元悪幹部の女性が闇堕ちした魔法少女達を救うお話 作:ギル・B・ヤマト
『とりあえず私は情報収集をする。だから次はお前が出ろ』
「と、そんな事を言われた俺はしっかり働きますよーと」
No.4と呼ばれた彼はサングラス越しに盗んだ双眼鏡で下を見渡していた。
ここは高層ビルの屋上。街全体を見渡せる位置に立つ彼の場所は、前回のNo.2が襲った所とは違う。
ただ距離としては一キロ歩かないかな程度だった。
これは赤い服を着たマジェスティックレディー……メビウスは通称『レッド』という名前をつけたが……彼女の出身地を割り出す為だ。
「相手がワープで来てたらそれも意味ないんだけどなぁ〜……」
それの確認含めての視察だ。
何にせよ今は些細な物でも情報が欲しい。
相手がどうやって来ているのか。
戦闘能力は、過去の伝説との相違点は。
相手を知る為にNo.4はここへ来ている。
「戦いは如何に情報を持っているか。それによって勝敗は決まるとNo.2は言っていましたが、よくこんなチマチマした事ができますねー」
こんな調子では主人の悲願達成はだいぶ先になりそうだと彼はつまらなさそうに吐く。けれど言葉とは裏腹に、彼は歓喜に満ちている。
「まぁいいか。調査の時間が長ばければ長引く程……私の楽しみは増えていくのですから」
さながら子供のように。
無邪気で純粋な笑みを浮かべて
「
人の悲鳴が聞こえる。
高層ビル群から黒い煙が何個も上がっている。
救急車とパトカーのサイレン音にメドイナーの暴れる声が聞こえる。
「早く来てください。私は貴方と戦うのを楽しみにしてるんですから」
ここまで派手に暴れさせれば奴は必ず来る。
いつか来る赤いヒーローを想ってNo.4は歪に笑った。
彼は闇の帝王ジャーマンよって四番目に作られた存在。闇の使徒らしく腐った性格を持ち合わせたマジェスティックレディースの、人類の敵だ。
「……いやもう少し後でもいいな。この光景と悲鳴は出来るだけ長く堪能しておきたい」
まあメビウスの戦い──彼にとっては遊びだがまだ始まったばかり。
焦らずに進めようとNo.4は座ろうとして──
「……来ましたか!!」
空が紅く光った。
空気が爆ぜる音が耳に届くよりも先に、灼熱の炎の如き覇気がNo.4を身震いさせる。つまりそれは、相手の目標が己である事他ならない。
(まずは司令官である俺を狙いに来たか。それはいい判断だ!)
故にNo.4がやることは一つ。迎撃するのみ。
「来い───」
双眼鏡を捨て宙に手をかざすと黒い炎が産声を上げる。ゴウゴウと燃え上がる炎達が螺旋状を描いてNo.4の手に収束したかと思えば、
その過程を得て、科学で繁栄したこの文明世界に魔法のみで生み出された
炎のみで作り出された剣でありながら、主人を燃やすことは決して無い不可逆の秩序を保有する闇の剣。その名も──
「──"
矢となって迫り来る敵は音速を超えている。
伝説の戦士の名に違わず恐ろしい力だがNo.4を仕留めるには……あまりにも愚直だった。
(その速さは賞賛に値しますが、攻撃の仕方が少し正直すぎませんかねっ!)
