召喚されたら使い魔だったので魔法を調べて帰ります   作:魔術馬鹿

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使い魔契約

 ルイズ。

 ヴァリエール家の三女。公爵家の令嬢でありながら、学園での評価は落ちこぼれ。

 彼女が魔法を使えぬからだ。

 発動しようとすると、必ず爆発する。その不可思議な現象の說明は誰にもできない。出来ないから彼女が劣っていると決めつける。

 それでも彼女は頑張っていることを知っているコルベールとしては、その光景は痛ましい。

 使い魔召喚を行おうとしても、起こるのは爆発ばかり。せめて彼女の系統が分かれば、そう思ったのだが………。

 

「ミス・ヴァリエール……そろそろ………」

「あと一回……! あと一度だけお願いします、ミスタ・コルベール!」

「…………あと一度だけです」

「時間の無駄だろ、『ゼロ』のルイズ!」

「また失敗して終わりだ!」

「恥かくだけよー!」

「貴方達、黙りなさい!!」

 

 コルベールが一喝するが嘲笑は止まらない。それをして当然だと思っている。そんな態度にルイズは歯ぎしりしながら詠唱を唱え……………結果、爆発。

 やっぱり無理だった! と笑い声が響く中、コルベールは土煙の奥の影に気付く。

 

「おい、何がいるぞ!?」

「嘘! ゼロのルイズが成功させたの!?」

 

 生徒達も気づき、土煙の奥を中止する。と、突然土煙の中心から風が拭き土煙を吹き飛ばす。

 

「いきなり大歓迎だなっと」

「………………人?」

 

 マントはつけていない。平民? しかし身なりはかなりいい。

 銀髪は青みを帯びている…………ガリア王家の縁者か? と思わず一人の生徒を見る。

 

「人間………マントしてないぞ、平民か?」

「でも服は高そう………商家か、ゲルマニアの成り上がりかしら?」

 

 人間が召喚されるという異常事態。しかしルイズが呼んだという部分ですぐに困惑から嘲笑に戻る。そんな周囲を気にせず、少年は翡翠色の瞳を動かしルイズで止めると歩いてくる。

 

「俺を呼んだのはお前だな?」

「! な、何なのよその喋り方……無礼ね!!」

 

 噛み付いてくるルイズに対しても怒りを覚えた様子はない少年。どころか、その目は実験動物でも見るかのような………。

 

「き、君は………?」

「俺の名はエイン。さる方より密命を預かりこの地にて魔術を学びに来た」

「魔術………魔法のことかね?」

「そうそれ。それを学んでこいと言われてね」

 

 魔法がないのか? それに、魔法とは貴族しか使えないはず。

 

「何言ってるのよあんた。貴族以外が魔法を使えるわけ無いでしょ?」

「貴族でも魔法が使えない奴いるけどなー!」

「っ!!」

 

 ルイズがぎろっと叫んだ男を睨むが男はニヤニヤ笑っている。

 

「ルイズー! 魔法が使えないからって平民連れてくるなよ!」

「違うわ! ちゃんと召喚したもの!」

 

 ゲラゲラアハハと笑う子供達。コルベールが一喝するが、やはり止まらない。エインはふむ、と彼等を見回す。

 

「貴方とあそこのサリアもどきはともかく、他は質が低いな。俺の主は魔力量だけならSにも匹敵するが魔力の流れからして拙い……まあいいか」

 

 質が低いと言われ眉をひそめる生徒達。平民に一体何がわかるというのか。そんな彼等を無視してエインはルイズに向き直る。

 

「俺の主は唯一人。そこを変える気はないが、その主から命を受けている。役目を果たすまでは使い魔として行動しよう」

「はぁ? 平民が何偉そうに言ってんのよ! しかも使い魔の分際で!」

「…………………そいつは失礼」

 

 どうでも良さそうな顔にルイズが顔をしかめる。

 

