ラブコメなんて実際に起こり得ないことの証明   作:寿太郎

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上坂先輩のせいでプロットの練り直しを迫られています


22.かっぱなんていねーよ

今日は休日。僕は上坂先輩に呼ばれて、上坂先輩と春奈の三人で、かっぱを捕まえに行くらしい。

今は集合5分後。僕しかいない。まあ、知ってた。

動きやすい服で来てって言われたから、ジャージを着てきた。ジャージで駅とか目立つから早く来てほしいんだけど。

 

「あおー。」

 

あ、春奈が来た。しかし、彼女は普通の私服だ。

 

「春奈、動きやすい服でって言われてなかった?」

 

「え?」

 

「え?」

 

話を聞いてなかったな。大丈夫だろうか……。

 

 

 

しばらく待つが、上坂先輩は来ない。

 

「来ないね、」

 

「そうだね。」

 

この時間に前から気になっていたことを聞くことにした。

 

「そういえば、春奈は上坂先輩とどういう関係?」

 

「小学生の時ね、私イジメられてたの。」

 

えっ、そうなのか。まあ可愛いから嫉妬とかかね。

 

「その時に助けてくれたのが、静ちゃんなの。」

 

ふーん、あの人がそんなことするのか。意外。昔はっと正義感溢れる人だったのかね。今はあんなだけど。

 

「だから、あの人は私の憧れ。」

 

 

 

 

 

 

三十分遅れで上坂先輩が来た。なんでそっちから呼びつけておいてこんだけ遅刻するの?

というかそれ何?完全に登山する格好だけど。

 

「あれ?青はともかく春奈はなんでそんな服なの?動きやすい服でって言ったよね。ま、いっか。じゃ、吉いくぞー!!」

 

吉幾三ってあんた何歳よ。ホントに高3?

 

 

 

先輩が動きやすい服で来いと言ったのも納得だった。完全に山登りである。そこまで高い山ではないし、ガチの山道という訳では無いが動きやすい服でないとそれなりに厳しい。実際春奈は

 

「ひえー、きついよー。」

 

と言っている。しばらく歩いていると、先輩が脇道にそれた。えっ?そっち行っていいの?ダメじゃない?と思ったが、大人しくついていく。地面は踏みならされていて、一応それなりに人が来ているらしい道だが、険しい。春奈には厳しいかもしれない。

案の定

 

「ひえーー、無理だよーー」

 

と言いながらついてきている。

 

そのまま5分くらい歩くと、川に出た。上流の方といっても大した高度でもないので、かなり流れは緩やかだ。自然に囲まれており、川遊びなんかをしても楽しそうだし、かなり雰囲気のいいところだ。春奈は疲れたのか、座り込んで

 

「やっと着いたーー。」

 

と喜んでいる。

 

「ここに来ること自体が目的じゃないの、いい?かっぱを捕まえるのよ!!」

 

かっぱなんていねーよ。

 

「まず、罠を作るわ。このキュウリを使って!!」

 

そう言って、カバンからきゅうりを取り出す。

何を言ってるんだ、この狂人は。

先輩はルンルンで罠を作って、茂みに隠れて、僕たちを呼ぶ。

 

「はやーくーー、こっち来てよーー、隠れないとかっぱ来ないからーー。」

 

と言っているので仕方なく僕と春奈も茂みに隠れる。

 

「ホントに来るんですかー?」

 

と春奈が聞いている

 

「当たり前じゃん!!かっぱのベストスポットだよ!!」

 

何言ってるんだ

 

「えっ!そうなんですか?かっぱ楽しみー。」

 

そんなわけ無いだろ、春奈。騙されるな。

 

そして、三十分くらいたった時だった。何やら全身緑色の人形の何かがやってきた。

え?かっぱ?ん?でもよく見ると、スマホ持ってるぞ?え?何者?変質者?

 

その変質者はキョロキョロしてこちらに向かってくる。

 

「えーーかっぱだーーー。」

 

「ほら、言ったでしょ!!」

 

「スマホもってるかっぱがどこにいるんですか……」

 

「現代のかっぱなんだろうね。」

 

無理があるだろう。

地面に落ちているきゅうりを見て、その何かはきゅうりを手に取る。近くに来たからわかったけど、ヒレみたいなのがついてて取りづらそう。

そして、きゅうりを何かが取った瞬間先輩が綱を引っ張って、罠を起動させて、かっぱ(?)を拘束する。

 

「うわ、なんだこれ、動けんぞ!!おい!上坂!どっかにいるだろ、ふざけるな!!」

 

とかっぱが騒ぐ。これは会長か?

 

「あれ、かっぱが静ちゃんの名前呼んでるけど」

 

と春奈が言うが無視して、

 

「よし!!かっぱを確認しに行こう!!」

 

と言ってかっぱの元に行ってしまう。僕も追いかける。

 

会長は足を綱でぐるぐる巻きにされていた。可哀想に。

 

「よーし、このかっぱ、どうしようかな。」

 

「会長、大丈夫ですか?」

 

「かっぱだーー、すごーーい。」

 

よく見ると、このコスチュームなかなか良くできている。スマホを持っていなかったら僕も騙されたかもしれない。

 

「小鳥遊!!助けてくれ!!」

 

「青、こんな怪物の言うこと聞いちゃだめよ!!」

 

「上坂先輩は何がしたいんですか?わからん。」

 

わかるのは頭がおかしいことだけだ。

 

 

 

 

 

 

 

「ホントにひどい目に遭った。」

 

話を聞けば会長はこの時間にこのコスプレをしてここに来いと言われたらしい。ホントに可哀想。

 

「なんだ、かっぱじゃないのかーー」

 

春奈は残念そうだ。というか、ホントにかっぱなわけないだろ。上坂先輩は大爆笑している。会長、よくこんなのと一年半も一緒にいたな。尊敬だわ。

 

「小鳥遊たちは上坂に気に入られている。これからも上坂に迷惑をかけられるだろうけど、頑張ってくれ。とんでもなく自己中心的で手段を選ばないだけでいいやつなんだ。」

 

いいやつ要素どこ?

 

「いやー、面白かったね。楽しかったよ。」

 

上坂先輩は満足したようにそう言う。

 

「俺はひどい目に遭った。」

 

四人で山を降りる。春奈は相変わらず大変そうだが、なんとか下山した。それなりに登山に時間がかかったのでもう夕方だ。

 

「じゃあ、俺らはこっちだから」

 

そう言って、先輩二人は違う道へ行く。

 

「こういうことはもうやめろよ。」

 

「えー、会長面白いからなーー。」

 

と会話をしながら二人で帰っていく。なんだかんだあの二人は仲が良さそうだ。

 

「青ー、私達も早く行こうよー、」

 

そう言って、春奈は僕の手を取る。手、柔らか……。

今日の報酬がこれだとしたら僕は満足だ。

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