私は多分死んでいる。   作:異聞抜刀太(いぶんばっとぅた)


原作:HUNTER×HUNTER
タグ:R-15 オリ主 残酷な描写 憑依 オリキャラ
今後の私次第でタイトルは変わるかもしれません。
気に入らない要素があれば忘却と離脱をお願いします。

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転生し、憑依する。
それって──


私は死んでいる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 真っ暗闇の中雨の降る音がしていた。

 執務机の卓上スタンドの光しか灯っていない『チャーリー調査事務所』はひどく暗い。

 

 

 

 

『……以上の通り、調査は失敗に終わりました。チームも全滅したものと見られます。……そちらの調査員の方も恐らくは……』

「分かってるさ。報告に感謝する」

 

 

 そう言って戻した受話器が、荒い音を立てて下されていた事にプロハンター『チャーリー=メイソン』は遅れて気付いた。

 

 一切の音を立てなくなったその機械が伝えて来たのは、とある犯罪組織を追っていた調査チームが待ち伏せを受け全員殺害されたという報告。

 つい先程()()()()が届いたという。

 ……官民合同のその調査チームにはチャーリーの弟子が加わっていた。

 ……チャーリー自身は別口から探る為にチームから離れたばかりであった。

 

 

 

 

「……そうか、…………そうか」

 

 

 

 

 たった二人の『チャーリー調査事務所』調査員にして、たった一人の愛弟子。

 彼女が13の時に()()()()()()()常識から秘匿された力・『念能力』に目覚めさせてしまってから10年。

 己が()()()()()()()()()()()()()知ってしまった彼女と過ごして来た日々がそれだけ重いものになってしまった事実がのしかかって来る。

 

 もう二度と、その日々が戻って来ない事も。

 

 

 

 

「…………」

 

 

 無言で給湯室に入り、戸棚から酒のボトルを取り出す。

 愛弟子の『仕事場にボトルは色んな意味で悪いのでは……?』というやんわりとした反対を押し切って収めていた、そのウイスキーのラベルにふと目を遣ると──

 

 

 

 

「…………あいつの生まれ年かよ。笑えねぇ」

 

 

 ベゲロセ産の上等な蒸留酒の生まれは、今日死んだ愛弟子のものと同じだった。

 

 兎も角今は酔いに浸ろう、と決めグラスを探しに行こうとしたその時、

 

 

 

 

《ピンポーン……》

 

「…………?」

 

 

 ──事務所のチャイムが寂しげに鳴った。

 時刻は深夜、開業時間をとっくに終えたこの時間の来訪者に警戒しつつも訝しむ。

 わざわざチャイムを鳴らしたのならば敵ではないか?と推察したチャーリーの思考は、

 

 

 

 

「すいませーん、チャーリーさん居ますかー?」

「(……『崩れる廃墟(スクラップガイスト)』!)」

 

 

 ──()()()()()()()()()声に対して即座に戦闘状態に切り替わった。

 同時に入口脇のロッカーが倒れ、破砕音と共に侵入路を塞ぐ。

 

 

 

 

「うわっ⁉︎大丈夫ですか()()()()()()()⁉︎」

「……お前は俺の事を()()()()()()()なんて呼ばない」

 

 

 驚いた声を上げる()()()に拳銃と携帯電話、そしてインカムを取り出しながら冷たく硬い声を返す。

 天井裏から回り込んで()の裏を取る、そう決めたチャーリーは侵入者を引き付けるべくインカムと携帯電話を通話状態にして準備する。

 

 

 

 

()()()()()()()()()()ー……。すいません、いきなりお邪魔して。()()()()()()()()()()()()()()まだ分からない事が多いんですが……。……メイソンさんの方が良かったですかね?」

「用件はなんだ」

 

 

 ()()()()()、それを騙るか()()()()()()()侵入者の無駄話を他所にインカムを身に着けつつ天井裏への入り口となるパネルに手を掛けた。

 勿論その作業で物音は立てないし、声音も乱さない。

 

 

