ラブコメなんて実際に起こり得ないことの証明   作:寿太郎

13 / 54
13.暑さは少なくとも彼岸までじゃない

夏休み最終日の夜九時。電話がかかってくる。春奈からだ。何だろう。さっき別れたばかりなのに。

 

「もしもし?青?私、天才かもしれない!!」

 

「えっ?何?」

 

もう嫌な予感がする。

 

「時間って西に進むほど遅くなるんでしょ?だったら、時間が進むより早く西に行けば、明日を迎えなくて済むんじゃない!?」

 

なるほど、頭が痛い。日付変更線を知らないのか。というわけで、日付変更線について説明する。

 

「えっ!!じゃあ明日来ちゃうじゃん。練習やだよー。」

 

当たり前だろう。そんな裏技あったら日曜には飛行機に大行列だよ

 

「諦めるしかないよ……」

 

「はぁ(クソでかため息)」

 

「はぁ(クソでかため息)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

というわけで、登校初日の朝。昨日までは登校していなかったので夏休み前の日常が非日常に感じる。新鮮な気持ちで、どこか楽しみな気持ちも残しながら登校する。

 

 

 

……なんてことはない。なぜなら、ほぼ毎日練習で学校に行っていたからだ。ただ残暑のクソ暑い中とことこと歩いていくだけ。なんなんだ、暑さ寒さも彼岸までとか嘘じゃねえか。

 

 

 

 

6月から始まった、体育祭の練習もようやく終盤戦。9月の最初の方に体育祭があるということもあって、気合が入っている。練習もかなりキツイ。しかし、流石に直前一週間は疲れを残さないために楽になった。最終調整のようなものだろうか。

 

 

 

 

 

 

体育祭三日前、やけに教室がざわついている。どうしたのだろうか。春奈の話によると、どうやら、体育祭が一週間延期になったらしい。なんでだろうか。まあいいか。

 

 

 

 

 

 

そして、体育祭の朝。目覚まし時計の機械音が部屋に響く。朝の光が部屋に差し込んでいる。今日は体育祭本番。朝食を摂って、そそくさと学校に行く。ちょっとふわふわした気分だ。学校に着くと、いつもよりザワザワしている。みんな落ち着かないのだろう。僕も今日まで結構頑張ってきたという自負がある。勝ちたいな。

今日は朝のショートホームルームもないので、まだ知り合いに会っていない。高橋をちらっと見たくらいだ。自分の椅子を持って、教室から出る。階段を降りて、団の場所に向かう。まだ、春奈と愛梨は来ていないらしい。椅子を置いて、しばし座ってボーっとする。春奈や愛梨が来て、談笑する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

開会式が始まる。

なんか校長のよくわからん長い話を聞き流して、よくわからん宣誓をして終わる。

さて、最初の競技は短距離走だ。まあ普通に一位でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんやかんや時間が流れて、マグロ引きの時間が近づいてくる。最後の団体競技でマグロ引きのあとにリレーがある。今、朱雀団が一位で、マグロ引きで勝てば、勝利がかなり近づく。準備場所に行くと、団長が

 

「おっしゃーー!!、みんな頑張るぞーー!!」

 

「「「「おー!!!」」」」

 

という感じで盛り上がっている。最初は玄武対青龍だ。5つ団があるので、総当たりで一番勝った団が一位だ。

 

 

 

 

 

9戦が終わって、あとは朱雀対青龍だけだ。両方とも3勝しており、ここで勝ったほうが一位だ。両方の団が位置につく。決戦の火蓋が切られた。

流石に今まで全勝の団は強い。今までの他の団と引く力が別次元だ。こちらも狭いながら、頑張って引く。互いの力が釣り合って、戦いは膠着状態になった。気を抜いたらその瞬間持っていかれる。そういう確信とともに時間が過ぎる。結局一戦目は少しの差で負けてしまった。三戦勝負で二本先取。もう負けられない。場所を入れ替えて、再び戦いが始まる。二戦目は勝った。

 

 

 

 

 

 

そして、運命の三戦目。

始まってすぐに、違和感に気づく。力がさっきまでと違うのである。弱くなっている。みんなも気づいたのか、攻勢に出て、勝ってしまった。実は、後から聞いたのだが、5kmランニングなどという体力トレーニングをしていたのは朱雀団だけで、他の団は10戦も体力が続かなかったらしい。取り敢えず、一位だ。これで、優勝に大きく近づいて、団のみんなも盛り上がっている。

 

 

 

 

さて、僕はこのあとのリレーにも出ないといけない。アドレナリンドバドバで気づかなかったが、かなり疲れてる。走れるか?

そんな不安を抱えながら、待機場所につく。号砲がなる。一走が走り始める。

一走がスタートしたので、僕も、テイクオーバーゾーンに入る。しばらくして、春奈が来る。二着か。取り敢えず、抜かれないようにしないと。そう思ってスタートを切る。バトンを受け取る。体が軽い。なんでだ?あんなに疲れてたのに。

どうやら、マグロ引きの体力メニューはここでも活きていたらしい。コーナーで一人を追い抜いて、一位に躍り出て、次の人にバトンを渡す。

ふわふわした感じだ。天にも昇っていけそうなそんな感覚…………。僕の最後の記憶は朱雀のアンカーが一位でゴールした瞬間だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目が覚めると知らない天井だった。

これ一回言ってみたかったんだよね。ネタを明かせば熱中症で倒れて保健室に運ばれただけだった。三十分程度しか寝ていなかったのでまだ体育祭の閉会式をしている最中のようだ。保険の先生に軽く体調を聞かれて、しばらく休むように言われる。

 

 

 

 

 

二十分くらいすると、春奈と愛梨と五月がやってきた。

 

「大丈夫?」

 

と五月が声をかけてくれる。

 

「大丈夫だよ。」

 

「ホントに?よかったーー。」

 

と春奈が安堵した声を出す。

 

「そーだよー、春奈ちゃんはー、心配し過ぎー。ただの熱中症だからー、相当酷くない限りー大丈夫だよー。」

 

「それでも、目の前で友達が倒れたら心配でしょ?」

 

「まーねー。」

 

まあ、好きな人に心配されるというのは悪くない気分だ。

 

「もー、無理しないでね。青。」

 

春奈が母親みたいになってる。これは恋人関係とは違うよねー。

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらく話していると、先生に追い出された。

 

「もう下校時刻だ。帰ってくれ。」

 

「「「「はーい。」」」」

 

と言われて、帰る。

長かった体育祭もこれで終わりか………。因みに我が団は優勝したらしい。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。