ラブコメなんて実際に起こり得ないことの証明   作:寿太郎

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29.文化祭におけるそれぞれの考え方

文化祭。それはリア充が同時多発的に発生する現象。リア充が大嫌いな人間からしたら魔の行事だろう。実際、俺、高橋は当初この文化祭が終わったら小鳥遊に告白しようと思っていた。文化祭マジックでオッケーがもらえるかもしれないと考えた。

でも、やめた。なぜなら、もし振られたら生徒会の仕事に影響が出ると考えたからだ。というか明らかに振られる可能性が高い以上、生徒会に迷惑をかけないようにするためにやめたほうがいいだろう。生徒会という責任ある立場についた以上、責任は果たす必要がある。

 

 

 

 

 

文化祭当日、今日はうまく小鳥遊と会話などができるといいな。そんなことを思いながら、開会式に参加する。

 

次期生徒会の一年生メンバーと上坂先輩で行った初めのクラスでは劇をしていた。クソつまらなかった。ただ、すごく演者は楽しそうにしていて、ああこれが自己満足なのかなあと思ったりした。上坂先輩の感想は辛辣だが、的確ではある。

 

次のクラスはお化け屋敷だった。二人組じゃないとダメだというので仕方なく二人組をつくる。本当は小鳥遊と一緒がよかったが、そうはいかないらしい。小鳥遊は玉口と二人でさっさと入ってしまった。

 

「あれ?今5人だから一人余っちゃうね。じゃあ誰かおねーさんと行きたい人!!」

 

と上坂先輩が言っているが、当然俺と小西は一緒に行きたくないので

 

「一緒に行かないか、小西」

 

「うん、いいよ。」

 

というわけで一緒に行くことになる。

 

「へいへい、ちょっと!高橋君、こんな美人のお姉さんとお化け屋敷なんて滅多にないよ!!」

 

「自分の行動を振り返ってください。」

 

「ちえー」

 

と言って先輩がさっさと一人で入る。

 

「ギャーー」

 

なんか先輩以外の悲鳴が聞こえるんだけど……

二人で恐る恐る入る。ただ薄暗いだけで何も怖くない。

 

「ねえ、高橋、君は青のことが好きなんだよね?」

 

随分急だ。

 

「唐突だな、まあそうだな。」

 

「かなり厳しいってわかってる?」

 

どうしたんだ、かなり直球だけど

 

「ああ、わかってる。明らかに小鳥遊は俺に好意を持っていない」

 

「わかってるならいいの。」

 

そう言って彼女は目を泳がせて、逡巡しながら、

 

「私もね、好きな人がいるの。」

 

と躊躇いがちに話し始めた。どうしたんだ、急に

 

「今日、告白するつもり。」

 

そうなのか。

 

「私はね、失敗する可能性の方が圧倒的に高いと思ってる。だって相手は女の子だもの。」

 

衝撃だ。頭が衝撃についてきていない。

 

「もし、私が振られたらしばらくはマトモに仕事ができないかも。だから、そのときはよろしくね。」

 

そう言って、彼女は一人で歩いていった。俺の返答も聞かず。俺はまだ混乱してるんだけど。なんで彼女は俺に話したのか。なんで小鳥遊のことが好きか聞かれたのか。わからない。

 

 

 

その後、メイド喫茶に入ったはいいが、どうやら上坂先輩が暇であることに不満らしい。

じゃあついてくるなよ。小鳥遊に面倒くさい絡み方をしている。可哀想に。

 

「ちょっとトイレに行きます」

 

そう言って、小鳥遊は去っていった。

 

「あっ、逃げたなーー。」

 

そんなことを言ってしばらく文句を言っていたが

 

「よし、青を置いてみんなで何処かに行こう!!」

 

何を言っているんだ。

 

「置いていかないなら……」

 

と言って

 

「ねえねえ、面白い話をしてよ」

 

と店員さんに話しかけ始めた、やめなさい、迷惑でしょ。

 

流石に迷惑をかけるわけにはいかないので店を出る。

 

店を出ても

 

「よし、他のクラスに行こう!!」

 

「いやいや、行くなら一人で行ってくださいよ」

 

「ふーん、私を一人にしていいんだー、」

 

と言う。怖いな

 

「私、一人になったらなにするかわからないよ?」

 

これ以上の脅し文句があるだろうか。いや、ない。(反語)

こうしてまんまと全員で上坂先輩についていく羽目になる。上坂先輩は御満悦のようだ。

何がしたいんだ。

 

「ちなみに、どのクラスを回っても情報はないよ。」

 

と上坂先輩が言う。急なヒント。

 

「じゃあどこにあるんですか?」

 

と小西が聞く

 

「教室以外。」

 

そこで、色々なところを探し回る。教室じゃないならどこだ?

