ラブコメなんて実際に起こり得ないことの証明   作:寿太郎

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三人称視点はうまくできないみたいです


42.この世の悪いことは大体上坂先輩が原因

「どういうことですか?」

 

「どういうことって?」

 

「この道って麓に下る道じゃないんですか?」

 

「そのはずだね、でも実際はぐるぐると回る道になってる。多分一周200メートルくらいじゃないかな?なんでかはしらんけどね」

 

「なんでそんなに冷静なんですか…」

 

そう言って、少し怯える高橋を尻目に上坂はさっき落としたバッグを回収して、再び歩き始める。

 

「ちょっ、待ってくださいよ」

 

と言って高橋も追いかける。高橋は歩きながらぶつぶつと一人で

 

「俺はこのまま死ぬんだ、こんな訳のわからんところに閉じ込められて……」

 

と呟いている。そんな高橋にイライラしたのか珍しく上坂は声を荒げて、

 

「あー、もううっさいなー、もっとシャキッとしなよ!!」

 

と言いながら、高橋のケツに思い切り蹴りを入れている。

 

「ひぇ……」

 

と髙橋が言って、黙った。

 

その後すぐに

 

「あ、あった」

 

と上坂が呟く。

 

「何がですか?」

 

「脇道よ、こっちに行くよ」

 

そう言って、細い脇道に入っていく。その道は今までの道より細く、ギリギリ獣道じゃないくらいの酷い道だった。高橋も黙って着いていく。一分も歩けば再び祠がある頂上に着く。

 

「あんなに頂上までの道って細かったですか?」

 

「さぁ?まあでもそんなことを気にしても今更じゃない?」

 

そう言って、上坂は祠の方へ向かう。百葉箱のような祠の扉を開けて、中を見ると、一枚の紙が入っている。それを上坂が取り出す。

 

「髙橋、紙が入ってる。」

 

「紙ですか?なんて書いてありますか?」

 

「えーっとね

12は入口、04は図書館

06は地獄、11は牢屋

はみだし者の君たちにはお仕置きが必要。

出るためには贄が必要。

口には気をつけること。」

 

「え、なんですかこれ。」

 

上坂はその紙を高橋に見せる。

 

「ふーん、よくわからないですね、12ってのはここですかね、というか贄……」

 

高橋の顔は真っ青である。それを上坂が呆れた目で見ている。

 

「多分ここが12でしょうね」

 

そう言って、もと来た道に入ろうとしている

 

「取り敢えず、図書館か牢屋に行こうか」

 

「え?どうやってですか?」

 

「え?この暗号まだ解けてなかったの?」

 

「まだですけど」

 

上坂ははぁーとため息をついて肩をすくめている。

 

「いいから、ついてきて」

 

高橋は仕方なさそうに上坂について行く。

 

上坂はもと来た道に戻ってくると、注意深く道の端を見ながら歩き始める。しばらくすると、上坂が

 

「あっ、道あった、ここが図書館か牢屋かだね」

 

「ホントですか?ここが地獄だったり……」

 

「なわけ無いでしょ」

 

そう言って、上坂はさっさと歩いていく。

 

「なわけないって、なんで……ちょっと待ってくださいよー」

 

高橋は慌てて後を追う。

 

しばらく歩くと、突然ドアが現れた

 

「ヒエッ」

 

高橋が怯えきっている。上坂はもう慣れきった様子でさっさと無視してドアを開ける。

中はといえば上に書いてあった通り図書館だった。しかしながら、まるで某猫型ロボットの代表的ひみつ道具の一つのドアのようにドアしかなかったのに中に(中と言えるかも怪しいが)こんな空間が広がっていることに二人共驚きを隠せない様子だ。

 

「へー、すごいなー、どういう原理?」

 

「そうですね、原理不明ですね。」

 

高橋はもはや驚き過ぎで頭がオーバーヒートしたらしい。一周回って冷静になっている。

 

「何か面白い本はないかなー、うーん、なんだこれ、アラビア語っぽいなー、読めないや」

 

上坂は見るだけで禍々しいことがわかる冒涜的な本を手にしていた。

 

「なんですか、先輩そのやばそうな本は。やめてくださいよ、変なことは。」

 

高橋もそう言いながら周りの様子を探っている。

 

「先輩、これ光ってどうなってるんですか?窓もない、電球もない、蝋燭しかない。なのにこんなに明るい。」

 

彼の言葉通り、窓もないのに、あたりは昼のように明るい

 

「さーね、そんなの今更でしょ」

 

上坂は特に気にした様子もなく淡々と本棚を調べていく。しばらく部屋の中には上坂と高橋が歩き回る音だけが響き渡っていた。その沈黙を落ち着いた時間を破ったのは上坂の

 

「あ、これ英語だーこれなら私にもわかるかもー、なになに、Celaeno Fragments?セラエノ断片かな?直訳すると、本だからセラエノ断章とかかもなー、わかんないや、取り敢えず読むかー。」

 

という発言だった。彼女はそう言って、ページを捲る。一、二ページ読んだ時点で手が止まる。

 

「う、なんか気持ち悪い。読むのやめよう、なんか内容も厨二病みたいな内容だし。」

 

