ラブコメなんて実際に起こり得ないことの証明   作:寿太郎

45 / 54
45.敵に回したくない人がいる

細かく改正案を調整したり、他の仕事をしたりして、今日は話し合いの前日である。生徒会室には五月以外の全員が集まって、生徒会の定例報告会が行われている。なお、五月は校長と交渉に行っている。因みに上坂先輩はうるさい。今はほぼ全員の報告が終わって最後に会長からの報告である。会長が立ち上がって、咳払いをすると、話し始める。

 

「えー、最後に私からなのですが、特に報告はないので、業務連絡だけ。この度、この生徒会にテレビの取材が来るようです。」

 

まじ?すごいなー。

 

「この高校の生徒会の生徒主体の学校運営を取材したいらしいです。一年生の明日の会議もカメラが入るとのことなので、テレビに出るのがNGという人は事前に私に言っておいてください。」

 

「いえーーい!!」

 

上坂先輩が騒ぎ始める。というか、もしかして、この人がテレビ呼んだのか?手伝うって言ってたし、テレビまで呼んだら高校の宣伝効果としては抜群だろう。

 

「ちょっ、上坂先輩、黙ってください。」

 

上坂先輩を僕が黙らせて、定例会が終わる。その後、上坂先輩は会長にダル絡みしていた。

 

「ねー、田辺ちゃーん、前のおしっこ見たいジュースは飲まないのー?」

 

「ちょっ、上坂先輩、会長にダル絡みするのはやめてください。」

 

そう言って、無理やり上坂先輩を引き離す。

 

「小鳥遊さん、ありがとう。」

 

会長に感謝されながら上坂先輩を適当なところに座らせて、

 

「もー、なんなのー、私困っちゃう。」

 

などと言っている上坂先輩に

 

「テレビの件って先輩が言ってたダメ押しですか?」

 

と聞いてみる。

 

「そうだよー、コネを一杯使ったんだー」

 

怖い、この人怖い。どうやったらコネでテレビを動かせるの?あれから二〜三週間しか経ってないよ?この人は敵に回したら駄目な人なんだな、と再認識した。

 

「これで間違いないでしょ!!」

 

と無邪気に笑っている。その無邪気さが怖いよ。

 

 

 

しばらくして、五月が生徒会室に戻ってくる。ドアを開けて、こちらを見てニコッと笑ってこちらに親指を立ててくる。どうやらうまくいったらしい。

 

「内諾貰ってきた!!」

 

五月がそう言うと、みんなが口々に

 

「やったね、五月!!」

 

「流石だ、小西。」

 

「ありがとう、五月……。」

 

春奈に至っては涙ぐんでいる。

 

「テレビが来るっていうのが決め手になった。テレビも来るとかなり宣伝効果が高いと判断したみたいだね。」

 

そう言ってちらりと上坂先輩を見て、

 

「運がよかったね。」

 

そう締めくくった。

 

 

 

翌日、テレビの取材が生徒会室に入った。僕たちは直ぐに話し合いに赴く必要があったが、会長達は取材を受けているらしい。そんな先輩達を尻目に書類や、その他諸々を用意して、生徒会室を出る。

 

「今回は行けるよね?」

 

「多分ね。内諾は貰ってるから、あとは細かいところを詰めるだけだから、今回は無理でもこの次はイケるよ。」

 

そう春奈と五月が話す中で僕はガチガチに緊張して会議室の前に立った。高橋もガチガチに緊張している。テレビだぞ?なんであの二人はあんなにリラックスしているんだ?髪の毛とかめっちゃ気になる。大丈夫?もうちょっと髪横に流したほうがいいかな?などと思いながらガラスに映った自分をチェックする。そんなことをしてると、春奈が会議室のドアをノックする。ちょっ、待って、心の準備が……

 

「失礼します」

 

そう言って中に入っていく。五月もそれに続く。高橋と一瞬顔を見合わせて僕が次に中に入る。

 

中に入るとだだっ広い会議室の僕たちがいる方にカメラが何台か立っていた。途端に緊張が走る。高橋も同じようで緊張した面持ちだ。

遠坂先生は緊張した僕たちに気づいたのかニヤニヤしている。

五月が全員の前に立って、説明を始める。

 

彼女は肝が据わっているのか、淡々とテレビなんて泣いかのように説明している。すごい。

 

説明が終わると、校長が徐ろに拍手をし始めた。

 

「いやー、素晴らしい。高校生がこんなにも緻密に案を練り上げるなんて…我が校の校長として誇らしいですね!!」

 

一同が白けた目を校長にむける。

その後、質疑応答の時間を取った。教頭から何個か質問が来た。なかなか的確でなるほどなあと思わせるものであった。大変建設的な話し合いだった。

 

 

結果として一年間の試用期間を設けることになり、少し変更が入ったが、無事に改正案は認められることになった。

 

ようやくである。その結果をまとめて掲示板に貼っておく。結果は直ぐに全校生徒の知るところとなった。

 

余談であるが、この話し合いのあと、それぞれがテレビからインタビューを受けた。内容は当たり障りのないことで僕たちも校長の文句を言いたいのを我慢して当たり障りのないことを言っておいた。

 

 

それからというものの僕たちは多忙を極めた。試用とはいえ、校則を一部変えるのだから大量の書類を整理しなければならない。校則の細かいところまで全校生徒に熟知してもらうための書類やらも作らねばならず、ただでさえそれなりに忙しい生徒会がてんてこ舞いだった。

 

さらに、2月に入ってからは卒業式の準備も始まる。まあそこに関してはほとんど僕がすることなんてなかったけど。

 

僕たちの改正案は無事に職員会議を通過して、来年度から試運用されることになった。それが、二月末。生徒会の仕事が忙しくてあっという間に時間が過ぎたが、春が近づいてきているみたいだ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。