愛梨の好きな人を知ってからというものの彼女の恋路は全く進展がなかった。変わったことといえば、ちょっと愛梨と仲良くなったくらいかな?
梅雨もあけて、夏の暑さが本気を出してきたあたりで練習も体力的に厳しくなってくる。直近のテストなんて無視して練習三昧。テスト大丈夫そ?
とある日の練習終わり、テストの範囲表をもらって、確認する。どうして、こんなに忙しいのにテストがあるんですかね?今回のテスト範囲も広い。練習終わりでめちゃくちゃ眠いけど、やるしかない。
余弦定理?なんじゃそりゃ四限目は眠たくなりがちっていう定理ですか?sinθ?三角比君は自分の罪(sin)を数えてもろて。助動詞とか覚えること多すぎィ。運動方程式?そんなものより恋愛の方程式下さい。
流石に今回は勉強会とかする予定はないらしい。今回のテストをDieジェストでお伝えします。数学、死んだ。現文、死んだ。………サラッとテストが終わった。
テストも終わり、午前中だけの授業となり、練習時間が増えた(絶望)そういえば、実は愛梨の誕生日が近い。8月7日らしいので、プレゼントを買わなきゃ。今週末でいいかな。
というわけで週末。地域で唯一のショッピングセンターにやってきた。唯一ということもあって人が多い。何を買えばいいんだろうか。何が喜ぶかな?ググるか。コスメ、ファッション系……と出てきた。僕にそんなセンスがあるわけ無いだろ!!今日もジーパンに黒の無地シャツだぞ!!うーん、ハンカチとかにしようかな。………いや、本にしよう。本なら僕もよく知ってる。愛梨も好きだと聞いたことがあるような気がする。と考えて本屋にやってきた。
本屋という空間は好きだ。本の背表紙を眺めるだけで普通の世界から隔絶されたような気がする。そんなふわふわした感覚が好きなのだ。
一般文芸のコーナーへ行き、一人考える。えーと、割と話題になってて読みやすい………これにしよう。選んだのは数年前の本屋大賞にノミネートされていた本。一般受けがいいし、気にいるはずだ。僕も個人的に一冊、本を買って本屋を出た。その本を読もうと思い、近くにあったスタバに入る。そこそこ長い列で順番待ちをしていると、後ろから
「青じゃん!!」
と話しかけられる。誰だろう、と思って後ろを振り返ると、春奈と五月がいた。春奈は真っ白なワンピースを着ていた。白い肌とよく映えていて、すごく似合っていると思った。なんであんなに外で練習しているはずなのにあんなに白いんだろうか。とか思っていると僕の注文順になった。ブラックコーヒーを注文して、席につく。五月と春奈も同じテーブルについて、会話をする。
「青はどうしてわざわざ一人で来たの?」
え?ショッピングセンターって普通一人で来るものじゃないんですか?(白
「愛梨の誕生日プレゼントを買いに来たんだよ」
「えっ、愛梨の誕生日近いの?」
「そうだよ、知らなかったの?」
「よし、じゃあ私も愛梨の誕生日プレゼントを買いに行こう。どうせ今から回るお店で買えそうだし。いい?五月?」
「いいよ。」
というわけで色々な店を巡った。まずは服屋。服をプレゼントするの?でも流石に学校に服を持っていくのはどうなの?と思ったが、どうやら自分の服らしい。
「どう?似合ってる?」
そう言われてもどんな服を着ても似合ってるからなあ、そもそも素材がいいから。どんな色も似合うし、どんな服でも似合う。五月はもっとこの服のほうが……とか言ってるけどどれも似合いすぎてて違いがわからん。
次は雑貨店に来た。何か色々ある。シャーペンとかもありだったかもなーと思いながら春奈を見ると、
彼女は小物を見ながらうなずいている。隣の五月は
「これとかどう?」
と言って、シュシュを渡している。
どうやら彼女は白いシュシュをあげるらしい。普段から着けられて良さそう。しかも白は茶色い彼女の髪に映えそうだし。いいセンスだ。
その後はゲーセンに行った。ゲーセンではホッケー大会を開催した。第1試合は五月対春奈。春奈が勝った。次は僕対五月。僕が勝った。というわけで僕対春奈で勝ったほうが優勝。
今、僕がマッチポイントで次得点したら勝ち。そして、今ラリーを続けている。ラリーを続けることで相手のミスを誘う作戦だ。すると、急に
「えっ?何あれ!!」
と春奈が叫ぶ僕がそちらを見ると、
「スキあり!!」
と言って鋭いショットがくる。でも、それは読めていた。
「甘い!!」
と言って油断した春奈からポイントを奪う。
「僕の勝ちだね。」
とドヤ顔をする。やったぜ。そんな攻撃、僕には効かないよ。この後、音ゲーとか色々やってから帰った。
帰り道、春奈と二人きりになった。なんだかんだ二人で帰るのは初めてかもしれない。彼女をみると、夕日が白い肌に反射して眩しい。風が吹く。髪がなびく。笑顔が眩しい。彼女は笑顔で
「楽しかったね、偶然会えるなんてびっくりだよ、運命かもね?」
そんなことを言われると、照れてしまう。彼女は僕のそんな気持ちも知らずに続ける。
「ホッケー、次は負けないよ?」
「次も、僕が勝つよ。」
そう言って微笑む。この時間が一生続けばいいのに。そう思う時間だった。