()()()()()()()()()()?」

「これ、とはなんだ」

()()()()()()()()()()()()()()。で、気付いたらレイ……オーストさんの身体に取り憑いてる状態でしてー……。……オーストさん頭撃たれてるんで治せるなら治してあげたいんですけど……」

「……お前は何者だ」

 

 

 しかし明確に拒絶を以って対応しているのに侵入者から返って来るのはどこか納得した声。

 そっと天井裏に入り込みつつ注意を惹く為の会話を続けてみれば、『敵』にしては妙な感触が返って来る。

 ──最もその反応が擬態、もしくは能力者の癖である可能性を外す事はしないが。

 

 

 

 

『名前は────。とうきょう生まれの23歳です。……あのー、一応聞いて置きたいんですけどこの世界ってにほんもとうきょうもありませんよね?』

「……無いな」

『やっぱり……。()()()()()()()()()()()()、そうじゃないかなとは思っていたんですが……。……()()()もちきゅうじゃないですよね』

「……()()()()()()()()

 

 

 しかし、意味不明な言葉に続いた言葉がチャーリーの思考に()()()()()()

 ……今までの言葉だけでも『そういう設定』で動かしていると解釈出来た。それならば凝り性が裏に居る、で説明はつく。

 ……だが聞き逃してはいけない『何か』が侵入者の言葉から感じられた。

 

 

 

 

『えっ。……もしかしてこの世界って天動説の世界ですか?あの、大地の回りを太陽が回っているって奴で』

「……お前が言った『ちきゅう』が何なのか教えろ」

『え、えーっと太陽系第三惑星。海が七割陸が三割。四十六億年前……、……ああ僕の時代から見て四十六億年前に生まれた星で、月が唯一の衛星で……』

 

 

 

 

 ……()()()()()

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

「……『ちきゅう』の出来事で詳しく話せる事は有るか」

『ちきゅうの出来事、って言われても何を話せば……?』

「『にほん』でも『とうきょう』でも良い!」

 

 

 かつて最低最悪の師が教えてきた知りたくも無かった“厄ネタ”。

 それと似たおぞましい異質さを侵入者の言に感じ取ったチャーリーは思わず声を荒げていた。

 

 

『じゃあ昔おだのぶながって人が居まして……』

「動くな」

 

 

 蓋を開けて天井裏から飛び降り、呑気に話そうとしていた侵入者に銃を構える。

 ……同時にチャーリーは『念能力』の根幹・『オーラ』を両目に集中させて侵入者の状態を観察する。

 

 

 

 

「あっ……、これ囮だったんですね……。扉の向こうだから電話越しの声でも気付かれにくいし……」

「…………(……オーラ量の圧力は生前のまま。()()()()()()()()()。あいつのオーラ量は並の念能力者が十人居ても敵わない。『生きているように見せかける』だけの事にそんだけの人数を割くのは非効率を超えてバカだ)」

 

 

 

 

 雨に濡れた金の短髪(ショートカット)に黒いコート。

 斜めに頭に巻かれた帯を除けば記憶と変わりない後ろ姿がそこに有り、聞き慣れた声色が聞こえて来る。

 ……だが口調は明らかに異なっていた。

 

 

「……オーストさんの身体を他人が動かしてるのが許せないなら、このまま大人しくします。生物的には死んでるはずのこの状態でどうやったら『僕』が死ぬのか分かりませんけど……、……燃えて灰になれば死にますかね?」

「……(……いや、待て。()()(テン)()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?死体を動かしているならこんな状態にするメリットがあるか?待て、そもそもこいつのオーラにおかしい所があるか?無い?ならこいつは一体)」

 

 

 

「あのー!」

 

 

 

 

 ……始めて聞く大声であった。

 

 観察すればするほど異常だと分かる侵入者の状態に平静を失いかけていたチャーリーを現実に引き戻したのは、侵入者の大声での呼び掛けであった。

 ……己を取り巻く全てと己に根付く能力(もの)の全てに恐怖し、驚いた時でさえ大声など上げなかった愛弟子の声だった。

 ……愛弟子そのものの声音でありながら、愛弟子とはかけ離れた呼び声であった。

 

