元悪幹部の女性が闇堕ちした魔法少女達を救うお話   作:ギル・B・ヤマト

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ちなみにプリキュアパロディです。
多分もっとシリアスになるけど。


招かれざる魔法世界の侵略者

『今からこの世界は、私達メビウスによって支配させてもらいます!』

 

 

 約一年前、平和だった地球に魔の手が迫ってきた。

 

 黒い衣服を着た少女が東京にある巨大なモニターに映る。そしてモニターが付いているビルの上に立っている私はそう言い放った。

 

 闇の組織『メビウス』がこの異世界へ侵略を始めた頃の話だ。

 

 ジャーマン様が元の世界で妖精達に敗れ封印されてしまった。

 その封印を解く為にジャーマン様は異世界の生き物達から負のエネルギーを吸い取り上げる作戦を見つけ出す。

 

 

『みんなから闇のエネルギーを吸い取りなさい! メドイナー!!!』

 

 

 私は手首についているブレスレッドを掲げて眷属を召喚する。

 その瞬間、その周辺の道路から黒い影が誕生した。

 黒くなった地面から乗り上がってくるのは、妖怪の塗り壁を黒一色にした非現実的な生物。

 その印象的な平面には子供が描いた怒りマークの表情が見える。

 

『メドイナー!!!』

 

 独特な咆哮と共にその強力な腕力を持って鉄の建物を壊しコンクリートの道路をメチャクチャにする。

 人類が誇っていた綺麗な街並みが次々と破壊されていくのであった。

 

 当然その光景を目の当たりにした人々は……逃げていない。

 

「なんかめんどくさくなっちゃったな〜……」

「俺、これから何をやるんだっけ?」

 

 逃げるどころかその場でへこたれてしまう人間達が沢山いる。

 しかし恐怖に染まって動けていないわけでは無い、むしろ動けなくなった人はみんな気の抜けた顔さえしている。

 

「流石はエネルギーバキューム。こんなにも早く負のエネルギーが蓄積されていく……」

 

 その原因は私が使っているブレスレット状の機械。

 この機械はメドイナーを通じて周りにいる人たちを堕落させる。そして堕落させて生まれた負のエネルギーを回収していくのだ。

 

 

 闇の魔物が街で暴れビルが崩壊している。

 崩壊した鉄の塊が雨の様に道路へ降っていき、そんな危機的状況でありながら周りにいる人間達は惰性で動けなくなると言う恐ろしい状況になっていた。

 

「もっと派手に暴れなさいメドイナー!!」

『メドイナー!!!!!』

 

 私の指示を聞きさらに激しさを増すメドイナー達。

 拳の攻撃や口からビームを放つ攻撃まで、いろんな方法で建物を破壊していった。

 

 

「う、うぇーん……!」

 

 

 そしてここに逃げ遅れた子供が一人。

 運良く負のエネルギーを吸い取られてはいないが、足を怪我してその場を動けていない。

 

『メッッッドイナー!』

 

 近くで闇の魔物の拳が近くのビルへ直撃する。鉄で造られている建物の一部が簡単に粉々になり、その破片が子供の方へ落ちていく。

 

 だが周りにいる大人は誰も助けに行けない。気力が奪われて助けに行こうと言う意志まで消え去っているからだ。

 

 

 そうして瓦礫が子供を潰す直前、何者がが瓦礫の下へ潜った。

 

「ふぅ〜……間に合った」

 

 地面に大きな衝撃を立てるはずだった破片はいつまで経っても落ちる事なく空中で静止した。

 勿論破片が空中で停止した訳ではない。赤髪の赤い服を着たヒーローが受け止めたのだ。

 

「お、重いけど〜……そりゃあ!」

 

 そうして辛そうな声とは裏腹に、数百キロはあるそれを小石の様に投げ捨てる。

 投げ捨てた先には先程ビルを壊したメドイナーが一体。

 

『メドイナー!?』

 

 突然の反撃を受けたメドイナーは避けることもできず、悲鳴を上げながら潰された。その声でようやく私は反乱者の存在に気づく。同時に雰囲気が変化していることにも。

 

「誰だ!?」

 

 メドイナーを倒した少女の目には気力が宿り、真っ赤な衣装は彼女のやる気を表現したかの様に闘気が溢れている。

 明らかに今まで見てきた人間とは格が違う。

 

「よしよし大丈夫?」

「うん、大丈夫。お姉ちゃん誰?」

「私は……うーん正義のヒーローかな? と言ってもまだ何もやってないけど」

「……?」

 

 赤のロングヘアをした少女が着こなしている服装は、この世界では珍しい物だ。むしろその魔法少女を思わせる服装は異世界に住んでいた私の方が良く知っていた。

 

(まさか()()()()()()()()()()()()か!?)