黒き炎は己の使命を高らかに叫ぶように燃え上がり、主人の手によって振られて迫り来た紅き炎と激突。
瞬間、鉄と鉄がぶつかる音が周囲を揺らす。
同時に二人の攻撃がどれだけ重いのかを語る様に激突は衝撃波を生み出して、屋上のコンクリートを砕きながら波紋していく。
この人外魔境を生み出した張本人の片割れ。
空から隕石として降って来た紅い戦士がその姿を表した。
「可憐な姿からは想像できない力強さですね。貴女、名前は?」
黒く燃える炎へ平然と触る華奢な少女──レッドはNo.4の言葉を聞いても表情を変えることはない。むしろ剣を踏んでいる足に力が入る始末と、これには彼も苦笑するしかなかった。
「今から倒す奴に名前を聞く必要ある?」
「……確かに」
会話は終わりだと、二人は互いに距離をとって己が最も戦いやすい姿勢へと変えていく。
No.4はフレイムバーストを構え、レッドは拳を構えた。
(さて、戦い方の癖もしっかり見極めなければいけませんね)
静寂の時。
互いにいつ出るかタイミングを伺うこの屋上は比較的静かだ。
けれど屋上に流れる風が地上で起きている惨劇の音達を乗せている。
悲鳴に爆発音にメドイナーの暴れる音が、レッドの精神を擦りへらしていった。
彼女は思う。
この時間が一秒でも長くなれば長いほど犠牲者は増えていくだろうと。
けれど結局、目の前にいるいけ好かない男を倒さなければ本末転倒だと、同時に理解している。
隙が見えない男を前にレッドは時を待つしかなかった。
しかし地上の悲鳴は彼女の心の焦りとなって、やがて冷や汗となり額から一筋の汗としてゆっくりと流れていく。
重力に逆らえぬまま大粒の汗は落ちていき、屋上と激突してポタリ……と静かに音を立ててしまった。
そう、No.4に聞かれてしまったのだ。
「いいんですか? 犠牲者が増えるだけですよ?」
「──!」
それが開戦の合図となった。
(──速いな)
挑発を終えた次の瞬間には、レッドはNo.4のすぐ目の前。
拳を構える彼女から明確に感じるのは死の恐怖。
だがそれに心地良さすら感じるNo.4は冷静にフレイムバーストを振って攻撃を弾こうとした。
──肝心の敵は既に居なかったが。
「なんと」
相手の目の前までフルアクセルで突っ込んだレッドは、当たる直前に慣性とか反動とかそういうもの全てを力でねじ伏せて上は跳んだのだ。
その負荷はとてつもなくあるだろうに、動きに乱れを全く感じさせないレッドにNo.4は感嘆するしか無い。
「私の炎を受け取りなさいっ!!」
反対にレッドは真下にいるNo.4へ炎の拳を不意打ち気味に振り下ろす。両腕に絡みつく様に螺旋している炎の渦がドリル状になって敵へと襲い掛かった。
「おっと怖い怖い!」
No.4が手に持つ黒き剣で対抗するが一歩遅い。
先にドリル状の炎が彼を中心に爆炎を生み出した。
(格闘に目が行きがちでしたが、妖精界の魔法も使えるとは)
だがNo.4は炎の剣の使い手。
主人が使う炎ならまだしも、光を持たない炎に倒されるほど柔ではなかった。
「こんな炎、無いに等しいですよっ!」
多少の怪我では物ともしない彼は、直撃を喰らったとは思えない力強さで紅い炎を切り裂く。そうして消え去った紅から現れる男は歪な笑顔と共に邪悪なオーラを放っていた。
敵はどこだ、私を楽しませろとまだ始まった遊びに興奮している彼は周りを見渡す。
その時だった。
「さて、レッドは一体どこに「ホワイト──」……なに?」
遠くから必殺の声が聞こえたのは。
急いで声がした方へNo.4が振り向けば、白き光に包まれた少女の姿が。
その光景を彼は覚えている。
なにせ前見た時は映像越しでも悪寒が走ったのだから。
(あれはNo.2を退けた悪のみを滅ぼす白銀の光!!)