そう言って、元の場所に戻す。高橋は上坂のその発言を聞いて、

 

「ほら、先輩、この部屋不気味だからさっさと出ましょう。」

 

と提案する

 

「そうだね、そろそろ帰るかー!」

 

「え?帰り方わかるんですか?」

 

「え?なんでわからないの?あれは暗号ですらないでしょ。」

 

上坂が心底以外そうな顔をすると、高橋が苦い顔をする。上坂はそんな高橋を尻目にさっさとドアを開けて、外に出てしまった。

 

「ちょっ、待ってくださいよ」

 

高橋はそれについていく。上坂はもと来た道にもどると、もと来た道を引き返していた。高橋は慌てて追いながら

 

「なんで帰る道がわかったんですか?」

 

「はー、しょうがないなーじゃあ解説してあげるかー。あれは時計の暗号だよ、12っていうのはこのぐるぐる回る道を時計に見立てた時の12時方向を入り口にしますよーってこと。あとはそれに従っていけばいいだけ。一応、どちらが時計回りかを確認するために図書館に行ったけど、ほんとはそれも必要ないよ」

 

「じゃあ出口はどこなんですか?」

 

「10時方向だよ、ただの縦読み、わかる?」

 

高橋は紙を見て、納得した顔で上坂についていく。上坂は帰るための脇道を見つけたようで、脇道に入る。それに高橋はついていく。しばらくすると、二人共意識を失った。

 

次に二人が目を覚ましたのは話を聞いた家の中だった。

 

「ん…ここは。」

 

高橋が目を覚ます。周りの状況に気がついて胸をなでおろしている。朝、二人を出迎えてくれた女性が高橋が起きたことに気がついて

 

「あれあれ、大丈夫?話を聞いてたら急に倒れちゃって、心配したんだよ。」

 

「すいません、ありがとうございます」

 

高橋は隣で寝ている上坂を揺さぶって起こす上坂は目をこすりながら

 

「ん、んー、ふぁぁぁ、戻ってきたんだ。」

 

と言って起きた。

 

「そうみたいですね」

 

上坂が眠そうな目を擦っていると、おじいさんがやってきた

 

「大丈夫かのぉ」

 

「はい、大丈夫です、実は…」

 

高橋が出来事の一部始終を話す。おじいさんは終始うんうんと、頷いていた。

 

「そりゃ、だいたらぼっちの怒りに触れたんかもしれんなあ、なんでかはわからんけども。」

 

話が一段落すると、おじいさんは二人にそう告げた。

 

「取り敢えず、早くこの山から出たほうがいいじゃろう。」

 

そう言って二人に帰宅を促した。二人共別に異論はないようで、バス停に着く。

 

「そういえばここって次のバス5時でしたよね?」

 

「そうだね、」

 

「今何時ですか?」

 

「12時」

 

「………」

 

「………あるいて帰ろうか。」

 

二人で、並んで歩いて帰る。道は知っていたようで上坂が時々

 

「ここを右」

 

だとか言って道案内をしている。

 

「だいだらぼっちってホントにいたんですね、」

 

「火のない所に煙は立たぬってやつだね。」

 

「なんで、だいだらぼっちは怒ったんですかね?」

 

「知らなーい、だいだらぼっちが浄土真宗だったんじゃない?それで、私が踊り念仏したから…」

 

そんなことを話しながら歩くこと一時間、河川敷が見えてくる。

 

「おー、こんなに広い河川敷があったんですね」

 

「ここ、学校の近くだよ、あと少しで学校の最寄り駅。」

 

学校はそれなりに街の方にある(といってもたかが知れているが)のでそこまで行けば電車があるだろう。

高橋のお腹がぐ〜となる。もう時計は13時を指していて、そろそろお腹も空いてきて然るべきだろう。

 

「お、お弁当食べる?この河川敷で」

 

「いいんですか?」

 

「いいよ、私の手作り料理、楽しみでしょ?」

 

そう上坂が言った瞬間、高橋の顔が曇る。上坂の手作りと聞いて少し思うところがあったらしい。

 

「いや、そんなことを考えるのは失礼か」

 

そう呟いて河川敷に向かう。河川敷ということで風が強く、この時期だと寒いかもしれない、心なしか高橋の体はやや震えている。河川敷の端の方で上坂がリュックをおろし、お弁当を取り出す。蓋をあけると、色とりどりの非常に美味しそうなお弁当だった。元から二人で食べることを想定していたのか、割り箸も2つある。

 

「はい、どうぞ」

 

「うわ、美味しそう。」

 

そう言って、卵焼きを一口高橋が口に入れる。途端、彼の顔が苦悶に歪む

 

「何入れたんですか?これ」

 

「ポッカレモン一箱」

 

「……」

 

どうやら彼の悪い予感は的中したらしい。一応二人ですべての料理を平らげたが上坂は平気そうな顔をしている。

 

「先輩はなんでそんなに平気そうなんですか?」

 

「普通の料理しか食べてないから、私が作ったんだからどこに何があるか私が知らないわけなくない?」

 

高橋はため息をついて

 

「だいだらぼっちが怒った原因、これじゃないですかね?」

 

と言った。

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