 

 

 

「……大丈夫ですか?」

 

 

 

 

 …………自分(チャーリー)を気遣う、優しい声だった。

 

 

 

 

「…………お前はなんだ、()()()()()

 

 

 何かがきれたチャーリーは思わず問い掛けていた。

 

 

 

 

()()()()()、死人。……ここではない世界で死んで、恥晒しにも他人(ひと)の身体に取り憑いて生きたふりをしている、ただの死人ですよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……で、結局()()()()()()()()?」

「『()()』よ死人」

 

 

 ブラインドの隙間から陽射し射し込む『チャーリー調査事務所』は応接用のソファーに客を迎えていた。

 一人は幼い少女の形であったが、腰元から鼠のような細長い尻尾が生えている。

 片言も喋らないもう一人……、或いは()()は直立して服を着込んだコアラにしか見えない。

 

 異様さを窺わせる来客であったが、所長は我関せずと執務机で新聞を広げ、来客に応対する女も特に気味悪がる事も無い。

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。……今居る『私』はあの時死んだ私じゃないって事よ。もちろん『僕』でもないわ」

 

 

 金の短髪(ショートカット)、黒いコート。

 ちょっと前まで片目を隠していた布帯は既に無い。

 

 

 

 

「……ただ、私が『私』になるまでを。……あの子の事を、……『ゼロ』の事を知って欲しいと思う気持ちがあるから、こうして()()後回しにして話聞いて欲しいってわがまま言ってるのよ。『レイナ』さん。……()()()()()()()()()()()だからって勝手に押し付けたのは謝るわ、プロハンター『カイト』さん」

 

「……まぁいいさ、続けな。プロハンター『レイナ=オースト』さん?」

 

 

 

 

 そっけない態度ではあるが続きを促し話を聞く姿勢の少女に、女はえくぼを連れた笑みを浮かべる。

 ソファーテーブルの上ではコーヒーが湯気を立てていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




──誰かの人生を奪っている事にならないか?








:登場人物

チャーリー=メイソン
…『チャーリー調査事務所』所長兼調査員。
 操作系の念能力者。
 ハンターライセンス持ちのプロハンター。
 だが、もっぱら普通の探偵じみた内容でのみ活動している。
 ハンター試験の過酷さと念能力の師がロクでもなかった事が原因。
 ……それでも荒事からは離れられない。
 ロクでもない師のせいで『暗黒大陸』など厄ネタも知ってる。


レイナ=オースト
…『チャーリー調査事務所』調査員。
 特質系の念能力者。
 念能力者ではあるがハンターライセンスは持っていない。
 先生兼上司の方針もあってアマチュアのハンターでもない。
 従って一切ハンターではない。
 とある犯罪組織の調査で頭部を銃弾が貫通し、死亡。


レイナ=オースト?
…とある犯罪組織の調査で死亡したレイナ=オーストの死体。
 それをレイナではない何者かの意思が操っている。
 念能力者ではない。
 ちきゅうのとうきょう生まれ、23歳だったらしい。


レイナ=オースト
…『チャーリー調査事務所』調査員。
 念能力者。
 ハンターライセンス持ちのプロハンター。
 先生兼上司の方針の元普通の探偵のような活動をしている。
 しかし色々あってハンター業界とも関わっている。


カイト
…或いはレイナ。
 ハンターライセンス持ちのプロハンターだったがライセンス取得時の肉体とはかけ離れた姿をしている。
 『チャーリー調査事務所』で昔話を聞いている。


???
…名前を名乗っていない。
 直立したコアラに似た姿をしている。
 『チャーリー調査事務所』で昔話を聞いている。



それなりの時間塩漬けにしてたので供養。
H×Hの二次で書きたいのは別にあるけどこれは書けそうだったから書いた。
続きは無いかもしれない。
気が向いたら手を付けるかもしれない。


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