河連合の主席惑星…‥いわばこの宇宙のトップだ。ララ王女はその星の王位継承者第一位、つまり次の宇宙のトップ。その婚約者ということは宇宙の頂点に立つということだ。銀河中がその席を狙う」
「「………」」
リトと美柑は突然のスケールの大きさに黙って聞いてしまう。
「そして、その婚約者の第一候補となった君は宇宙中から狙われる」
「な、何で!?」
リトは椅子から立ち上がるがそれを気にした様子もなくアラシは淡々と話す。
「当たり前だろう?君はこの宇宙の頂点に最も近い人物になったんだ。同盟惑星、敵対惑星から狙われるの当然だ」
アラシの言葉にリトは呆然自若となって椅子に力無く座り込み、美柑は顔を青くして固まっているが口を震わせてアラシに質問する。
「じゃ、じゃあ私たちは今日みたいに狙われる……ってことですか?」
「そうだな」
「そ、そんな……!」
「だから!俺が守る!!」
今日の襲われる恐怖を思い出して更に顔を青くする美柑を勇気付けるように新星が声を張り上げる。
「リトと美柑ちゃんが襲われても俺が……!俺たちが守るから!」
「新星さん……」
「新星……」
新星の言葉に2人の顔色は少し良くなる。
「それでも怖いなら……ララさんを追い出せばいい」
「え?」
「ララを?」
「おい、新星」
新星の言葉に美柑とリトは驚いた顔になり、アラシは表情を厳しくする。
「俺は組織の保身より2人のことが大切です。たとえアラシさんが拒否しても2人がそう望むらなら俺は2人の意思を尊重する」
アラシは隻眼で鋭く新星を睨むが新星は真っ直ぐな目でアラシを見る。
緊迫した空気が流れる中、幼い声がかけられた。
「その問題は組織だけの話じゃなくなったわ」
扉を開けて入ってきたのは車椅子に座り腰にまで届く程の緩くウェーブがかかった金髪の幼女だった。
その髪はキラキラと光り、どこか神秘めいた物を感じてしまう。
「女の子?」
「キレイ……」
「初めまして結城リトさん、結城美柑さん。私は私はS.S.S.T最高幹部の1人、アメリア。よろしくね」
幼女、もといアメリアの言葉にリトは疑問符を浮かべる。
「最高……幹部?」
「一応、俺たちの上司なんだよ。この中で1番偉い人」
「え!?はぁ!?こんな女の子が!?」
新星の一言にリトは驚き、美柑も目を見開く。
「フフ♪女の子なんて言ってくれて嬉しいわ。これでも300歳を超えているのよ」
花のように微笑むアメリアにリトと美柑は見惚れてしまう。
「さて結城リトさん、結城美柑さん。申し訳ないけどララさんと一緒に生活し続けて欲しいの」
「え?ぃ、いや……あんな話聞いたら、新星が守ってくれるって言ってたけど……美柑が危険な目に遭うならララとは……」
リトはここにいないララに申し訳なさそうにする。
生来の優しさが垣間見えた。
「今、地球はとても微妙な立場にあるの。原因はララ姫よ」
「ララが……?」
「さっきアラシが言っていたけど彼女はこの宇宙で重要な人物。その彼女が地球人である貴方を婚約者として立候補させてしまった。それで現在地球はあらゆる惑星、勢力から目を付けられてしまった。今後、地球が争いに地になる可能性が高いわ」
アメリアは少し目を伏せて話を続ける。
「もし他の星から狙われた時、地球はあまりにも無力だわ。そこで私達S.S.S.T最高幹部と各国首相陣で話し合いをしたの。このまま結城リトさんはララ姫と婚約してもらい、地球が宇宙のトップに立つ計画を立案したわ」
突然、大きなスケールの話にリトと美柑は勿論だがあるはチームの全員が驚いた。
「本当に各国のトップがそう決めたのか?」
「まだ立案しただけ。だけど9割方決まりみたいなの」
ほぼ全員が神妙になる中、リトは頭のキャパを超えてしまい話に付いていけなくなっていた。
「え、えーっと……つまりどういうことだ?」
「結城リト、君次第で地球の命運は左右されるということだ」
「……結城リトさん、身勝手な言い分で本当に申し訳ありません。しかし今の地球は貴方に頼るしかないのです」
アラシとアメリアの言葉にリトは激しく狼狽える。
「はぁ!?そ、そんなの俺には無理だって!!」
「落ち着いて、ララ姫の気が変わって地球から離れるかもしれない。そうすれば貴方は自由だわ。ララ姫が貴方と結婚しようがしまいが私達が必ず守ります」
