生徒会選挙も終わり、後期生徒会の主要メンバーである、会長と副会長二人が決定した。一年生で生徒会に入るメンバーも決まっており、会計、五月。書記、僕。会計監査、高橋。である。
なぜ高橋?訳がわからないよ。愛梨とかにすればよかったのに。いや、愛梨とか仕事できなさそう。
でも、僕のクラスで全部の役職を占めていいのかね。
さて、このメンバーが発表された日に僕は会長に呼ばれた。
なんだろうと思いながら、会長の元へ行く。
「おー、来たか。小鳥遊。」
「どうも、こんちは。えーと、なんのようですか?」
「今度引き継ぎ式があるだろう。」
あー、確か来週だったかな。
「あれで二回ノックしたときのあれを止めてほしいんだ。」
あー、上坂先輩の?
「上坂は前期が終われば生徒会室からいなくなるだろうし、引き継ぎの日さえ、何とかなればどうにかなると思うんだ。」
確かに
「ホントだったら俺がやるべきなんだが、その日は少し予定があって早くには行けないんだ。おそらく上坂は授業が終わったらダッシュで生徒会室に向かうから誰かが来ないうちに小鳥遊が行って止めてほしいんだ。」
なんで、ダッシュするの?暇なの?
「わかりました、僕としても春奈にあんな音を聞かせれませんから。」
「おー、ありがとう。」
というわけで今、急いで生徒会室に行っているわけだ。あの音を止めるなんて造作もない事だ。
ドアにノックは3回!!という紙を貼ればいいだけ。簡単なことだ。そう思って、生徒会室の前に立つ。しかし、ここで気づいてしまった。
中に上坂先輩がいるか分からない。困った。どうしよう。二〜三分迷っていると後ろから五月がきていた。
「どしたの?青。」
渡りに船だ!!
「お願いがあるんだけど、このドアを開けて、上坂先輩がいたら挨拶してくれない?」
「うん、まあいいけど」
「あと、これは先輩には内緒で」
よし、これならバレずに中に先輩がいるかわかる。
「はぁ、わかったけど。」
五月が
コンコン
と二回ノックをして中に入ろうとする。
あっ、まずい。これを言ってなかった。流石の五月もビジネスマナーまでは知らなかったのか。
中から例の音がなる。
「あー、なるほどね。二回だからか。」
とつぶやき、
「これ、どうせ上坂先輩でしょ。」
と言って、三回ノックする。返事を待たずに
ドアを開けて、
「先輩こんにちは、なかなかいい趣味してますね。」
「あら、五月ちゃん。どう?継承しない?継承してくれる子を探してるのよー。」
と、五月と、上坂先輩が話し始めたところで急いで紙を貼り付ける。これで大丈夫だ。
しばらくして、僕も三回ノックして中に入る。
今日は安心だな。
しばらくして、
「ちょっとー、今日来る人みんな三回ノックするからつまらないんだけどーー。会長あたりがなんかしたーー?」
と上坂先輩が生徒会室で暴れている。
「えっ、ノックの回数も何も……」
と他の今期役員が余計なことを言いそうになるので
「あー、なんででしょうねーー、あー、不思議だなー。」
と言って誤魔化しておく。
「うーん、青、誤魔化すの下手くそだねー。」
五月もこいつまじかよ……って目で見てる。
「で?何したの?」
「……何も!!!なかった…!!!!」
と腕組みしながら言っておく。何したかさえバレなければなんとでもなる。
先輩は少し考え込んだかと思うとおもむろに立つ。あと新役員は高橋と春菜だけ。その二人が来るまでなんとかすれば耐えられる!!
