ラブコメなんて実際に起こり得ないことの証明   作:寿太郎

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32.生徒会の仕事

さて、今日から生徒会の仕事を始める。文化祭の翌週ということもあり、まだ完全には書類などが片付いていないようで、前期の生徒会役員もチラホラ見られる。そして、何故か上坂先輩もいる。ホントになんで?

 

「えー、では今期の予算について話し合います。」

 

と会長が話し始める。

 

「いえーい!!」

 

上坂先輩がうるさい。

 

「いえーい!!」

 

遠坂先生も年甲斐もなくはしゃいでいる。

 

「僕、予算とかどうやって決めてるのか知らなかったから楽しみだよ。」

 

はあ、そういうものかね。

 

「まず、例年通り予算は部員の人数によって割り当てるということでよいですか?」

 

「えー、つまんないー、くじ引きで決めようよ!!」

 

この人大丈夫?この人、ここにいたら駄目でしょ。

そんなアホなことを言う上坂先輩は無視して、話し合いが進んでいく。

結果、部員の数に応じて予算を配分して、各部活に買いたいものを申告してもらうことに決定した。

その日の話し合いはそこまでで、後は会計が各部長に書類を書いてもらうことをお願いしに行った。

僕たちは昨日と同様に過去の先輩たちの議事録からどのような改正案だったのかを読み解く。流石に議事録からではなかなか難しいが、骨格はわかる。その日は情報を整理していたら下校時刻が近づいていたので、帰ることになった。

 

次の日。緊急で生徒会メンバーが集められた。

 

「えーと、実はー」

 

と二年生の会計の人が切り出す

 

「サッカー部が予算を上げてほしいらしいの、それでね、活動実績に応じて部費は決定するべきじゃないかって言っててね。どうしようかと」

 

会計の人はなかなか困り顔だ

うむ、確かに活動実績に応じて予算を分配するというのは一定の合理性があるように思われる。

 

「あー、サッカー部は今期もそれ言ってるのかー。」

 

と上坂先輩が呟く。

 

「えっ?今期もってことは前期も言ってたんですか?」

 

と五月が聞くと、上坂先輩は大きなため息をついて、

 

「うん、そうだよ、調整が面倒くさいから断ったけど。」

 

調整が面倒くさいという理由で断るなよ……。

流石に今季の生徒会はそんな理由で断るわけにもいかず、真面目に話し合いをするらしい。

 

「うーん、サッカー部の言うことに一理ありますが、部活動の目的は勝つことではないですからね。退けていい気がします。」

 

と五月が言うと、

 

「でも、活動実績が殆どないのに部費を与えるのは良くないんじゃないか?」

 

と副会長が反論する。

 

「確かに。では、一部の部活については活動内容の視察が必要ですかね?」

 

「俺はそう思う。」

 

というように話がまとまったらしい。部活の視察ねー。

因みに上坂先輩はニヤニヤして見ている。絶対に碌なことにならないぞ。あの人のあの顔は碌なことにならないことを楽しんでる顔だからな。もしくはクソみたいなイタヅラを思いついたとき。

 

 

翌日、五月が視察が必要な部活をリストにまとめてくれたらしい。僕は家庭部の活動内容を視察することになっているらしい。家庭部か、確かに何やってるのかわからんな。

 

活動場所は家庭科室らしい。そりゃそうか。

寧ろ家庭科室でやらずしてどこでやるのかという話ではある。

 

「じゃあー、私は春奈についてくね。」

 

どうやら上坂先輩は春奈について行くらしくホッと一息をつく。春奈、可哀想に。

みんなから哀れみの視線を受けながら春奈が生徒会室から出ていった。それを皮切りにして続々とそれぞれの場所に向かう。僕も家庭科室に向かう。

コンコンコンと体に染み付いた三回ノック(といってもそんな長い間してるわけでもないけど)をして、家庭科室に入る。

 

中に入るとそこはまるで、工場のようだった。いや、工場というのは少し語弊があるだろうか。機械が並んでいたりするわけではない。みんなで縫い物をしているのだ。まあ、それなりに楽しそうにしているのではあるが、それでもなかなか見られる光景ではない。

 

部活中に入ってくる人が珍しいのかみんなが一斉にこちらを見る。そこで僕は

 

「えー、生徒会の者です。部長はいますか?」

 

と声をかける。この部活の性質上仕方ないのかもしれないが男女比が著しく偏った部活では非常に珍しい男が部長らしく、こちらに歩み寄ってくる。男は僕の前に立って

 

「えーと、どういう要件ですか?」

 

と聞いてくる。

 

「えーと、部活の活動の実態調査を行っています。一部の部活から活動の実態があまりない部活に予算を回すのは如何なものかという意見が出ましたので、やってきました。」

 

「あー、そうなんですね、それで、ご覧の通り活動していますが、何かご用がありますか?」

 

ちょっと喧嘩腰で怖いんだけど、

 

「えー、この紙に活動内容等を記入してください。」

 

というと、素直に記入してくれる。

よかった、と胸を撫で下ろす。

内容を見ると、活動内容もしっかりしてるし、貰ってる部費も有効に活用してるように見える。

 

「ご協力ありがとうございます。この内容であれば、必ず部費を昨年と同じ程度用意できます。安心してください。」

 

そう言うと、彼はホッと安心したようで

 

「ありがとうございます。」

 

と言われた。

そのあと、その紙を持って家庭科室を出る。

生徒会室に戻る途中で

 

「青ーー、助けて!」

 

と春奈の声がした。そちらの方を見ると、青がこちらに走ってきている。

 

青が僕の近くまできて

 

「無理!!あんなの!!」

 

と言い始めた。なんだ?上坂先輩もいないし。もう嫌な予感しかしない。

 

「どうしたの?」

 

「上坂先輩が向こうの味方するんだもん。あの人に勝てない。」

 

なるほど、あの人は一度お灸を据える必要がありそうだ。あっちの味方するのは流石に予想外だな。どうしようか。取り敢えず春奈に話を聞く。

 

「で、何があったの?」

 

「なんか、私はねラグビー部に行ったの。」

 

ほうほう、運動部ならなんか普通に活動してそうなものだけどな。というかラグビー部とかいう男臭い部活に春奈を行かせるなよ、あのいけ好かないイケメンを連れてこい。

 

「それで、部室に行って、部長を呼んだらすごいムキムキの人が出てきて、生徒会か、予算の話だな?俺は予算の削減に断固反対する。そもそも部活動というのは実績のある部活が優遇されるべきではなく、高校生として、勉強以外の学ぶべきものを学ぶための場所だ。って言ってー」

 

ゴリゴリのマッチョがそれを言うのかなんか、違う感あるな。

 

「それに上坂先輩もそうだそうだーーって言い出して、それで逃げてきたの。」

 

それでいいのか副会長。

 

そう思いながら、春奈と二人でラグビー部の部室に向かう。コンコンコンと三回ノックをして、中に入る。

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