ラブコメなんて実際に起こり得ないことの証明   作:寿太郎

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52.青の夏休み

8月1日

今日は上坂先輩に誘われて、前にカッパを探しに行った山へ行った。どうせろくでもないことを考えているんだろうと思って行ったら案の定バカでかい水鉄砲で襲われた。ビチョビチョになった。勘弁してほしい。

 

8月2日

今日から体育祭の練習だ。今年はあのよくわからんマグロ引きからは逃れられた。だからといって楽かと聞かれたら全然そんなことはない。団は3年間同じだから春奈と少し気まずい。結果として、愛梨としか会話していない。愛梨は能天気に見えて空気に敏感なようで何かあった?と聞かれたので、僕が春奈に振られたことを話すと少し複雑な顔をして、そっかーと言っていた。色々話を聞いてもらった。要約すると、少数派だから大変だけど頑張ってとのことだ。少し泣いてしまった。最近涙脆いなー。

 

 

8月5日

今日は上坂先輩に誘われて、上坂先輩の家に行った。上坂先輩の親は共働きで二人ともいなかった。上坂先輩が、今日…親、いないんだ…と意味深げな顔をして言ってきたので、じゃあ先輩をあの世に行かせても誰にもバレないってことですか?と聞いたら少し嫌そうな顔をしていた。その後は勉強を教えてもらった。そこそこ教えるのがうまくてびっくりした。

 

 

8月7日

今日は上坂先輩とプールに行った。上坂先輩のスタイル良すぎて隣に居たくない。最近何かと上坂先輩が僕の頭を撫でてくるが、恥ずかしいからやめてほしい。二人のときはいいんだけど。上坂先輩に頭を撫でられていると周りが生暖かい視線を送ってくるんだ。

 

 

8月15日

今日は上坂先輩とお祭りに行った。上坂先輩が射的でバンバン物を取っててすごかった。出禁になった。上坂先輩がかき氷シロップ抜きを頼んでいた。それはもはや氷では?本当にこの人の考えることは理解できない。あと、次が自販機で買った僕の水に金魚すくいですくった金魚をいれたらそれ全部先輩に飲んでもらうからね?

 

 

8月16日

今日は図書館で勉強した。一人でせっせと勉強していると、春奈を見かけた。隣にはイケメンの元生徒会副会長がいた。名前は忘れた。手を繋いで仲睦ばしい様子を見せつけていた。結局顔かよ、ちぇ、と思ったがそもそも僕は同性だからそのスタートラインにも立ててないのかなと思った。次図書館で手を繋いでたら図書館の人にチクってやる。

 

 

 

8月18日

今日は本屋で本を買ってカフェで読んでいた。いつも上坂先輩と行くカフェとは違うとこだ。たまたま永野さんと田中先輩(田中先輩、覚えてる?元生徒会長ね)が手を繋いで歩いていた。戻ってきてたのかという思いとあの二人、付き合ってたんだ。という思いが混ざって変な声が出てしまった。その変な声が外まで聞こえたはずもないが、永野さんがこちらに気が付いたようで、目があってしまった。気まずい…と思ったが、軽くウインクをして人差し指を唇に当てて内緒ね?というような仕草を見せられればコクリとうなずくしかなかった。可愛い。そもそも誰も言う人がいない。

 

 

8月25日

明日は上坂先輩が帰るとのことで見送りに来いと言うラインが来た。めんどくさいなー。

 

 

 

 

ここまで書いたところで携帯がまたメッセージの受信を告げて身震いする。ちらりと見ると上坂先輩からのラインだった。

 

「明日、8時に出るからー」

 

そういえば、見送りに来いといった割に時間は言ってなかったな。8時か。この人に常識を求めるのが間違いである。朝早すぎる。アホか。時計を見るともう夜の11時である。この時間に駅に着くにはそろそろ寝たほうがいいな。

 

布団に入って、暫くして意識が深い闇へと落ちていった。

 

 

 

 

先輩に言われた通り8時に駅に着く。こんな地方都市なら駅といえば大体合流できる。この前行った東京だと絶対無理だな。これは数少ない田舎のいいところだ。

 

「おー、青ー。来てくれたんだー」

 

いやいやあなたが呼んだんでしょ。と言うのはもはや馬鹿らしい。適当に頷いておく。掲示板を見ると、8時10分に出る電車があるのでこれに乗るのだろう。

 

「夏休み楽しかったなー」

 

僕が黙り込んでいると、上坂先輩が遠いところを見るような目をしてそう言った。大学生だからまだまだ夏休みがあるんじゃないの?という疑問は湧いたが

 

「そうですね」

 

と言うのがいい気がした。

 

「ただ、次僕の水に金魚いれたら許しませんよ?」

 

ただ、こういうところは釘を刺す必要がある。しかし、楽しかったのは事実だ。

 

「じゃーね、青。」

 

そう言って僕を抱きしめると彼女は改札口へと向かっていった。抱きしめられるとドキドキする。

 

「また、会いましょう!!」

 

僕が大きな声でそう言うと、上坂先輩は笑顔でこちらに手を振って、改札の奥へと歩いていった。

 

 

 

 

 

上坂先輩が帰ってから心にぽっかりと穴が開いたような、そんな感覚だ。早くまた彼女に会いたいという思いが募っていく。

 

 

 

どうやら僕は上坂先輩が好きになってしまったらしい。そう自覚した。夏の暑さが和らいできた、そんな季節のはずなんだけどなー?暑いなー。誰だよ暑さ寒さも彼岸までとか言ったやつ。三途の川の彼岸にぶち込んでやろうか?まあもう死んでそうだけど。

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