 

 かつて闇の帝王ジャーマンを封印した伝説の戦士。その伝承に伝えられている姿と彼女の姿はよく似ている。

 色こそ白と赤の違いがあるが間違いない、闇の組織メビウスにとって切っても切り離せない宿敵が現れたのだ。

 

「まあいいや。ここは私が何とかするから逃げて」

「うん……お姉ちゃん気をつけてね!」

「ありがとう。でも大丈夫だから」

 

 子供に明るい笑顔を見せる奴はジャーマン様復活計画の邪魔でしかない。消すならすぐに消すべきだ。

 

「メドイナーあいつを倒して!!!」

 

 逃げていく子供には目もくれず、私は荒い声でメドイナー数体を彼女に仕向ける。

 

『『『メドイナー!』』』

 

 見た目は子供向けアニメに出てくる可愛い敵キャラだが、その戦闘力は侮れない。

 走るそのスピードは陸上選手並であり、そのパワーは獰猛なクマを超える。

 

 そのメルヘンチックな戦闘マシーンの攻撃を……

 

「ハッ!」

 

 それを超えるパワーとスピードで一網打尽にした。

 

 格闘の達人家を彷彿させる拳と脚を、数体相手にほぼ同時で叩きつける。

 ヒーローに走り出していたメドイナー達の体が浮き、その直後に殴った音が数回、刹那の間に響く。

 

 それだけではない。

 

 攻撃を受けたメドイナーに異変が起き始めた。

 

『メ、メドイナ〜……』

「っ! これがジャーマン様でさえ苦しめたと言うジャスティスヒーローの光の力か……!」

 

 あれだけ無双していたメドイナーの体が粒子になって消えていく。闇の眷属が光ながら消える力の正体は正のエネルギー、ジャーマン様とその配下には天敵の力だ。

 神に等しい力を持つジャーマン様でも封印されてしまった原因の力だ。

 

 圧倒的すぎる。ただの魔物では彼女に勝つ事は不可能だ。

 それどころか……

 

「なんだかやる気が出てきたぞ……!」

「気分が元に戻ったわ!」

 

 先程まで失意に飲まれていた周りの人間が活発化している。

 その理由は聞くまででも無い。

 

「奴の力か……彼女が現れてから何もかもが変わっていく!?」

 

 彼女を中心に人々にやる気が溢れていく。戦闘力でも厄介なのに居るだけで我々は不利になる。

 それならメドイナー達の上にいる私がやるべきことは一つ。

 

「マジェスティックレディー、また我が主人の前に立ちはだかるか!」

 

 屋上から飛んで彼女のところまで一直線に行く。

 様子見なんて要らない、キックで最初から不意打ちで大ダメージを狙う。

 

「誰っ!?」

「今すぐ消える奴に教える名前なんてない!」

 

 流石は伝説の戦士。完全な不意打ちを完璧に対応してキックを受け止めた。

 私の拳の衝撃が彼女から地面へと伝ってクレーターが生まれるが、肝心の彼女は顔色一つ変えやしない。

 

「女の子……? でもさっきのよりとっても強い!」

「…………チッ」

 

 敵の姿が可愛いだけで警戒心が弱まる事に少し苛つくが、同時に私はそれを好奇と見た。

 受け止められた腕を足場に後ろへ飛び、地面と着地同時にもう一度前へ。そして飛び込んだ勢いも利用してレッドに拳を叩き込む。

 ヴォンと空気を破る音がその拳の重さを語っている。それを連続で放つがレッドは格闘家の達人のように力を受け流し、自分に伝わるダメージを減らしていく。

 

(……これでは埒が明かない。いや……()()()()

 

 戦いは均衡している様に見えたが私は内心力の差を感じていた。武術のレベルが相手の方が一枚上手だ。

 

「ハッ!」

「痛っ!?」

 

 パンチの連続から不意打ち気味に回し蹴りをするがこれも防がれる。今の受け方を見るにまるで心が体に追いつけていない様に見えたが……

 

 キックの足を地面に付けず待機している私と改めて構え直しながら相対しているレッド。

 相手を睨みながら私は口を開く。

 

