【深淵の魔女】〜人間?の赤子を拾ったハイエルフは、母性に目覚めてママになる。   作:二宮まーや

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15話 イリスに逆らえないフェンリル【フェン視点】

 

 

 現在、人化したフェンリルのフェンちゃんとアリスが手を繋ぎながら芝生が続く美しい平原を歩いている。

 

 

「フェンねーたん!」

「お嬢様、どうしました?」

「モフモフちたいの!」

「良いですよ〜♪」

 

 

 僕はお嬢様に尻尾を触らせました。今の僕は銀髪獣耳メイドと呼ばれる姿に変身しています。主の拘りが強く、白色のニーソックスにガーターベルトなるものを強制的に身に付ける事になったのです。どうやらこの僕の姿が美少女で愛らしいとの事で主はお気に入りだそうだ。

 

 

「もふもふなの♡」

「そうですね♪ 私の尻尾を触って良いのは、主とお嬢様だけですよ♪」

「ふぇ? しょうなの?」

「ふふ♡ そうですよぉ〜」

 

 

 アリスお嬢様は本当に愛らしいな♪ 最初は主が赤子を拾い育てると行った時には驚いちゃったけど、今ではその判断が良かったなと思う。主を始め、僕達従魔もみんなアリスお嬢様の事を自分の娘の様に大切にしている。アリスお嬢様の純粋な笑顔が太陽よりも眩しい……

 

 

「ふぇんねーたん、ママは?」

「主は後で来るかと思いますよぉ〜今頃、イリスから愛のある説教を受けていると思われます」

「んにゅ……ママかわいそうなの……よちよちしゅる!」

「お嬢様は本当に良い子ですね〜良し、僕が抱っこしてあげますね♪」

 

 

 今は僕がアリスお嬢様を独り占めだぁ♡ 今日は深淵の森にある神秘の滝と呼ばれる綺麗な場所で、皆でお弁当を食べる予定です。

 

 

「フェンリル様〜」

「ん? どうしたのサイちゃん」

 

 

 僕の背後には複数の魔物達が追従をしている。僕に声を掛けて来たのは、【魔眼】と呼ばれるサイクロプスのサイちゃんだ。僕は個人的にこのサイクロプスは中々のお気に入りだ。気さくで絡みやすいし意外に気の利く所もある……まあ、荷物持ちにも最適だしね♪

 

 

「エルメシア殿がバテてますやぁ〜」

「ん? あぁ、あの駄目エルフね」

「どうしますやぁ?」

「仕方無いな」

 

 

 僕は懐からエリクサーを取り出して、エルメシアの元へと近寄った。

 

 

「あぁ……フェンリル様、少しお待ちを……(わらわ)もう体力の限界……」

「やれやれ……はいこれ、エリクサー飲めば楽になるよ」

「えぇええ……エリクサー!?」

「うん、早く飲むと良いよ」

「こんな高価な物頂けません!」

「うるさいなぁ〜早く飲め」

「わぷっ!? ごくごく……」

 

 

 エルメシアはダークエルフの長で、異名は【女帝】と呼ばれているらしい。確かにその名に相応しい相応の実力を持っては居るが、僕や主様から見ればそこら辺のカス同然の様なもの。出会った当初は、プライドが高く傲慢……ましてや主さまとお嬢様に向けて殲滅級魔法をぶっぱなして来る危険なエルフです。

 

 今はエルメシアの首に魔法が使えなくなる【魔封じの輪】と言う首輪を付けている。これを付ければ普通のエルフと何ら変わりありません。だけど、このエルフは全てを魔法に頼って来たせいで、体力も根性も無さ過ぎる。

 

 

「あぁ、靴汚れてる」

「フェンリル様!! 妾にお任せ下さいまし! お靴を綺麗にお舐め致します!」

「エルメシア、ちゃんと僕の足綺麗にしてよね」

「はい!」

 

 

 エルメシアがここまで従順になったのは、僕と主様の努力あってこそなのだ。お嬢様を寝かし付けた後に主様が、このエルフを全裸にして隷属の首輪を繋ぎ一晩中陵辱をしたり、水に媚薬を混ぜて飲ませ辱めたりと色々したらエルフのプライドや心が粉々になって、今ではご覧の有様。

 

 主様お手製の媚薬を飲んだせいか、エルメシアの身体は常に普通の人間よりも感度が何倍も敏感になり、常にあそこはびしょ濡れで乳首は服の上からでも分かる程にビンビンに勃っている。

 

 

「あ、あの……ご褒美を」

「あぁ、エルメシアは本当にしょうがないな。ほら、横に寝そべってよ。踏んであげるから」

「はうっ……♡」

 

 

 最早、ただのドMな変態ダークエルフが生まれてしまった。勿論、こんな姿をお嬢様に見せる訳には行きませんので、目隠しと遮音結界を部分的に張ってはいます。

 

