ラブコメなんて実際に起こり得ないことの証明   作:寿太郎

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39.またお前か

今週末に第二回目のあの狸の校長との話し合いがある。取り敢えず改正案の修正版はすでにできているので、少し暇な時間だった。といってもよくわからん業務があるので仕事自体はある。ただ、そんな差し迫った仕事があるわけでもなく、生徒会室には弛緩した雰囲気が流れていた。今生徒会室には僕と、会長、二年生の会計そして、上坂先輩がいる。今上坂先輩は、僕以外の二人にダル絡みしているので、僕は、ホッと一息ついていた。

 

「ねー、田辺ちゃんそのジュースおしっこみたいだねー。」

 

田辺ちゃんとは会長のことである。田辺会長、可哀想。確かに黄色がかっていて、納得できてしまう

のが悔しい。

その言葉を受けて、田辺会長は飲もうとしていたフルーツジュースを飲むのを少し躊躇うような仕草を見せる。しかし、どうやらそんなことをしても上坂先輩を喜ばせるだけだと気づいたらしく、意を決したように飲む。それを見て爆笑する上坂先輩。

 

可哀想に。そう思いながら、こちらに矛先が向かないことを祈って雑務を片付ける。そのとき、

コンコン

とノックがされる。その瞬間、先輩の目が光り、例の汚らしい音が流れる。当然僕が注意喚起をしたことにより、先輩方は三回ノックしかしたことが無いので先輩方は初経験だ。

 

「ふええ、何これ」

 

「え、何何。」

 

音を聞いて完全に慌てふためいている。怯えているようにしか見えない。一方で、上坂先輩は久しぶりにできたことで嬉しくなっているのかわからないが爆笑している。可哀想に。そうして先輩方に憐れみの目を向ける。

 

しばらくしてもノックをした主は生徒会室に入ってこないので、こちらからドアを開ける。

ドアを開けるとそこにはこの前の予算のゴタゴタで見た、サッカー部の主将がいた。

 

「あっ、どうも」

 

と爽やか系イケメンの彼が爽やかな笑みを浮かべてペコリと軽くお辞儀をする。なんだ、イケメンか。こっちが女だと思ってこういう態度をとってるのかもしれないが、生憎僕はイケメンが嫌いなんだ。

 

「はあ、中にどうぞ」

 

と冷たい声で中に入れる。このイケメンはこういう対応をされたのは初めてらしく、少し狼狽えて

 

「あ、ああ、ありがとう。」

 

と言いながら中に入る。ちょっと冷たくされただけでこれだよ。これだからイケメンは。

 

この男の対応をどうしようかと思ったが、先輩方は上坂先輩に相変わらずダル絡みされていて厳しそうだし、仕方がないので僕が対応するしかないな。

 

「えーと、座っていいかい?」

 

と少し気まずそうな様子でこの男が言う。

 

「空気椅子でいいなら」

 

「えっ、」

 

「冗談ですよ」

 

これだから冗談の通じないやつは、そう思って心のなかで肩をすくめる。

 

「それで、何の用ですか?できるだけ手短にお願いしますね。」

 

「えーと、実はグラウンドの利用割り当ての改定をお願いしたくて、」

 

と話し始める。端的にまとめると、サッカー部は部員が多いのに使えるスペースが狭くて不満らしい。またお前、面倒くさい仕事を持ってきやがって……あからさまに面倒くさそうな目をしながら、

 

「はい、わかりました。」

 

「あ、ありがとう」

 

と女に対して恐らくは効果的であろう爽やかな笑みを浮かべる。正直自分に酔ってそうで気持ち悪い。

引きつった笑みで僕はいけ好かないイケメンが去っていくのを見送った。

ようやくあのイケメンが消えて清々しい気持ちで仕事をこなす。途中で上坂先輩が茶々を入れてきたが完全に無視した。

 

あのクソいけ好かないイケメンの依頼をなんとかするために取り敢えず現状を確認することにした。過去の生徒会の資料を確認すると、グラウンドの使用割当が発見できた。丹念に確認すると、確かにこれだけじゃサッカー部も不満だろう。週に2回しかグラウンドを使って練習できていない、寧ろこの日以外は何やってんだ?問題は明確で部活が多すぎるのだ。陸上部、サッカー部、野球部はもちろんラグビー部、ホッケー部などなどが割と均等になるように分けられている。

取り敢えずどこか不満がないかを各部活に確認するところからだな。

というわけでまずはラグビー部にやってきた。ここは前も来たから来やすい。

 

ガラガラと立て付けの悪いドアを開けると、あの巨体が鎮座していた。何してんだ、コイツ。どうやら、うんうんと唸っているらしく、僕が入ってきたのにも気づいていないようだ

 

「権藤先輩、」

 

と声をかけるとようやくこちらに気づいたようで

 

「あ、ああ生徒会役員か」

 

と狼狽えながら応える。

こいつ僕の名前を覚えてないな

 

「まあ、ちょうどいい、お前らに話があったんだ」

 

話?

 

「というのもな、このグラウンドの使用表なんだが、俺たちは合同チームだから向こうのグラウンドも使えるわけだ、しかも向こうは芝だぞ、芝、金かかってるなー」

 

そう言う権藤の目は輝いている、こちらを見ていない。

 

「まあ、そんなわけでこんなに割当貰ってもいらない」

 

渡りに船である。

その後、権藤と打ち合わせをして、ラグビー部の使用希望を書いた。

 

ラッキーだったな。




なんで上坂先輩がこんなに幼稚かというと、私が幼稚だからです、
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