しばらく探して物置で謎を発見する。

にしてもわからんなー、どういう規則なんだ?物置で俺たちが謎を発見したことが伝わったのか大勢の人がやってくる。

 

「人が来る前に退散しようか」

 

という小西の言葉でさっさと物置を離れる。その後、少し遅いご飯を食べて、フラフラあるきながら謎を考えていると、

 

「私、あれが見たい!!」

 

と言って上坂先輩が演劇部のポスターを指差す。

「True Love」という題だった。先輩はこういうのが好きなのか。まあ、演劇見てる間は先輩も静かだろうし、謎を解くのに集中できるからいいか、ということでその演劇を見ることになった。

 

俺は謎について考えていて全然劇を見ていなかったのだが、隣で見ている上坂先輩はなかなか楽しそうだった。こういうの好きなのかな。

 

 

劇が終わると、小西が

 

「謎は解けた。」

 

と言って生徒会室に向かうことを提案していた。

 

「じゃあ説明してみて」

 

という先輩の言葉によって小西が全員に対して説明する。どうやら正解だったようで、満足気だ。

生徒会室に行くと、会長がいた。

 

「会長ー、この子たち正解だったよー。」

 

と上坂先輩が会長に告げる。

 

「おー、よかったな。でも二番手だ。残念だったな。」

 

「えっ……」

 

こりゃ終わったな。後期の予算で景品を買わなきゃと思ったところで、

 

「一番は小鳥遊だったな。ついさっきまでここにいたんだが、永野先輩に連れられてどっかいったよ。」

 

このあと、俺が小鳥遊と会うことはなく、文化祭か終わった。特になんの進展もなく、残念な結果に終わった。悲しい。

 

 

 

文化祭の翌日、スマホを見ると、ラインの友達かものところに上坂静という文字が踊っていた。

なんでこの人が俺のラインなんて……

事前に聞いていた通りヤバい人だった。

そんな人とできればお近づきになりたくないんだけど。

少し悩んだ後にラインを追加しておく。これで追加しなかったら後で何されるかわからないからな。

 

すぐに通知が来る。先輩からだ。

 

「急に可愛い先輩からラインが来てビックリしたでしょー。」

 

何言ってるんだ、この女。俺は小鳥遊しか興味ないぞ。

 

「あのそういうのいいんで、俺は。」

 

と返しておく。

 

「あー、はいはい。知ってるよ。青のことが好きなんでしょ?」

 

誰から聞いたのだろうか。

続けてラインが来る。

 

「ここ、来て」

 

その後に店のホームページのURLが貼られる。どうやら、学校の近くの喫茶店みたいだ。

ちょうど近くにいたので、すぐに向かう。変な人には従わないと後が怖いからな。

店につくと、先輩は窓際の端っこの席に座っていた。俺が来ると、手を上げて

 

「おーい、こっちこっち。」

 

と言って、手をふる。わかってるし恥ずかしいからやめてほしい。

先輩が座る向かいの席に行って、腰を下ろす。

 

「ご注文は何になさりますか?」

 

と聞かれたので

 

「うーん、カフェラテで。」

 

と答えると、先輩が

 

「青はブラックが好きだよ。」

 

と声をかけてくる。ブラックを頼めということだろうか。まあ、なんでもいいからいいや。

 

「あっ、やっぱりカフェラテじゃなくて、ブラックで。」

 

と言っておく。店員は今の俺たちの会話の意味を察したのか、俺を見てニコニコしている。

 

「いいね、青春って。」

 

そう呟いて厨房に戻っていった。

別にそんなのではない。ただ、先輩が怖かったからコーヒーにしただけだ。

 