「一つ聞くが、なんでお前は子供を守った?」

「何って、困ってる人が目の前にいたからだよ。それ以外に理由なんて必要?」

(……なるほど)

「逆に貴方達はなんで人を傷つけるの? この世界をなんで支配しようとしているの?」

「さっきも言ったはずだ。ここで消えるやつに答える必要は無いと」

 

 厄介な者だと私は思う。自分の周りにはメドイナー達が集まっていることぐらい彼女だって分かっているだろう。たが奴の瞳には何でも守るという強い意志が見えた。

 能力は相手の方が上で心も衰える様子が見えない。正攻法で勝つのは恐らく難しい。

 ならば悪の手下である私は悪者らしく邪道で行こう。

 

「とは言ったが、今から言った事を守るのなら命だけは助けてやろう……お前が持っている変身道具をこちらに渡してほしい」

 

 その言葉にレッドは分かりやすく驚く。命を助けると言う発言に驚いたのか、変身道具の存在を知っている事に驚いているのか……恐らく後者だろう。

 彼女の交渉面での甘さを感じながら話を続ける。

 

「その光の強さは私達にとっても脅威だ。逆にその力の源である変身道具さえ渡して貰えばこちらから手を出す必要もない。どうだ、命は助けてやるからそれを渡してもらえないか?」

「手を出す必要は無いとか言ってるけど、別に手を出さない理由もないでしょ」

「そうか……」

 

 私は残念そうに言うが、流石に断るかと心の中で思う。 

 ならと当初通りに作戦を遂行する為、一体のメドイナーを私の近くに呼び寄せる。

 

「なら言い方を変えようか。この子の命を助けたければ変身道具を渡せ」

「……しまった!」

「ごめん、お姉ちゃん」

 

 レッドはメドイナーに捕まっている男の子を見て自分の失態に気づいた。捕まってしまった子はさっき瓦礫から助けたあの子だったのだ。

 

「間抜けだな、私との戦いに集中し過ぎて子供の方に気が利かなかったとは……それで返答は?」

「ッ……!」

 

 レッドは苦しそうな顔をしている。判断を下す事に迷っているのだろう。

 まあここで大人しく従えばそれでよし。そうで無くてもここまで心に乱れがある彼女なら数でゴリ押せば奪うことができる。

 そう勝利を確信した私だが突如レッドの体が赤く光った。

 

『奴らの言いなりになったらダメっぽ!』

 

 レッドの体を纏う光から小さな光がポンっと抜ける。蛍の様に空中をクネクネしながら動いてるそれは不思議な語尾をつけながら彼女に話しかける。

 

『でもあの子を助けるには……!』

『だからこそあの技っぽ! 今こそ使いどきっぽ!』

『! ……そうか、あれなら!!!』

(なんだあれは……!?)

 

 小さな光の事が気になるがそれよりも目の前の少女だ。何をする気か分からないが、光のエネルギーが増幅した気がする。

 

 マズイ。

 

 勘ではあるが人質の意味はもう無いと察した。

 私は今から放たれる技を阻止するためにレッドに近づくがすでに遅い。

 

『ホワイトサイクロン!!!』

 

 それは莫大な光だった。

 この都市を光の輝きで埋めるほどの莫大な光の力。それがビーム状になって私、正確には人質をとっていたメドイナーに放たれる。

 

(あれに当たったらダメだ!?)

 

 私の視界が白一色に染まる。その瞬間に全力で上に跳んだ。その後に何をするかとかレッドをどうするかとは考えず、避ける事だけに思考を全力で注ぐ。

 

 その結果が足の負荷を考えない上への回避。

 

 全速力で前進してから直角にジャンプしたせいで足に軽い傷を負ったが、避けることはできた。

 

「ちっ、メドイナーが簡単に消えてしまうとは……!」

 

 少し離れた場所で着地した私は、冷や汗をしながら元メドイナー達がいた場所を見る。するとそこには誰もいない。さっきまで人質をとっていたメドイナーがまるで最初からいなかった様に姿を消していた。

 

 いや……実際に消されている。

 

 だが問題は人質にしたあの子だ。

 莫大な光の奔流に呑み込まれたはずなのに無事のままレッドと一緒にいる。何故だ。

 

(もしかして、さっきのは闇の使者だけを消すものか)

 

 改めて厄介な物だと私は思う。既に使えるメドイナーは全て消えてしまい、私だけで彼女に勝つのはデメリットが大きすぎる。

 

