ラブコメなんて実際に起こり得ないことの証明   作:寿太郎

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44.説得材料

クリスマスが終わり、2、3日もすれば学校自体が閉まってしまうので、必然的に次に生徒会メンバーで顔を合わせるのは年が明けてからになる。年が明ければ直ぐに学校も始まるので、結果的に学校が始まってから初めて顔を合わせることになった。しかし、その前に年明け最初の学校は当然のことながらテストである。

 

 

クソ長いテストをなんとかこなして、フラフラになりながら生徒会室に足を運ぶ。ガチャリと音を立ててドアを開けると五月がいた。

 

「あけおめー」

 

と挨拶する。

 

「あけましておめでとう。」

 

しばらくすると、みんなもぞろぞろとやってきた。みんなとも年始の挨拶を交わして、早速今日の本題に入る。

 

事前に話があるとは言っておいたので、まずは僕が事前に用意したプリントをみんなに配る。

 

「まずこれに目を通してね」

 

五分ほど経って、五月が目を通し終わったのか

 

「青、これはどういう意図だ?この改正案はスマホの全面使用の許可を求めるものだよね?でも、今の私達の案である限定的利用さえ認められないんだから、厳しいんじゃない?そういう話だったじゃん。」

 

みんなも同調するようにうんうんと頷く。予想通りの反応である。

 

「僕はね、考えたんだ。なんで校長は改正案を認めないのかってね。そしてね、単純に失敗が怖いんじゃない?って結論にたどり着いたわけ。」

 

「なるほど、でもそれだと失敗する可能性が低い限定的な使用許可のほうがいいような気がするんだが」

 

と高橋が口を挟む。

 

「普通はね、でも校長にとって限定的な使用許可でさえもリスクが大きいと考えているんだよ、だからどうやっても通したくない。結局校長だって理事長には逆らえないからね。理事長から責任を追求されるのが嫌だから許可しない。」

 

「うーん、じゃあどうするの?」

 

五月が完璧に僕が臨んだ通りの合いの手を入れてくれる。

 

「考え方を変えるんだよ。僕たちがすべきことは改正案を良くすることじゃないんだ。僕たちは頑張る方向性が違ったんだよ。」

 

ここで少しためる。みんなが固唾を呑んでこちらに注目している。

 

「僕たちは校長を説得するべきなんだ。それに、今は千載一遇のチャンスなんだよ!!」

 

「チャンス?」

 

五月が僕の言葉を復唱する。

 

「そう、チャンス。みんなは理事長が変わったのは知ってる?なんか前の理事長が脱税したらしいんだけど。」

 

五月以外は知らなかったらしく、驚いている。

 

「理事長が変わったってことは校長からしたらピンチなんだよ、今までの理事長からは校長として信任されていたけど、これからはわからない。すぐにでも校長をやめさせられるかもしれない。でも、例えば今年、校長が校則を変えてその結果、受験生が増えたらどうかな?校長が有能だと思われるんじゃない?自由な校風で売り出していけばこの閉鎖的で保守的な県の中学生はみんな魅力を感じるんじゃない?そしたら、校長は晴れてそのまま校長でいられるんじゃない?」

 

そう、○ゼロでも結局相手の利益がないと、人は動いてくれなかった。本来学校の制度だったら校長は利益なんてなくても動かないといけないような気もするが、まあそこはあの校長がクズなんだろう。

 

「確かに、それは的を射ているね。」

 

五月がそう言った、その瞬間ガチャリと音を立てて生徒会室のドアが開く

 

「ふぉふぉふぉ、メリークリスマス〜!!」

 

扉の方を見ると、クリスマスの時にも見たひげモジャのサンタがそこにいた。ただ一つ違うのは、コスプレのクオリティと、中身が遠坂先生だというところだろう。言うまでもなく遠坂先生のほうがコスプレの質は低い。

 

「あの……先生、もう1月ですよ。それに、空気を読んでください。」

 

五月が若干引きながら先生に言う。

 

「いや、まあそうなんだけど、クリスマスイブにわざわざこのコスプレをして生徒会室に来たら、誰もいなかったんだ。供養させてよ。折角ケーキまで用意したのに。家に帰っても一人だからさ、それに、空気は読んで来たぞ!!実は小鳥遊君が僕たちは校長を説得すべきなんだ!!キリッって言ったときからそこにいたからね。空気を読んだぞ!!」

 

そう言って寂しそうにスマホを見せてくる。スマホにはボッチでクリスマスを楽しむ独身男性の悲しい様子の写真が映し出されていた。悲しい。こんなことしてるから独身なんだろうなー。今更になって恥ずかしくなり、火照る自分の頬を無視してそう思った。

 

「そういえば上坂君から聞いたよ、まあ、中で話していることを聞いていたからなんとなくわかるけども、正しいベクトルで進めそうだってね。頑張ってね。」

 

そう言って、彼は去っていった。えっ、サンタのコスプレ披露しただけでどっか行くの?どれだけそのコスプレ見せたかったんだよ……みんなもそう思ったらしく、呆れ返っていた。

 

 

 

 

話し合いの結果、事前に校長には根回ししたほうがいいだろうという話になった。まあ、議事録も取られる会議の場で高校の利益が〜なんて話するわけにはいかないしね。交渉が得意そうな五月がやってくれるらしい。彼女なら大丈夫だろう。今年に入って最初の話し合いは丁度二週間後だ。それに間に合えばいいんだけど。

 

 

 

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