「ミスタ・コルベール! もう一度召喚させてください!」

「それは駄目だ。ミス・ヴァリエール」

「どうししてですか!?」

「決まりだよ。2年生に進級する際、君達は『使い魔』を召喚する。今、やってることだ………」

 

 そして現れた使い魔で今後の属性を決める。

 サラマンダーなら炎、カエルなら水、モグラなら土、梟などなら風だ。

 そしてそれは神聖な儀式故に、やり直しは認められない。

 

「まあ、俺はどっちでもいいけどな。話を聞く限り俺を使い魔にしないと困るのはお前だ。あ、そこの人。これって換金できる?」

 

 と、コルベールに宝石類を見せてくるエイン。綺麗に加工され、かなりの値がつくだろう。

 

「金には困らなそうだ。彼女も俺が不服のようだし、街行くから方角教えて」

「い、いやしかし………これは、神聖な儀式で………」

「? それは人の意志を聞かない理由になるのか?」

「…………………」

 

 そう言われ、固まるコルベール。彼の事情をまるで気にしていなかった。

 

「何勝手なこと言ってんのよ!」

「使い魔ではない俺には関係ないことだ。生活環境を保証してくれるならともかく、キャイキャイ騒ぐだけなら一人の方が都合がいい」

 

 取り付く島もない言葉にルイズの顔は怒りで真っ赤に染まり、杖を振り上げる。

 

「いいから、言う事聞きなさい!!」

「──」

 

 魔力が高まる。魔術を行う前兆…………その魔力はしかし現地民では群を抜いている程度。魔術障壁の一枚で十分防げ──

 

「お?」

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()

 直ぐ様表面に魔力障壁を張り事なきを得るが………その現象にエインの目の色が変わる。

 

(クロウの呪言や俺の言霊…………とは違うな。世界に顕現してないから通り抜けたわけじゃなく、いきなり世界に顕現した。どういう理屈だ? ジェイドの転移に近い? ただ…………)

 

「気が変わった」

「…………は?」

「お前の使い魔になろう。よろしく頼む、ご主人様?」

「…………してくださいでしょ?」

「使い魔にしてくださーい」

 

 その適当な物言いに眉間にしわを作るルイズ。

 

「…………感謝しなさいよね。貴族にこんなことされるなんて普通はないんだから」

 

 そう言うと杖を構える。

 

「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。5つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我が使い魔となせ」

 

 呪文を唱え、エインの顔を見て………顔を赤くしながら頬に手を伸ばし引き寄せ口付けをする。

 口を通して魔力が流れ込み、全身が燃え上がるように熱くなる。魔力は左手に集まり、文字を刻む。

 

「ふむ、見たことのないルーンだ」

「…………………」

 

 解析。

 術式が知っているものとは別物だからただ読み取るだけではまだ理解できない。これを足掛かりにこの世界の魔法を調べていこう。

 

「さてと、ではみんな教室に戻るぞ」

 

 コルベールはそう言うと魔法を使い浮かび上がる。他の生徒達も浮かび上がった。

 

「ルイズ! お前は歩いてこいよ!」

「あいつ、『フライ』はおろか『レビテーション』さえ使えないんだぜ」

「その平民はあなたにお似合いよ!」

 

 ルイズを笑いながら飛んでいく生徒達。発言からしてルイズは飛べないのだろう。

 

「『飛翔』+『領域拡張』」

「は?」

 

 訳の分からない言葉に困惑するルイズ。その体がフワリと浮かぶ。

 

「………は?」

「教室ってのはあそこでいいのか……?」

「え? あ……うん」

 

 困惑しながら頷いくルイズ。エインは他の生徒やコルベールを抜いてルイズと共に教室に向かって移動した。

 

「は!? ルイズが、飛ん………はぁ!?」

「う、嘘だろ!? なんで!?」

「……あ、あなた………メイジだったの!?」

「魔術を使うものを指すなら、まあそうだ。役には立つぜ? 御主人様」




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