先輩はドアの方に向かう。まずい、バレたか
「私なら、こうする。」
そういって彼女はドアを開けてドアの張り紙を見つけて
「ほら、あったーー。」
と言って、ニコニコしながら剥がそうと取り掛かる。しかし、ちゃんと貼っているので、なかなか剥がせないらしく、ドアを閉めてガチで剥がしている。そんなにあれが大事か。
残念なことに僕は春奈にあの音を聞かせられないんだ。
カチッと、音を立てて、ドアを閉める。
完璧だ。僕の勝ちだ!!そう確信して拳を上に掲げる。
「そんな小賢しい真似しても無駄だよ。」
と、先輩が言ったかと思うと、ガチャリと音を立ててドアの鍵が開く。なんでぇ、?鍵、持ってたのー。あ、そっか、この部屋に最初に来たのが先輩だから。鍵を持っていたのか。不覚。
そう思って、諦めた。
コンコンと二回ノックが部屋に響く。先輩は僕に向かって勝ち誇った顔でICプレーヤーを操作しようとする。しかし、先輩の顔が曇る。ICプレーヤーがないのだ。
えっ?なんで?
先輩もそんな気持ちだったのだろう。かなり焦っている。先輩が焦っているところなんて初めて見た。
すかさず五月が
「どうぞー」
と叫ぶ。高橋が入ってくる。
「五月ちゃん!?」
「春奈にはあんな音を聞かせられませんよ。」
「どこにやったの?私の、大事なICプレーヤー。捨ててたら容赦しないよ」
すごい迫力だ。そんなに大事だったのかな。
そんな迫力にも臆せず五月は
「さあ?どこでしょうね。」
ととぼけてみせる。かっけーー。
「でもね、五月ちゃん、甘いよ。糖度でいうと19くらいだよ。」
そりゃ相当甘いな。
「もう一つあるんだよ」
先輩はカバンをゴソゴソし始める。ホントにもう一つICプレーヤーが出てきた。
「で、でもそれがホントに同じ音が入ってるかわからないですよね。さっき使わなかったのも怪しい。」
「さっき使わなかったのはカバンから出す前に貴方が返事をするからじゃない。それに、これに音が入ってるかなんて、春菜ちゃんが来たらわかるでしょ?」
形成逆転。まずい、五月も流石に打つ手なしで下を向いている。
引き継ぎ式の三分前、ノック音が響く。ああ、もう駄目だ。
コンコンコン
え?三回……?春奈が、三回?五月や、上坂先輩も驚いている。驚いた顔をしているのを尻目に三年生の副会長が
「どうぞー、」
と言う。ドアが開くと春菜が入ってくる。
「ん?なんでそんな変な顔してるの?」
と無邪気な笑みを浮かべている。
五月はICプレーヤーを先輩に返しながら、
「馬鹿みたい。」
と呟いていた。
数日後、後期生徒会の一年生メンバーが後期の生徒会長に集められた。
「えっと、会長、どうしたんですか?」
五月が尋ねる。
「俺はまだ生徒会長ではない。来週文化祭があることは君たちも知っていると思う。そして、生徒会主催で謎解きをするんだ、題して文化祭マジック〜血湧き肉躍る感覚〜」
なんだ、そのタイトル。エグいな。どうせ上坂先輩だろ。そのタイトルつけたの。でも、それが僕たちになんの関係があるんだ?
「それで、その謎解きは景品がでるんだ。」
へーすごいね。
「ただ、これを渡すのは後期生徒会。ホントだったら前期生徒会が予算を確保すべきなんだけど……」
あ、読めた。あの先輩が言ってた予算をなんとかして、文化祭の準備を免除されたってこの話か。クソ、あの女……。
「あっ、ゴッメーン予算の確保忘れちゃってたー。でも、渡すのは後期だから後期で負担しておいてーと言われた。」
うわー、ゴミ。
「だが、我々は上坂先輩の横暴には従わない。」
わー、会長かっこいいー、さすが。
「というわけで、君たちには謎解きで一番に謎を解いてほしい。そして、景品を辞退すれば、我々が予算を使う必要がなくなる。」
前言撤回、こいつ、ゴミ。無理だろ。
「我々も手伝いたいが、生憎クラスの方の仕事があってね。」
というわけで、文化祭は謎解きをすることに決まった。
というわけで文化祭編は謎解きがあります。ない頭を絞って考えたので、楽しんでいただけると嬉しいです。