ラブコメなんて実際に起こり得ないことの証明   作:寿太郎

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27.文化祭その3

トイレに入ってしばらく考える。26って数字どこかで聞いたことある気がするんだよな。どこだっけ?うーん、と唸っているとふとさっきの先輩の言葉がフラッシュバックする。

 

あー、そういうこと?わかった、わかったよ。どうやらトイレと風呂、布団の中だとアイディアが出やすいという中国かどっかの話は本当だったらしい。えーっと、つまり、うーん?よくわからない。暗号はわかったけど多分僕の知識が足りなくてアナグラムが解けない。五月なら解けるだろうから、一旦戻るか。と思ってメイド喫茶に戻る。

 

誰もいない。

 

は?

 

愛梨が近づいてきて

 

「あのー、青ー?みんなはーどっかいったよーみんながー上坂先輩がー悪いってー言ってたー」

 

だろうね。あの人が元凶でしょ、どう考えても

 

「愛梨ちゃーん、こっち手伝ってーー」

 

盛況ということもあってか、忙しいらしく、呼ばれている。

愛梨は申し訳無さそうな顔をしながら

 

「ごめんねー、もう戻らなきゃー、先輩がーお金はー払って行ったからーお金はー大丈夫だよー。」

 

よかった、そこまで鬼畜じゃなかったらしい。

 

追い出されるようにして、外に出る。

 

五月がいないと暗号を完璧には解けないので、(解き方はわかるんだけど……)

五月を探すが、全然見つからない。

三十分くらいして、諦めた。

 

 

 

この人混みの中で一人というのはなかなか不思議な気分になる。周りがそれぞれの世界を形作っている中で一人だけ違う世界にいるような、そんな気がする。

 

仕方が無いので、図書室に行って、辞書を引く。

あの謎は番号がアルファベットに対応している。アルファベットは26個だから、26番まで番号があったというわけだ。そして、あの紙のサイズもヒントになっている。A5サイズだから、英語。くだらない洒落だ。そして、アルファベットを取り出すと、ceeegrになる。このアナグラムを解くと(というか頑張って辞書を引いた結果)greeceになった。ギリシャ語、ギリシャという意味だ。なんとか五月に聞かなくてもわかった。でもこれがどういう意味なんだ。

 

 

 

 

フラフラと一人で歩いていると、人混みができている。どうしたんだろう、と思って見てみると、物置だ。

 

1:物置

 

という紙が貼ってある。これで3つ目か。

情報を整理すると、

 

1:物置

2:実験室

3:鳥小屋

 

である。何かしら規則性があるはずなんだけど。そして、greece。どういうことだ?何か引っかかる。何かきっかけがあればすぐに思いつきそうなんだけど。

 

いくつかのクラスを巡ってみるが、何の結果も得られない。困った……。そろそろお昼時である。ご飯を食べよう。春奈たちとも会えるかもしれない。食堂に行って適当に定食を買って、食べる。

 

学校でボッチ飯なんていつぶりだろうか。いつもは五月や春奈と食べていたから、新鮮に感じる。一人で食べるのも悪くないものだ。学食は文化祭ということもあり、かなり盛況だ。この定食を買うのも大変だったし、席もなかなか空いていない。僕の隣は空いているけど。

 

そんなことを思っていると、視界の端っこからちょこちょこと小さな美少女が歩いてきて、僕の目の前に座る。一人だけ私服だからやけに浮いている。

我が高校の文化祭は一応届け出さえ出せば、誰でも入れることになっている。(ただ、平日だしほとんど来ない。)明らかに大学生のようでOGだろうか。と思わせる。その可愛らしい少女は僕の目を見つめて微笑をたたえる。そして、トレーに載せたうどんを机において、僕の隣に座る。フワッといい香りが漂う。なんでかわいい子ってこんなにいい匂いがするの?普通に可愛いのでドキッとしてしまう。

心臓が早鐘をうち、ロックのBPMを超えそうになったとき、少女が

 

「ねえねえ、文化祭なのに、ボッチ飯。今、どんな気持ち?どんな気持ち?」

 

と煽ってきた。あ、これ上坂先輩タイプの人だ。

途端に心臓が刻むビートは急速に遅くなる。

 

「誰ですか?」

 

当然の反応だと思う。

 

「私?私はね~永野唯。ここの卒業生だよ。」

 

永野唯……会長が言ってたな。

 

「永野先輩でしたか、元生徒会長の。」

 

彼女は驚いた様子で、

 

「あれ?知ってたの?私のこと。」

 

