召喚されたら使い魔だったので魔法を調べて帰ります   作:魔術馬鹿

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異世界に向かいます

 サルー厶城剣術訓練所。

 木剣を振るい、高速で動く2つの影。

 方やメイド服姿の美女に、方や給餌服の少年。

 凡人には目視すら困難な速度で得物を振るい合う二人は一見ダンスでもしているかのように優美だが、女は不機嫌、男は苦しそうだ。

 

「なぁシルファまだか〜? 早くエインと()()()()()()()()()()()

「────!!」

「あぶなぁ!?」

 

 顔に向かって放たれた付きをギリギリで逸らす少年。明らかに女の動きが早くなった。それもそのはず、この女、自分の主が同僚の少年とだけ秘密のお話をするのが嫌で訓練時にあえて手加減して長引かせているのだ。今主の会話でちょっと加減ミスったけど。

 

 

 

 

 

「くそ、あの女。魔術込みなら俺のほうが絶対強いのに」

「そこはまあ仕方ないさ。お前が魔術目茶苦茶得意ってなって宮廷魔術師にでもされたら俺との時間が減る。それよりほら、今日はこれだ!」

「グリモ、お茶〜………ジリエル、俺の服にシルファの残りが残ってないから嗅ぐな気持ち悪い」

 

 何も知らない者からしたら二人だけが入った部屋。しかし実際には4名いる。

 かつて国を滅ぼしかけた伝説の魔人グリモワール(給仕やってる山羊)と神聖魔術を人に授けるジリエル(女と戦っていたと聞いた途端服に飛び込む鳥)だ。

 

「汗臭いだけではないか貴様!!」

「『凍』」

 

 ジリエルは凍り付いた。

 

「いいな〜()()。それ一つで魔術発動できるなら、呪文束を更に圧縮できそうなのに」

「解析は進めてるがねぇ。クロウのより余っ程難解だ」

 

 ベッと突き出した舌には髑髏を思わせる文様。『ノロワレ』と呼ばれる異能を持つ故にまともな生活を送れなかった彼が独自に編み出した術式だ。

 

「俺の前世の『言霊』に似てるな。まあそれはクロウもだが」

「俺の前世もお前みたいにこの国にはない概念があったらな〜」

 

 サルーム王家第七王子ロイドと付き人エインには共通点がある。それは、二人共前世の記憶があるということ。

 ロイドは一般サルーム。エインは、何と魔法の存在しない世界。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 二人を強く結びつける共通点、それは『魔術馬鹿』。ロイドは前世から、エインは今世から魔術に魅せられ学ぶのが至上の喜び。

 二人揃ってよるコッソリと海の向こうまで行って無人島を消し去ったのは楽しい思い出。世界の命運とか人類の未来とか二の次のやべー奴等が才能にも恵まれてしまった二人組なのだ。

 

「『ハルケギニア魔術録』…………ハルケギニア?」

「知ってるのかエイデン?」

「どっから『デ』が来た。俺の世界の古代生物だよ」

「ふーん。じゃあこれエインの故郷の魔法かもな。空想扱いとはいえ、概念自体が存在するなら過去に存在した可能性はゼロじゃない。読めるか?」

「んん〜? 虫食いが酷いし、術式が既存の者とは違うな。五系統、相乗………? ええと………これを読む限り王族は二人以上が息を揃えて詠唱を上乗せできるみてえだ」

「おお! じゃあお前と合わせて4重詠唱もできるかな!?」

「無理だろ。これ血の繋がりが必要だもん」

 

 なぁんだ、と興味を失せるロイド。

 

「まあ待て。この『系統の組合せ』を解析して俺達の魔術にも応用できれば似たようなことはできるかもしれないぞ! 基本的には一人最大4つ組み合わせられるらしい!」

「おおお! よし、どうやるんだ!?」

「まずはそこの解析からな。楽しみだ!」

「だな!」

 

 目をキラキラさせて話す二人を見てジリエルとグリモは遠い目をする。

 

「…………4重詠唱って、ギタンが必死に止めたのよりやばいんだろうな」

「二人で楽しそうに撃ち合うかもな…………」

 

 

 

 

 

 

「そういや、数多の魔法があるから当然類似するのはいくらでもあるが変わったのもあるぞ」

 

 なんとか読めるページから情報を集め本を修復する中、不意にエインが呟いた。

 

「まずは錬金。こっちの錬金術とは異なり、物体の組成そのものを変える魔法だ。因みに2つの元素が合わさった真鍮より単一の金の方が作るのに熟練度がいるらしい」

「まずはってことはまだあるのか?」

「ああ、『使い魔召喚』だ……。使い魔にルーンを刻んで力を与える、ってのは俺やレン達みたいに術式を刻んだんだろうが………俺達がつい最近手にしたばかりの転移魔法が学生では当たり前のように使われてるんだとよ」

 

 世界の何処かから、自身の相性の良い生物を呼びだし使役する。対象がどこに居ようと関係ない。必ずその場にゲートを開くのは、ジェイドというロイドも認める術師が己に宿る力を術式として整え二人が手にした瞬間移動に近い魔法。それが確立している。

 

「何でも使い魔側に鏡のようなものが現れ────」

 

 会話の途中、エインの前に輝く鏡のようなものが現れる。

 

「………………ロイド。暫く休みをもらうぜ」

「ああ、異世界の魔法…必ず持って帰ってこいよ!」

 

 二人は一瞬どちらが通るか力で決めようとするも鏡の魔力がエインに絡みついてるのに気付きロイドが仕方なく、とても名残惜しいが断念。ちゃんとこの魔法を使った術師のもとに迎えるか解らないからだ。

 

「鞄!」

「もった」

「宝石類!」

「もった!」

「メモ用紙!」

「百冊はあるぜ!」

「じゃあゴー!」

「おー!!」




エイン
ロイドと同等の魔術馬鹿。才能に恵まれ知識もロイドの親友なので同等だが魔力量では若干劣る。
ロイド自信王族だとしても異様な魔力量なので転生していることが関係しているのでは? と二人でお互い調べあった。
言葉を現実に反映させる『言霊のノロワレ』。捨てられた魔術書から独自に魔術を編み出し制御した。
グランヴァニアのメッセージを無視していたが唐突に消えたので気になってより高度な暗号術式を飛ばし、暫く暗号術式でやり取りした後対面しロイドの付き人になった。
シルファからは嫉妬され無理やり鍛錬に突き合わされラングリス流を覚えた。

総合値測定不能
頑強値A 体力値B 機敏値A 筋力値S 魔力測定不能

ギタンのキメラ技術を両腕に流用し三重詠唱を可能にしている。キメラ技術を移植した理由? ロイドが三重詠唱やってんの見てやりたくなったから
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