「──サイクロン!!!」
フレイムバーストで止めようとするがまたもや遅い。漆黒の炎による爆進は光の渦に飲み込まれ、そのままNo.4の体まで消し去っていくのだった。
静まり返る屋上。
先の戦闘は終わりだと告げるように、ひび割れた屋上は冷たい微風が吹くだけだった。その戦場を作り上げたレッドは膝をつきながらも五体無事でいる。
「……はぁ……はぁ、なんとか、打てた」
息を切らしながらも彼女の表情は明るい。
今使ったホワイトサイクロンという技は大量の体力を消耗する代わりとして、当たれば闇の使徒を確実に消す効果をもたらす。
まさに必殺技。
そしてそれに当たったNo.4は消えたと言えただろう。
だからこそ彼女の顔は疲労で歪んでいながらも達成感に満ちている。
(あのタイミングで放てたのはラッキーだった。相手も戦いに楽しむことに夢中で油断してたし、明らかにこの前戦った女性よりも強かった)
長期戦は不利だと悟ったレッドは、相手を確実に倒す為に唐突のジャンプで目線を逸らして不意打ちを仕掛けた。そしてその不意打ちもただの一撃ではなく、相手に隙を作らせる為の目眩し。
よって見事に必殺技を放てる時間を作り出し、まだ相手が"戦いは始まったばかりだ"と無意識に油断した状態でトドメの必殺技を放った。
最善のタイミングで放てたと彼女は感じている。
その証拠に白い光が過ぎ去った跡に男の姿は影一つすらない。
けれどまだ戦いは終わっていなと、今にでも倒れそうな彼女へ横水が入る。それは下から……つまり人間の悲鳴が彼女を駆り立てたのだ。
「……まだ戦いは終わっていないんだ。メドイナーに襲われている人達を助けないと……!」
ハッとするレッド。まだやるべき事は残っていると両頬を叩いて、己のうちにある油断を消す。
サングラスをかけてた男……あいつは倒したがまだ下で暴れているメドイナー達は健在のまま。今でもビルを壊したり近くにいる人間の活力を奪っている。
「待っててね、今行くから……!」
だがらレッドは足に力を入れようとしたその時──
「おやおや、もう帰ってしまうんですか? それは勿体無いな〜」
「──ッ!?」
白い光に呑まれた敵の声が聞こえた。
なぜ? その疑問が生まれるよりも前に反射で動いたレッドは後ろへ回し蹴りを放つ。体力をだいぶ消耗しているはずなのに衰えを感じさせない圧倒的速度。
格闘技の人でも見惚れてしまいそうなその攻撃は──
「おっと危ないなぁ〜」
拳であっさりと受け止められてしまう。
「仕留めたと思ったのに……!」
レッドは男を睨んでそう言うが、言われた本人は微風みたいに流している。壊れたサングラスから覗いてくる黄金の目は、彼が人では無いことを証明しているよう。
「あぁ〜……後ですね私。一つ言いたい事があるんですよ」
「なによっ」
余裕を見せつけるNo.4は、先程の
「さっきのホワイトサイクロン? でしたか。あれはいい技ですね。あれに当たれば消滅は免れない。私達闇の使者にとって天敵と言える技だ……しかし」
男は口こそ笑っているが、割れたサングラスレンズの奥にある黄金の目は、しっかりと"敵"を狙っていた。
「打つタイミングが頂けなかった」
レッドに悪寒が走る。
(早く次の手を打たなきゃっ…………!)
そうして彼女がお見舞いしたのは二度目の蹴り。
No.4と遭遇した時に放った一撃と同様に全力で放った、牽制の攻撃ではなく相手を仕留めるための一撃。
体の回転で威力が増した攻撃は──またもや容易く受け止められてしまう。
「なんで……!」
「先程のアレ
「ガッ!?」
No.4が放った容赦の無い蹴りがレッドに直撃してしまう。
鉄さえ壊せる重い一撃が彼女を弾丸のように吹き飛ばす。そんな最中でありながら彼女の中には小さな疑問が残っていた。
(なんで、ホワイトサイクロンを避けるタイミングなんて無いはず……!)
