ラブコメなんて実際に起こり得ないことの証明   作:寿太郎

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37.第一回話し合い

予算の話も一旦まとまったので、五月はまだ予算にかかりきりだが他の人はなんとかスマホ利用についての改正案を作る方に注力できるようになった。なんとか最初の話し合いまでに改正案が形にできたので、一安心。初めの公約通りになんとか二週間以内に形にできた。そして、今日は初めての話し合いの日だ。資料を用意して、一年生のメンバー全員で会議室に向かう。初めての話し合いということもあって、緊張してきた。心臓がドクドクと早鐘を打っている。

 

一番前にいる春奈がコンコンコンと生徒会室で鍛えられた三回ノックを披露する。中からどうぞ~と声がきこえたので、ガチャリと音を立てて、春奈がドアを開ける。失礼しますと言って、中に入るとそこは長机が二つ並べられていた。長机といっても会議室にあるでかいやつだ。その入口に近い方に校長、教頭、生徒指導の先生、さらに遠坂先生が並んでいる。校長はなんかたぬきみたいだ。小物感が半端ではない。教頭は校長の腰巾着。同じく小物感が半端ではない。春奈が先生の前に立って、緊張して居るのか少し硬い声で説明を始める。会議室の人工的な明かりに照らされているからか、少し、春奈がいつもと違うように見える。もしかしたら、それだけが理由ではないかもしれないが。

 

 

春奈が淀みなく説明を終える。概要はずっと言っていたとおり、行事のときにのみスマホの利用を認めるものだ。

 

質問の段階で校長が手を挙げる。

 

「質問だが、それをやることによって当校にどのようなメリットがあるというのだ」

 

やけに高圧的な話し方だ。高校生だからといって侮っているのが手に取るようにわかる。五月がそれに気づいたのかちょっとピキッている。

そんな五月に答えさせたらどうなるかわかったものではないので、さっさと僕が答える。

 

「メリットというより、学校機関として不要な束縛を取り去った方がより、健全な学校運営になるではないかと考えています。」

 

「なるほど、しかし、他の学校はやっていないわけだから、学校教育として不要の産物だということではないかね?それに、もしスマホを紛失したら誰が責任を取るんだ。」

 

高校生にもなってそんな心配するのか……(困惑)などと思っていると、次は高橋が

 

「他の学校が取り組んでいないというのは取り組まない理由になり得ないと考えます。先例がないのであれば作るのが生徒会の役目であると考えていますので。それに、先例がないからと言ってしまっては何もかわりません。また、紛失についても自己責任でよいかと思います。高校生ですから、流石に自分のものは自分で管理できるでしょう。」

 

と完璧に受け答えしたが

 

「うーん、しかしなあ、」

 

と返答は渋い。教頭と目を合わせてうんうんと唸っている。結局このあとは意味のない問答を繰り返して終わった。流石にこれで逃げ切れるなんて思ってないよな?会議が終わり、会議室を出ると、

 

「なんなの、あの狸、偉そうに」

 

五月は随分ご立腹だ。怒りながら生徒会室に戻る。生徒会室に入ると、遠坂先生と上坂先輩がいた。あと、副会長も。副会長はカタカタパソコンを打っていて、上坂先輩は遠坂先生と何か話している。遠坂先生、戻ってくるの速くない?エグいて。

 

「あー、青たちだー。おかえり~」

 

と僕たちに気がついて上坂先輩が声をかけてくれる。

 

「なんなんですか、あの狸!!」

 

と言って五月が腰を下ろす。

 

「あー、五月ちゃんもあの狸の洗礼を受けたかー。しょーもない質問ばかりして認めてくれないんでしょ?」

 

「ホントに。わかってくれますか?」

 

と言って無限悪口編に突入した。

 

悪口をずっと言っている五月は放置して、この後の方針を固める。

 

「取り敢えず今日でた疑問点を洗い出して改正案に盛り込む?」

 

「そうするしかなくない?あと、議事録をそのまま公表しようよ、生徒側もかなり苛立つでしょ。生徒全体で動いた流石になにかしら向こうも認めざるをえないでしょ。」

 

と僕と高橋で話し合う。高橋はちゃんと仕事ができて話し合いの相手にはかなりよい。

 

僕達が改正案をまとめ終わったあたりで悪口も言い終えたらしい。五月がこちらにやってきたので、

 

「五月、生徒に対する報告は、どうする?」

 

と聞く。

 

「なんか腹立つし、議事録をそのまま貼れば?」

 

と五月が言う。

 

「えっ?ホントにそれでいいの?」

 

と遠坂先生が珍しく心配している。遠坂先生がこんなこと言うなんて驚きだぞ。

 

みんなも驚いたように目をパチクリさせている。春奈の大きな目が見開かれていてかわいい。

 

「えーと、先生はどうしてだめだと思うんですか?」

 

と聞いてみる。

 

「今後の交渉のため。」

 

驚いた。この人、ちゃんと顧問するんだ。上坂先輩と同じ枠だと思った。みんなそう思っていたようで僕と似たような顔をしている。

 

「今君たちはかなり失礼なことを考えているね。」

 

そう言って、少し不満気だったが、

 

「物事を考える時に一番大切なのはベクトルを間違えないことだ。」

 

とだけ言ってどこかに行ってしまった。

 

「全くー、せんせーは過保護だなー、そんなのほっとけばいいのに。」

 

「そうもいかないだろう。教師なんだから。」

 

などと言う声が聞こえる。取り敢えず議事録をそのまま貼るのはやめた方がいいらしい。

 

「なんでだろ。」

 

そう独り言が漏れた。

 

なんでかは分からないが、取り敢えずやめたほうがいいらしい。適当に内容をまとめてからプリントアウトして、掲示板に進捗として貼っておいた。

 

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