「人質は取れないよ。覚悟して!」

「……この状態では分が悪いな。この辺りで引いておくとするか」

「逃げるつもり? そうはさせない!」

「逃げれるさ、現にそうさせてもらっている」

 

 私の背後から紫色の異空間が開かれる。

 レッドが驚いている事をいい事に私もさっさと暗闇のゲートの中へ入っていく。

 戦いは引き際をわきまえて置かないと次に繋がらない。この戦いは始まったばかり。なら今回は情報収集に留めておけばいい。

 

(しかしその真っ直ぐな感情……大っ嫌いだ)

 

 それはそれとして私はとてもムカついていた。勿論レッドに対して。

 

 体が転移していくのを感じながら改めてレッドを睨む。

 

「私達の名前はメビウス。光の力を使うお前を私達はその存在が消えるまで追い詰める。レッド……お前はいつか後悔するぞ」

 

 そう言って私はこの場から姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(私は失格だ。初陣だこんな失態を犯すなんて)

 

 暗い廊下で一人歩く。

 組織メビウスの初めての活動。その活動の責任者として任された私は……何の成果も得られずに終わってしまった。

 

「どうだった()()()()? 話によれば散々だったらしいじゃないか」

 

 自分の失敗に憂鬱としていると、青髪で赤いサングラスをかけた黒いスーツを着こなしている青年が話しかけてきた。

 壁に背もたれしている彼もまた女性と同じ組織の幹部だ。

 初戦を大敗してきた仲間を励ましにきたのか? 

 そんな訳がない。コイツは無様な私を嘲笑いにきただけだと、彼の性格の悪さを知っている私は思った。

 

「チッ……お前か、No.4」

「睨むな睨むな、せっかくの顔が台無しだぜ、()()()()()()()()()?」

 

 下がっていた顔を上げて前を睨んでみれば、予想通りNo.4と呼ばれる彼が蔑んだ笑みをしながら背もたれしていた。

 

「お前は戦いを見ていただろう。嫌がらせする為に話しかけてくるなNo.4」

「おおっとバレていたか」

「いつからの付き合いだと思っている。それより私に何か報告しに来たのだろう?」

 

 両手を上げるコイツに苛つきながらも私は本題に入る。そうするとNo.4は先ほどの笑みから真剣な顔に変わった。

 他人をいじる事に快感を覚えているコイツは、常に周りに多少の迷惑をかけている。だがボスから与えられた使命には忠実だ。でないと幹部であるはずが無い。

 

「予想通り天敵が現れたな。で、予定調和だけどボスは封印されながらこう仰った。『奴らを殺せ』と」

 

 赤いサングラスを指で少し下げた彼は黄金の目でこちらを見定める。

 

「……主人(あるじ)が言ったのはそれだけか?」

「あぁ」

 

 男の返答にはため息を返す。

 封印によって本領を発揮出来ないとはいえボスの指示はこう、直感的というか感情的だ。もう少し具体的な指示が欲しいと思う。

 ……それに、最近はあまり主人と話せていない。

 勿論口には出さない。口を動かす暇があるなら手を動かせ脳を動かせと、さっきの戦闘で得た少ない情報で対策を練る。

 

「で、どうするんだNo.2。策は思い出してるんだろう?」

「ある。と言ってもすぐには出来ない。時間が必要だ」

「時間ぐらい多少は大丈夫さ。主人が封印されてからだいぶ経つからな、一年や二年なんてどうって事ない……それで、どうやって彼女を倒すんだい?」

 

 私はNo.4の目を見て答える。

 今の私一人では奴に勝つ事は難しいだろう。自分が強くなるだとか解決方法はいくらでもあるが、最も確実な手でいきたい。

 

(理想を言えば相手が本気を出せない状態で戦うか、出せない様にするのがベストだな)

 

 伝説によるとマジェスティックレディーは常にあの姿になっていた訳じゃ無い。必要な時に応じて変身しているし、なんなら道具がなければ彼女は変身できない。

 だから──

 

「マジェスティックレディーの変身者を探す」

 

 変身させない。それか変身する前に倒す。

 その方針に私は切り替えた。

 

 

 

今後はどんなストーリーが見たい? No.2(ミラル)メインの物語は確定で書きますが、それ以外で追加があれば……。

  • No.2(ミラル)の物語だけを見たい。
  • メビウス側の物語も一緒に見たい。
  • 魔法少女達の物語も一緒に見たい。
  • 全部!
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