ショックが故に湧き立つ疑問。
しかし今は戦闘の途中であり答えを見つける余裕もないと、吹き飛ばされながらもレッドは敵を見据えようと正面を見た。
その行為が、疑問の答えになると知らずに。
──既に敵の姿は見えない。
「あの攻撃を避けれた理由教えましょうか? ──私、速いんですよ」
「なっ──!?」
彼女の背後からNo.4の声が聞こえた。
吹き飛ぶ彼女よりも速く背後に回った敵の声が。
そうして脚に力を入れた彼は言葉を紡ぐ。
「ではここで貴方に一つアドバイスをしてあげましょう」
「ッ!?」
レッドのソレより遥かに上回る神速の蹴りを放ちながら、彼は格上として戦闘の極意を教えた。
「奥の手は先に出した方が負けですよ」
レッドは魔法少女の目をしても追えない蹴りをなす術もなく受けてしまい、経験の浅さが最悪の結果となって帰って来てしまう。
ビルの屋上で爆発が起きたかと思えば直後、道路の交差点へぶつかったレッドがクレーターを発生させる。
対して追っていたNo.4は軽い足音を立ててクレーター近くに着地した。
「しかし……想定外ですね。
「ッ……アンタ、なんか、にぃ……!」
片や痛々しい姿で倒れ立ち上がる事さえできないレッド。
片やお気に入りのジーンズポケットに手を突っ込んで立つNo.4。
見事に両者の差が現れている。
しかもそれだけでは無い。
『メドイナー?』
倒れている彼女の周りで一匹、疑問の声を上げたメドイナーがいた。
──ここは既に、メドイナー達が蔓延る戦場だったのだ。
ビルや信号機を破壊していた彼らは、子供の落書きみたいな顔を一人の少女に向ける。
無口が故に静まり返った空気が、今後に起こるであろう惨劇の恐怖をより掻き上げていく。
(No.2は変身者の情報を調べろと言っていましたがそれは倒す為。ここで始末できるなら
目の前の弱者に興味が失ったNo.4も時間をかけるつもりは無い。屋上で見せた笑顔も潜めて今はただ、目の前の
(本当はもっと遊びたかったのですが……これは仕事。お遊びはもうおしまいです)
故に彼が移した行動は明白だった。
視線を目の前の雑魚から周りにいるメルヘンチックな部下達へ。
「メドイナーやってしまいなさい。大丈夫です。あの光の攻撃はしてきませんよ。今の貴方達でも簡単に倒せます」
『メドイナー?』
『メ、メドイナー』
主人の言葉にメドイナー達は互いを見る。まるで本当にやっていいのかとヒソヒソ話し合っている姿は子供に見えたが、そんな時間は短いものだった。
良いんじゃないか? 一匹がそんな声を挙げれば、賛成の声は周りに汚染されて行き……相談時間は終わりを告げる。
『メドイナー!』
全員が納得したのだろう、悪の魔物達が一斉に少女へと走り出す。無邪気な悪の化身達が黒い波の様にワラワラと迫ってくる。
メドイナーは三メートル以上もある化け物だ。そんな怪物達が見える景色全てを埋め尽くして襲ってくる光景は絶望しかない。
(これじゃあ……!)
