体育祭の興奮が冷めていないようで、今日学校に行っても大体は体育祭の話をしている。
「○組の△君がさーチョー早くてかっこよかったー。」
最近は足が速いだけでモテるのか。小学生だけだと思ってた。○足とか懐かしいなー。僕も速かったと思うんだけど。モテナイよねー。
朝のショートホームルームが始まる。ガラガラと扉を開ける音がして、教師が入ってくる。いつも通り大したことのない連絡事項を淡々と語る。僕はこの担任が嫌いではない。面倒くさくないし、話が短い。話が短いのは美徳だ。ショートホームルームが終わり、一限までのつかの間の休みを学生たちは謳歌し始めた。
「青!青!青!ついに来たよ!!私の時代が!!」
なんだろう。どうした?中二病か?それでも好きだぞ。
「何、ポカンとした顔してるの?選挙だよ、選挙。生徒会選挙!!さっき先生が言ってたじゃん!!」
あー、そゆことね。そういえば、何か言ってたな。聞き流してたわ。春奈もなんか生徒会やりたいって言ってたな。
「あー、言ってたね。春奈、出るの?頑張って!!」
と応援しておく。
「うん!!任せておいて!!」
まあ、大したことはない。なんて、軽く考えていた。
その日の夜、愛梨からラインが来た。
「青、いいの!?」
「えっ、何が?」
「春奈ちゃんが生徒会選挙に出ること」
「えっ?いいもなにもないでしょ、頑張れーって感じ」
「先輩に聞いたんだけど、うちの高校の生徒会、忙しいから生徒会役員になったら、忙しくて多分一緒にいる時間がかなり減ると思うよ」
えっ………まじか……そうなのか。全然生徒会のこと知らなかった。
「えっ、まじ?」
「やっぱ知らなかったか……」
その後、愛梨に生徒会の仕組みとか色々教えてもらった。
まず、生徒会の権限が強いのは事実で、学校行事の運営もかなり生徒会が関わっているらしい。あのマグロ引きとかいう種目も昔の生徒会が作ったらしい。さらに、生徒会の権限が強いのには理由があって、自治体が生徒たちの自主性を重んじる高校と位置づけているから高校も下手に手は出せない。それに伴って、一定の手続きを踏めば校則を変えることができ、大体毎年スマホの学校内での使用を認めさせようと交渉するからクソ忙しいらしい。因みにまだ認められたことはない。
そして、生徒会の構成については
会長 一人 二年生
副会長 二人 一年生とニ年生
この三人を選挙で選んで、書記、会計、会計監査が一年生と、ニ年生で二人ずつとのことらしい。これは会長たちで選ぶ。
あと、一年を前期と後期にわけていて、前期は4〜10月、後期は11月〜3月で、前期は体育祭、文化祭があるから後期のほうが楽らしい。期間も短いしね。
どうしようか。春奈との時間が減るのは避けたい。でも、流石に彼女の希望を潰したくもない。じゃあ……僕も生徒会に入ればいい?僕が生徒会副会長になって、春奈を指名する?いや、無理だ。春奈は性格も相まってかなり人気が高い。僕じゃ勝てない。じゃあ、僕を春奈に選んでもらえばいい。それしかない。じゃあ……春奈の選挙を手伝って有能だと証明するか?いや、苦しい。五月がいるのに僕を選ぶと思えない。じゃあ……どうすればいいんだ……。
考えた。めっちゃ考えた。多分テストの時より考えた。そして、その脳の回転が音速を超えて、衝撃波が発生した辺りで目を覚ました。取り敢えずなんとかなりそうな案は考えた。
翌日
春奈に話しかける。
「春奈、私、春奈の選挙を手伝うよ。いや、手伝わせてほしい。」
「突然どうしたの?」
「僕、変えたい校則があるんだ。」
「へー、そうなんだ。なんの校則?」
「スマホ使用に関して。」
「なんで変えたいの?」
「行事の時に使えないの、嫌じゃない?」
「うーん、確かに。わかった。私が生徒会に入ったら、青も生徒会に入れるように頼んでみる。一緒に頑張ろうね!!」
「うん!!必ず当選できるように頑張って手伝うね。」
というわけで選挙をお手伝いすることになった。と言っても愛梨の話によると、生徒会は権力は大きめだが、激務だからあまり人気がないらしい。だから大体は信任投票になるらしい。なら、まあ大丈夫だろう。春奈にかつ可能性があるのは五月と、あとは行事とかで色々活躍してて、イケメンで割とコミュ力が高い高橋と隣のクラスのなんかよくわからん人気者くらいだろう。まあこの三人は出ないでしょ(フラグ)
俺だ。いや、誰?じゃない。俺だよ俺。いや違う。オレオレ詐欺じゃない。ちょっと待って、通報するな。俺だよ、高橋だよ。
結局、体育祭のときは小鳥遊とは交流できなかった。困りすぎてコマッタ・マーキュリーだ。
マグロ引きという共通の話題を使って話そうとする
→寝ててガン無視。
玉口の課題をやっている間に話しかける
→鬼気迫った様子で睨まれる
こんな感じで全く関われなかった。でも、今日は学校でいいことを聞いた。小鳥遊は生徒会に興味があるらしい。じゃあ俺も生徒会に入るしかない。でも、多分玉口に協力を申し出ても、玉口は俺が小鳥遊のことを好きだと知っているから、下心で言っているのがバレてしまうだろう。それなら、俺自身が当選して小鳥遊を生徒会に入れればいい。簡単なことだ。問題は玉口に勝てるかだけだ。しかし、それさえクリアできれば小鳥遊との恋愛も好転するはず。頑張るぞ!!