ラブコメなんて実際に起こり得ないことの証明   作:寿太郎

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12.夏休みの課題は早めに終わらせる派

さて、今日は夏休み最終日の二日前。つまり、残りの休みは三日である。課題はとっくに終わっており、今日から最終日まで練習もないので、ゆっくりしようと思っていた。

朝、春眠だけではなく夏眠も暁を覚えないことを体現しながらのそのそと起きて、目をこすりながら朝ごはんを食べる。

そして、食後のコーヒータイムを楽しんでいた。余談だが、我が家にはコーヒーメーカーがあり、かなり美味しいコーヒーが毎朝飲める。まあ、取り敢えずそんなふうに朝の至福の一時を楽しんでいたときだった。何気なくスマホに目を落とすと、大量の非通知着信。ラインには

 

「デンワデロ」

 

という文言が春奈から送られてきている。えっ、なにこれ?こわい。

 

 

 

 

………もう大半の人はお気づきだろう。そう、恐らく彼女は夏休みの課題が終わっていないのだ。僕は彼女に会うことと、課題を片付けることを天秤にかけるとVAR判定の結果、春奈に会うことに天秤が傾いたので、電話をすることにした。

 

「もしもし?」

 

「あ、もしもし?青〜」

 

「夏休みの課題でしょ?」

 

「えっ、なんでわかるの?エスパー?」

 

「いや、普通わかるでしょ。」

 

「手伝うよ?」

 

「えー、ホントに?神。G O D 。」

 

「五月とかはいるの?」

 

「デート行った。」

 

まじか、順調そうで何よりです。

というわけで今、春奈の家に行く準備をしている。この前春奈と一緒に買った服を着て、春奈の家に向かう。

 

「青ー。」

 

大きな家に到着すると、そう言って泣きついてくる。どれだけやばいんだ?

 

 

 

残っている課題を見てみると、相当ひどかった。むしろ今まで何やってたの?ってレベル。

 

「どうしよー。」

 

どうするも何もやるしかないだろう。でも流石に二人じゃ終わらない。無償の労働力が必要だ。……………高橋を呼ぶか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三日後。高橋が来たあたりから記憶がない。自分のノートの内容を春奈のノートに写す。そして、偶にそれがバレないようにちょっと変える。言語化すれば単純な作業だ。しかし、それを大量にやるとすれば話は別だ。会話もせず、僕は機械だ。僕は機械だ。僕は機械だ。と頭の中で唱えていなければ正気を保ってはいられなかっただろう。SAN値が削られる作業だった。終わった後は、死んだ目をしてみんな帰った。初めのあの浮かれた気持ちは何だったのか……。まあ、でも春奈に頼れるところを見せられたはず。

 

 

 

 

 

 

ここから視点が変わります

 

 

 

 

 

マズイ。ひじょーにまずい。俺は今、今年度で一番の問題に直面している。どんな問題かというと、小鳥遊との関わりが全くないことだ。まず団が違う。この時点で致命的だ。俺は玄武で小鳥遊は朱雀。さらに、最近は玉口とかと更に仲良くなっていて、話しかけづらい。困った。なんだかんだで体育祭ライフは満喫しているのだが……

俺はガタイがいいからマグロ引きに抜擢されて毎日の練習に喜びを見出しつつあった。そして、体育祭マジックかわからないが、何人かに告白された。まあ、こんな生活も悪くないと思えた。

 

 

 

でも、一念発起して駄目だと思い至った。しかし、何故かちょっと避けられてるような気がしないでもない。そんなときだった。玉口からの電話がかかってきたのは。珍しいと思って取ると、なんと!!小鳥遊の声が聞こえてきたのだ。このときの俺の気持ちがわかるだろうか?棚からぼたもちとは当にこのことだろう。

 

「もしもし……?」

 

「あっ、ああ。もしもし?」

 

あまりの衝撃に少しぼーっとしてしまった。

 

「春奈の課題がピンチ。手伝ってほしい。」

 

「よし、わかった。」

 

「住所は……」

 

というわけで玉口の住所を手に入れて急いでそこに向かう。かなり大きい家だ。

 

ピンポーンと押してしばらく待つと、扉が開かれる。

 

「おー、高橋ー今日はよろしく。」

 

玉口が出てきた。

 

「まあ、小鳥遊の件で世話になったからな。恩は返す。因みにどれだけ残ってるんだ?」

 

「えーっと……国語と数学と理科と社会と英語。」

 

なんだそれ、全部じゃないか。

 

「数学のワークは今、青がやってるから。」

 

「お、おう。」

 

そんなことを話していると、玉口がドアを開けてある部屋に入る。それなりに大きい机の上にこれでもかと載せられた課題の山。これ、ガチで何もやってないだろ。因みに我が高校は課題の答えが配られないので、少なくともノートなどを持ってきて、写すしかない。因みに小鳥遊は鬼気迫った様子で課題を片付けていた。俺が想像していたような和気あいあいとして夏休みの課題を片付ける様子ではない。文字通り、命を削っているような表情だった。そうか、ここは「戦場」なのか。

 

 

 

こうして僕らの三日間戦争が始まった。

 

 

 

 

心を無にして自分のノートの内容を書き写すだけの作業だった。

終わった頃には悟りを開いたかと思った。終わったのは最終日の夕方だった。

 

みんな死んだ魚の目をして淡々と帰った。

まあ、これで玉口に対する義理は果たせただろう。そして、頑張った俺を見直すはずだ。

 

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