 

「エルメシア」

「はい♡ フェンリル様ぁ♡」

「首輪に鎖付けるよ」

「はい♡」

 

 

 鎖を首に付けておけば問題ありません。エルメシアが道中バテたとしても、引き摺りながら行けば大丈夫。

 

 

「げっ……エルメシア、下着はどうしたの?」

「直ぐにびしょ濡れになりますので、身に付けておりませんの♡」

「…………」

 

 

 うわ……自分で言うのもあれだけど、本当に救いようの無い変態さんになってしまったか。出会った当初とは180度真逆の存在になっちゃったね。こうも変わるとは……主は本当に恐ろしい。

 

 

「んにゅ……」

「お嬢様お眠ですか?」

「んみゅ……すぅ……すぅ」

 

 

 か、可愛い♡ 僕の腕の中で気持ち良さそうに寝ちゃいましたね。このまま抱っこしながら目的地へと向かおう。

 

 

「ふーん、この小娘の何処が良いのやら……」

「エルメシア、そんなに早く死にたいんだ♪」

「あ、あわわ!? フェンリル様違うのです! アリスお嬢様は本当に愛らしいなと思った次第で!!」

 

 

 フェンちゃんを起点に大地が冷気を纏いながら凍って行く。その様子を見たエルメシアやサイクロプスは慌てた様子で膝を付き頭を垂れた。

 

 

「帰ったらお仕置が必要のようだね」

「お、お許しくださいまし!! 妾のビーフジャーキーをフェンリル様に捧げますので!!」

「ふむふむ、しょうが無いなぁ〜ならそれで許しであげるよ」

 

 

 イリスのビーフジャーキーは格別だからね♪ イリスは料理の腕も凄いし家事能力も抜群なのです。そして、イリスの凄い所は、僕の主が唯一逆らう事が出来ないエルフなのだ。僕もイリスに逆らう事……それは死を意味する。だって、イリスが怒ると怖いもん。

 

 

「フェンリル様……あの」

「ん? どうしたの……ん!?」

 

 

 ごくりっ……な、何だろうこの威圧感。僕の背後にとんでもない化け物がいる気配がする。大魔王サタニエルや古龍ラルトロスと対峙したときよりも遥かに上のプレッシャーだ。そんな化け物がこの世に居ると言うの!?

 

 

「うふふ……フェンさん」

「うげっ!? い、イリスぅ!?」

「やっほーフェンちゃん♪」

「主まで……全く、魔法でここまで転移して来たのですか」

 

 

 驚いちゃったよ……流石にフェンリルの僕でも転移魔法は使えない。人間でも使えるのは主を含めた3人の大賢者のみだ。

 

 

「フェンさん、またエルメシアさんを虐めているのですか?」

「いやいや!? 僕は決してそんな事は!」

「ううっ……イリス様!!」

「ちょっ!? エルメシア!?」

 

 

 こ、これは不味い。非常に不味いぞ!? イリスはニコニコしているけど目が笑ってない。あれは完全に怒ってらっしゃる!?

 

 

「フェンさん、アリスをミレーナお姉ちゃんに渡しなさい」

「は、はい……」

「そこに正座なさい」

「はい……」

 

 

 この世には触れてはならぬ……逆らっては行けないものがある。神級と恐れられた僕でも主とイリスには逆らえないのだ。

 

 

「せっかくフェンさんの為にビーフジャーキー沢山用意して来たのですが……どうやらフェンさんには必要無い様ですね」

「そ、そんなぁ〜!? 待ってよイリスぅ!」

「フェンちゃんの分のビーフジャーキーは、全てエルメシアさんにあげましょうか。そして、今日から1週間フェンさんはビーフジャーキー抜きです」

「うわああぁああああんんん!! 土下座でも何でもするからそれだけはやめてぇ!!」

 

 

 フェンちゃんは号泣しながらもイリスの前で見事な土下座を決めたのである。フェンちゃんにとって、イリスの作るご飯の中でもビーフジャーキーに関してはフェンちゃんの一番の大好物である。フェンちゃんからしたら、まさに生殺与奪の権利をイリスに握られていると言っても過言では無い。

 

 

「ちゃんとエルメシアさんとも仲良くしないと駄目ですよ? 弱い者虐めをする子は私大嫌いですので」

「もうしません! 仲良くするよぉ!」

「全く……仕方の無いフェンリルですね」

 

 

 

 現在の深淵の森での勢力は、東を統べる王【聖獣】セイントユニコーン、西を統べる王【妖刀】イクシオン、北を統べる王【魔眼】サイクロプス、南を統べる王【女帝】エルメシアの上にS級の【炎帝竜】サラマンダーと神級の【氷神狼】フェンリルにその主【深淵の魔女】ミレーナが君臨している。そして、本人の自覚は無いが裏ボス的なポジションでイリスがひっそりと君臨しているのだ。

 

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