実際にレッドは心に陰りが出来ていた。折れるところまではいかないが内気になってしまうほど、心も体も弱まっていた。
(チェックメイトですね)
No.4は頼りない彼女を見て確信する。彼の頭の中では闇の魔物に蹂躙される少女の姿を思い浮かべていた。
その素晴らしき光景に彼は自然と口角が上がる。
じっくりと楽しもうと心躍らせる彼はあえて何もせず、ただじっと
それが良くなかった。
使命を果たふ途中で自分の趣味を優先してしまったから、
上からやってくる
『ホワイトアロー!』
凛々しい少女の声と共に遥か上空から黄色い閃光が複数放たれた。
それは白銀の弓矢。ホワイトサイクロンと同じく実態を持たない魔法の光だ。
『メドイナー!?』
「なに……上からか!」
光の弓矢が闇の魔物達の墓標となって地面に降り立つ。黒から一変、メドイナー達は塵へ書き換えられ離散する。
代わりに生まれるのは神秘的な光。
その光景に驚きを隠せないレッドのそばに、新たな少女が静かに降りてきた。
「大丈夫、今助けるから貴女は下がっててレッド」
「……もしかして」
闇の剣を顕現させたNo.4は新手を黄金の目で睨む。
だがさっきとは違い、彼の目には焦りがあった。
(なぜ戦士が
伝説との乖離。
かつて闇の帝王ジャーマンは一人の少女と戦い敗れたという。
だからこそ今回の敵も一人だけだろうと勝手に思っていた。
だがこれでは仮定は崩れたも同然。No.4の目にはどう見てもレッドともう一人、黄色で彩られた少女が映っていた。
「でもここに来ちゃったら危ないよ……! 速く逃げ──」
「いやっ! 私だって大切な
レッドの瞳から消えかけていた闘志も蘇り、状況は振り出しに戻った。
いやむしろ悪化したか。レッドは消耗したままだが前よりも強い覇気を感じる。今戦ったら危ないとNo.4の中にある危険ブザーが大音量で鳴っていた。
この予想外な出来事を目の前にしてNo.4は──
(えぇ〜……メンドイナァ〜?)
メチャクチャやる気をなくしていた。
さっきまでの余裕はどこへ行った? 笑顔でありながらも冷酷さを兼ね備えていた悪の使徒は? それらの虚像が崩れ落ちる程の気怠る気な声が彼の内心で響いていた。
「私は下がらない。私も戦う。困ったての前の人達を助けるために、私はなったから」
「…………分かった、一緒に頑張ろう!」
(……ん?)
何だか目の前の二人がどうでもいい事を話して勝手に盛り上がってて威勢が戻ってきている。凄く面倒臭い。
とにかく彼女達の会話は深く聞かずどうしようかと考えていたNo.4。ふとレッド達を観察していたらとある物を見つけた。
「……ねぇ、貴女の事はなんて呼べばいいのかな?」
新手のご登場でせっかく優勢だった状況が逆転している。
No.4から見て目の前には天敵が二人。
そしてこっちは
「私の事はイエローって呼んで、
恐らくここから華麗な逆転劇が始まるのだろうな〜とNo.4は考えていた。まるで他人事のように。
しかし本来の目的は既に叶えられている。
「……分かった。ならイエロー、行こう!」
「ええ!」
「覚悟しなさい悪の手先。私達がっ「仕方ありません、ここは撤退するとしましょう」……え?」
故にNo.4は退散する事にした。
虚を突かれた少女達の顔に笑いそうになりながらも、No.4は魔法で治したサングラスをかけ直す。
その姿からは悍ましいオーラは消え失せており、全てがどうでも良さそうなテキトーぶりさが伝わって来た。
けれどそれは恐怖とはまた違った冷たさを
「何言ってるの! 流すわけないでしょ?」
「あれれ〜デジャブを感じるなぁ」
緊張感を感じさせない声の主へ白い矢が放たれる。
だがNo.4は攻撃が当たる前に白い何かを地面にぶつけ、煙が瞬く間に広がり始め──
「それではお二人とも、またどこかで会いましょうか。いつか──」
白い煙が晴れた後は、今度こそNo.4は跡形もなく姿を消していた。
「……逃しちゃった」
その事実にイエローは悲しい声を漏らす。
ここで倒せればメドイナー達による被害を減らせると思った彼女は、自分の手からこぼれ落ちてしまった未来を憂いていたのだ。
だけど、その隣にいる紅き女性は違った。
「イエロー、確かに逃しちゃったけど私は感謝してるよ!」
「……えっ?」
レッドはイエローの肩へ優しく触れて笑顔を見せた。
空を覆っていた雲の先から降り落ちる太陽の光に当てられながら。
