好奇心が人を殺す世界で   作:HERO-S-

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第三者視点から始まる感じです。



プロローグ

 

俺には姉さんがいた。

 

本物の姉さんの方じゃない。あの人は孤児だった。

 

あの人は強い『個性』を持っていてヒーローを目指していた。俺もそれに憧れてヒーローを目指した。

 

しかしある日、姉さんが目の色を変えて俺を『個性』を使って襲ってきた。

 

俺はそれに恐怖し、助けを求めた。

 

助けを求めて声を出すと姉さんは正気に戻ったように力を抜き膝から崩れた。

 

姉さんは泣きながら俺に謝り、その後別れも言わずに去って行った。

 

まだ話したいことも一緒にしたいことも沢山あったのに。

 


 

私には弟がいる。

 

本物の弟じゃない。あの子はごく普通の家庭の2人姉弟の子だ。

 

あの子に夢を聞かれ、ぼんやりと考えていた「ヒーローになりたい」というのを伝えたらあの子も後を付いてくるようにヒーローを目指し始めたから私も本格的にヒーローを目指した。

 

私はあの子にまだ伝えていない秘密がある。『個性』に関してだ。

 

あの子には私の個性は『念動力』だと伝えているが実はそれは私のじゃない。

 

私の本当の個性は『直感』とでも言うべきもの。

 

物の構造などをその内部を見ただけで瞬時に理解することができる。

 

本来なら無個性と判別されてもおかしくないほどに大したことのない個性だった。

 

昔のある日、孤児院の子達が事故に巻き込まれ多くの孤児が死ぬ現場を見ることになった。

 

その時に頭が割れ脳が露出した1つの死体を見て初めて自分の『個性』の本質を理解した気がした。

 

人の脳を見た瞬間理解したのだ。その人の本質を、その人の記憶を、その人の性格を、その人の『個性』を。

 

理解すると同時に使えるようになっていた。

 

その人の『個性』をその人以上に使いこなせるようになっていた。

 

人間は本来自身の力の30%も使っていないと言うが、それの『100%』を完全に理解してしまったため最も卓越された状態で『個性』を扱えた。

 

『念動力』それが私が奪ってしまった個性。

 

本来は物を引き寄せたり飛ばしたりするだけの個性だった。いや、私が使っている方が『本質』という意味では本来の個性なのかもしれない。

 

その『個性』を扱っているところをあの子に見られ、真実を告げるわけにもいかず今も偽り続けているのだ。

 

しかし私自身も未だ理解していなかった。自分の『個性』が如何なる物なのかを。

 

好奇心が燻られ続けていた。人の脳を見たあの日からずっと。

 

次第にそれは増長していき抑えられなくなり、気になった物を壊して分解して構造を理解して飢えを満たすようになっていった。

 

数日前、それが人にまで及んだ。

 

人の『構造』を理解したいという好奇心に駆られ、路地裏で奪った個性を使って人の頭を開き脳を覗き見て自分の中の醜い好奇心が酷く満たされるのを感じた。

 

もはや歯止めが効かなくなり、身近な人間に手を出そうとした。

 

孤児院の人々は全員殺し個性を奪った後、1番仲の良かったあの子に手をかけようとした時━━

 

「やめて...助けて...」

 

━━という声を聞いて手が止まった。

 

瞬間、自分が何をしたか何をしているかを理解する。

 

「ごめん...ごめんね...ごめんなさい...ごめん...ごめん...私...やっぱり...ヒーローにはなれないみたい...せめて...せめて天狐は...ヒーローに...なって....」

 

涙を流す資格はないと分かりながらも涙を流し、誰に向けているかも分からない謝罪を述べる。

 

身勝手な願いを告げ、その場を立ち去り、遠くへ遠くへと逃げる。

 

警察やヒーローからではない。現実から、あの子から逃げている。

 

きっといつか好奇心に負けてあの子を襲う日が来る。その日がせめて遅くなるようにあの子から離れよう。

 

これから私は遠く離れた場所で好奇心の赴くままに殺す、壊す、理解する。

 

きっと心が壊れていき自分が自分じゃなくなる日が来る。

 

その時にあの子を殺すかもしれないし、もしかしたらもっと先かもしれない。

 

それでもあの子には夢を目指してほしいから...ヒーロー以外でも何でも良い。あの子がなりたいと思う最高の人間になってほしい。

 

だから、さようなら。

 

また会わないことを祈ってる。





プロローグだからこんなもんかな?この後の展開の構想あるけど書くかは未定。『HEROES』をスコれ。
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