「会長に聞きました。」

 

彼女はそう聞くと目をパチクリとさせて、

 

「会長……今の会長か〜、田中だな。」

 

「はい、そうです。」

 

「じゃあ、君は〜青かな?春奈?それとも五月?」

 

「青です。」

 

「そっか〜青かー。一回会いたかったんだよね。一緒に回ろーよ。というかなんで一人なの?」

 

「上坂先輩においていかれました。」

 

「あー、流石静ちゃんだねー。」

 

食事を終わらせてその場を去ろうとすると、手首を掴まれる。

 

「ちょっと、一緒に回ろうって言ったでしょ。」

 

不機嫌そうに上目遣いで見つめられる。上目遣いはやめてほしい、心に来る。

 

「僕は了承してないですよ。」

 

「君には拒否権はないよ」

 

なんで?

 

「ちなみに断ったらどうなります?」

 

「ここで号泣する。」

 

やめてほしい。普通にロリっ子にしか見えないから下手すると警察沙汰。

 

仕方が無いので待ってあげる。

 

「先輩は僕なんかに構ってていいんですか?会長とか上坂先輩とかに会わなくていいんですか?」

 

「いいよー、どうせ忙しいだろうし。」

 

彼女は手をブンブンと振って否定する。

 

「でも上坂先輩は暇だと思いますよ。今年、あの人仕事してないですから。」

 

「いや、私は君に興味があるの、青。静ちゃんに気に入られてるあなたがね。」

 

やっぱり気に入られていたのか…と思っているとテーブルに手をついて、頬にもう片方の手を置きながら耳元で

 

「君のことが知りたい……駄目かな?」

 

と囁く。ゾクゾクッと背中が震える。白くて、柔かい手が頬に、触れる感覚、耳元に当たる吐息。何か艶めかしい。生唾を飲み込む。周りの人もこちらを見て、喉を鳴らしているのがわかる。気づいたらコクッコクッと頷いていた。

 

「フフッ、ありがと、」

 

そういうわけで永野先輩と一緒に行動することになった。

 

「それで、僕は今この謎を解いてるんです。」

 

一通り今までの経緯を説明する。

 

「ふーん、流石静ちゃんだね。」

 

「はい」

 

「じゃああのgreeceっていうのはヒントかな?」

 

え、この人やばくね?

 

「あのパンフレットのやつですよね?」

 

「うん。なんか数字変だなっと思ってね。少し考えたらわかったよ。」

 

この人天才なんだな。

じゃああの問題も解けるのかな

 

「そうなんですね、すごい。」

 

その後、問題の内容を説明する。

 

「ふーん、今3つあるんだ。」

 

「わかりますか?」

 

「ちょっとまってね」

 

腕組みして人差し指で頭をコツンコツンとつつきながら考えているらしい。すごく絵になる。5分くらいたって

 

「わかった。」

 

えっ、すごい。

 

「学校の謎解きだけあって難易度は控えめだね。」

 

「じゃあ……」

 

「でも、教えなーい。私が教えたら面白くないからね。」

 

と言って僕の手を引く

 

「リラックスしたら思いつくかもでしょ?あそこに射的あるよ、行こ?」

 

と言って僕の手を引いたままその教室に入ってしまう。

 

ただ、二人とも下手くそで消しゴムしか手に入れられなかった。

 

「おっ、モノケシだねー」

 

ここで、引っかかりを覚えた。ある記億がフラッシュバックして糸が解けるように謎が解けた。モノケシ、モノ、モノ…

 

「テトラ……ですね?」

 

「わかったんだね?」

 

「はい。」

 

この謎は番号と言葉の関係性が重要だったのだ。ギリシャ語の接頭辞は1がモノ、2がジ3がトリ。だから

1:モノ置き

2:ジっ験室

3:トリ小屋

というわけだ。そして、次は4だからテトラで始まる場所に行けばいい。こんな特徴的な場所は一つしかない。生徒会だ。別名テトラポッド。

だから、ヒントがgreeceでギリシャ語だったわけだな。

急いで生徒会室に向かう。生徒会室のドアは開けられていて、ドアの近くには解答用紙がある。解答用紙には

4:

と書かれている。間違いない。ここにテトラポットと書けば正解だ。シャーペンでテトラポットと書いて、そこにいる会長に渡す。

会長は永野先輩が来ていることに驚きながらも

 

「え?永野先輩?……ああ、答えか、すまない、少し驚いてしまって。ああ、正解だ。おめでとう、一番乗りだよ。」

 

安心して座り込んでしまった。

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