「だから無理だって!!それって家族にまで危険になるかもしれないんだろ!?それに新星だって俺を守るために戦うってことだろうが!!俺は絶対に嫌だ!!悪いけどララとは一緒に暮らせない!!れ
「リト……」
自分の身が1番危ないのにも関わらず、心配してくれるリトに新星は嬉しくなる。
激しく否定するリトにアメリアは仕方ないと言わんばかりにため息を吐き、自身のこめかみに指を添えてリトと美柑を見つめる。
その両目は碧眼から極彩色に変貌していた。
「大丈夫……貴方達には危害を及ばさない。ただ貴方達は
アメリアの言葉を聞いた瞬間、リトと美柑は意識が朧げな様子になる。
「ララを……受け、入れる……」
「ララさんを……」
様子の異変に気づいた新星はアメリアに詰め寄ろうとする。
「アメリア!……っ!?」
しかし、その前に隣にいたキリタが新星の首元に剣を添えて動きを止める。
「黙って見ていろ」
「キリタ……!お前っ……!」
冷静な言葉で動きを止めるキリタを新星は睨み付ける。
やがてリト達は意識がハッキリと戻ったのを確認するとアメリアはもう一度質問する。
「結城リトさん、ララ姫と一緒に暮らせていただけますか?」
「……ああ、分かったよ。ララは受け入れるけど地球の存亡なんて背負えないからな!」
さっきまでの激しい否定とは打って変わってララを受け入れたリトにアメリアは微笑み、新星は悔しそうにした。
○
リトと美柑の話し合いを終えた後、彼等を別室に案内してチームだけでミーティングを行われた。
アメリアは睨み続けてくる新星の方を向いた。
「何か言いたいことがあるみたいね?」
「当たり前だ!2人の意識を操作しただろう!?」
アメリアはマインドールと言われる種族の一種であるフィーリン星人なのだ。
他者の意識を改変できる能力を有し、その力は絶大だ。
「リト達を危険に巻き込んだ!」
「もう巻き込まれている。それに彼等のお陰で地球の平穏は保たれる」
アラシの言葉に新星は更に憤りを覚えて睨み付ける。
「たった数人の命と約80億の命、どっちが重いかは新星なら分かるでしょう?」
「それはアイツらを犠牲にするってことか?」
「そうね……国のトップはそう考えているわ」
「そんなこと……!」
「そう、そんなことはさせない。だから私達がいるの」
アメリアは部屋にいるメンバーを見渡す。
「このαチームのメンバーは私が選出した人員のみで構成されている。つまり信頼している者しかいない。国は彼等を切り捨てて最悪逃げる気でもいるわ」
「なら、リトを婚約者候補から辞退させれば……」
「そんなことをしたらデビルークは難癖つけて地球を滅ぼすぞ」
「あのクソ野郎ならやりかねないわね」
アメリアの口から汚い言葉が出て、全員の目がそっちに向くとアメリアは少し恥ずかしそうにしながら誤魔化す。
「ンン……兎に角、彼等は私達で守るしかないわ。力を使ったことは悪いと思っているけど分かってちょうだい」
「……」
新星は納得いかない表情をしているが感情を押し殺し、了承した。
○
彩南町を一望できる彩南タワーの屋上でアメリアは静かに街を眺めていた。
そこにアラシがタバコに火をつけながらやって来る。
「……あの子に嫌われてしまったかしら?」
「アイツは正義感は強いが馬鹿じゃない。今回のことも最終的には飲み込むだろうよ」
「子供に嫌われるのは幾つになっても辛いものよ」
「ババアの癖して何言ったんだか」
軽口を言いながらも2人は真剣な表情を崩さない。
「これからもっと襲撃は激化するわ。しかも襲ってくるのは婚約者の座を狙う勢力だけじゃない。
「……やっぱり来るか」
アラシは苦い表情になる。
「デビルークは宇宙の頂点に立ちはしたけど宇宙を統べることは出来ていない。王妃が頑張ってはいるけど結果は芳しく無いわね」
アリシアは隣で煙を吹かすアラシを見る。
「私達の敵は結城リトを襲う勢力、デビルークの敵対勢力、そして
「………」
アリシアの言葉にアラシは答えないがその目は真剣そのものだった。
「私は暫く動けなくなるからチームの事は任せるわ」
「あぁ……分かったよ」
アリシアは目を閉じて開けるとその両面は極彩色に輝いている。
「『彩南町の人間は結城リト、ララ・サタリン・デビルークの周りで起こる出来事に違和感を覚えない』」
アリシアは能力を街全体に掛けて、意識を操作した。
すると彼女は力尽きたかのように車椅子にもたれ掛かり動かなくなった。