コーヒーが来てからしばらくしても先輩は要件を話し始めない。俺はわざわざこんなところに呼び出した理由が気になって先輩に聞く。

 

「あの……先輩、なんで俺を呼んだんですか?」

 

先輩はコーヒーを一口含んで窓の外を見ながら

 

「高橋君、青のこと好きだよね?」

 

俺は慌ててしまい、飲んでいたコーヒーが気管に入って、むせてしまった。

 

「ゴホッゴホッ」

 

「何?ゴッホ?私芸術は得意じゃないんだよねひまわりくらいしか知らなーい。」

 

何を言ってるんだこの狂人は。

俺は息を整えて、

 

「なんでわかるんですか?そんなにわかりやすいですか?」

 

「うーん、春奈に聞いた。」

 

なんだ、分かりやすいわけではなかったか。少し安心して話をすすめる。

 

「はい、好きです。でも、それがどうしたんですか?」

 

先輩はコーヒーを一口含んで肘をついて

 

「どこが好きなの?」

 

と聞いてくる。どこがと聞かれても難しい。

 

「えー……どこがというか、全部ひっくるめて、ですかね。」

 

と答えると

 

「ふーん、」

 

と言って胡乱げな目で俺を見る。

 

「なんか、こう言語化できないんですよね。俺が小鳥遊を好きになったのは絶対に一目惚れなんですけど、小鳥遊は特別魅力的だとは思わないし……何か他のポイントがあるんだと思います。」

 

「ふーん、なるほどね。にしても事実だとしても自分の好きな子にそんな直接的なもの言いするんだ。」

 

少し興味を持ったようだ。笑いながらそう言う。

 

「それに、好きなところを列挙するのは簡単ですけど、じゃあそれを全部満たしてたらお前は他の人でも好きになるのか?って聞かれたら答えはノー。ですし、その条件があるから好きなんじゃなくて、小鳥遊だから好きなんですよ。うまくいえないけど、」

 

と、自分の思いの丈を述べる。

 

「高橋はかなりロマンチストだね。」

 

急に呼び捨てになったな。まあいいけど。

ロマンチストと言われるとかなり恥ずかしいからやめてほしい。

 

「そんな高橋は今後、青に思いを伝えるのかな?」

 

「いえ、生徒会が終わるまでは伝えるつもりはありません。生徒会に迷惑をかけれませんから。」

 

そう、頭をかきながら答える。

 

「そう。それがいいわ。君じゃ青とは付き合えない。」

 

かなり直接的な物言いだ。確かに全然小鳥遊は俺のことが好きだという素振りを見せないけど……

 

「そんなの、なんでわかるんですか!!」

 

先輩はコーヒーを一杯飲んで、

 

「わかるよ……だって青は春奈がすきだから」

 

 

え?小鳥遊が、玉口を……?衝撃で思考が一時止まる。頭がショートして何も考えられない。辛うじて出てきたのは次のような言葉だった。

 

「え……で、でも、小鳥遊は、小鳥遊は女じゃないですか!!」

 

取り乱してしまった俺に先輩は少し冷ややかな視線を送って

 

「そうだね?だから?」

 

その視線で正気に戻って、

 

「すみません、取り乱しました。つまり、小鳥遊は同性が好きなんですね。」

 

未だに驚きが隠せない。鉄パイプで頭を殴られたみたいな衝撃だ。まあ、殴られたことないけど。

 

「そうだよ、そういうこと。だから君には厳しいよ。でも、諦めないでしょ?」

 

「はい。」

 

当然だ。

 

「ま、それなら頑張ることね。」

 

そう言って、先輩は黙ってコーヒーを飲んだ。それにつられて俺もコーヒーを一口飲む。仄かな苦さが口に広がった。

 

 

 

しばらくして、俺は帰ることにした。

 

「お金はいいよ、私が払っておく。」

 

え、申し訳ない。

 

「いや、いいですよ。」

 

というが結局押し切られてしまった。案外いい人なのかもしれない。

 




ここまで長かった。これを書くためにこの作品を書き続けていたようなものなので、一息ついています。ちゃんと青が男だって騙されてくれましたかね?そこだけが心配です。
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