「あの時にイエローが来てなかったら私、絶対負けてたし……だからありがとう!」
「…………うん、そうだねレッド」
「まだメドイナー達は残ってるかもしれないから一緒に回ろう?」
そう言われたイエローは頷いて、人を守る為に彼女達は動き始める。
────────────────
アジトへ戻る途中、暗黒の中でNo.4は右手を見て笑う。
ワープの扉が閉まる時の一筋の光で反射された光沢を見て。
「さてさてさて……これがどう面白くなるんでしょうかね」
そこにあったのは学校の紋章だった。
────────────────
「申し訳ない、貴女を嘲笑っておきながら私も敗退してしまった」
「………………チッ」
全く隠さずむしろ聴かせるようにNo.2は舌打ちした。全力で。
とはいえ言葉とは裏腹に全く反省の色が見えないNo.4を見てしまえば、憎悪百倍でやっちゃうのも仕方がないだろう。
「そのまま光に呑まれていればよかったのに」
「流石に酷すぎません?」
訂正殺気百倍。
とまあそんなNo.2は現在テーブルワーク中。
彼女が買い取ったデスクの上には大量の本が置いてあり、本のビル群にポツンと佇むパソコンでカチカチしていた。
可憐な少女が姿勢正しく椅子に座り、手を激しく動かしている姿は出来るOLを彷彿させる。まあOLと言うには若すぎるのだが。
「……それは一体どこから?」
恐らくがNo.4が視察している時に仕入れていたのだろう、妖精界では存在しない鉄の塊「パソコン」。それをどうやって手に入れたのか気になったNo.4は半分興味で質問した。
「人間界からだ」
「あぁ、人から奪ったんですね」
帰ってきたのは当たり前の回答。そりゃそうだ、それは人間界しかない。なら悪の幹部らしく盗んだと思ったが。
「いやお金は魔法でつくって買った。姿を似せればバレないからな」
「……奪ってないんですね」
「無闇に跡を残したくないだけだ」
(真面目だなぁ……)
ちなみにWi f iとか電気とか諸々全て魔法で解決させた。
魔法サマサマである。
「それで何を持ってきたんだ」
悪の幹部が盗みを働かない珍事に少し頭を悩ませたNo.4だが、悩ませてる元凶の声によって現実に引き戻される。
手はそのままに視線だけNo.4に向けるという器用な事をしていた彼女だが、その冷たい目線はくだらん雑談は終わりだと告げていた。
「これこれ。マジェスティックレディーズの新人から盗んできました」
No.4が無造作にテーブルへ置いた金属が音を鳴らす。
つられてNo.2は視線を置かれた物へ向けると、見えてくるのは漢字と紋章が刻まれた道具だった。
それだけで彼女の不機嫌さが嘘のように消えて、悪女らしい笑顔が浮き出る。
「これを着けているのは学生しかいないだろ? No.2……君はそう言っていた」
「そうだな。それで今日は人間界で言う平日だから、学生があんな場所にいるのはおかしい」
「伝説の戦士でもない限り……だろ?」
「あぁ」
元から台本でも渡されているようなスラスラした会話をこなす二人。
彼らは既に次にやるべき事をハッキリと理解していた。
「本当にやるのか?」
「それで正体が掴めるならやらない理由が無いだろう?」
「まぁ君の言い分が正しいか。私としてはお楽しみはじっくりと楽しみたいんだけどなぁ〜」
私情で愚痴るNo.4を他所にパソコンを叩いていたNo.2はとある学校のホームページへとたどり着く。
そこには彼が持って来た紋章と同じ
ようやく獲物を見つけた彼女は嬉しそうに言葉を溢した。
「恐らく変身者は見つけた。私はこの学校に潜入する」
ちなみに今後で何を書こうか悩んでいます。
できたらアンケートに協力お願いします!
今後はどんなストーリーが見たい? No.2(ミラル)メインの物語は確定で書きますが、それ以外で追加があれば……。
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No.2(ミラル)の物語だけを見たい。
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メビウス側の物語も一緒に見たい。
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魔法少女達の物語も一緒に見たい。
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全部!