ある日幻覚が見えるようになった   作:アカシヤ

11 / 14
中学・高校になって小学生に避けられる様になると、「自分もついにこっち側になったか、成長したなぁ」ってなるよね

 

 

 しばらくぼーっとした後、我に帰った。

 

 薄暗い部屋が怖くて、つけていた光の強さを最大にして一息つく。(真っ暗な部屋でも幻覚は見える為、それだけの景色が嫌で寝る時も電気を少しつけて寝ていた)

 

「夢・・・なのか・・・」

 

 口ではそう言いつつも、決して妄想や思い込みの類では無い事を俺は確信していた。

 何せ、あの『暖かさ』は未だに残っているからだ、この肉体ではなく、別の何処かに。

 

 

 時計を見れば針は5時30分を指し、起きるには少し早い時刻だが二度寝をする気にはなれなかった。あの状態を思い返せば、いつか戻れなくなってもおかしく無かったと『暖かさ』以上に寒気がする。あの大きな光から逃れ切れたのかも分からない。

 

 

 今日の気温は15度を切っていたが、大して迷わずに一階への階段を降りる。

 あの空間で手に入れた『暖かさ』、それが良い物なのかは未だ分かっていないが、今後寝起きが楽になりそうだなぁと頭の片隅で呑気にもそう思った。

 

ーーーーー

 

 そんなこんなあった今朝だが、一時中断していた、幻覚を自分がどう捉えているのかについての調査もその時に一つ発見があった。

 

 

 前日、横断歩道の幻覚共に苦労した時に「捉え方を光に依存しているのは間違いじゃないか」という結論を俺は出した。しかし、もしそれが正解であった場合、少しおかしい点があるのだ。

 

 幻覚は光に頼った普段通りの視界に混じって見えている事から、目でその情報を受け取って認識していると思われる。だと言うのに、先程までもそうだったのだが、瞼を閉じている際は幻覚を認識していなかった。つまり、自分は幻覚を『認識しない』という選択肢を持っているか、瞼に幻覚の情報を遮断する機能があるかのどちらかである可能性があると言う事になるのである。

 

 どうやって目で認識しているかも分かって無い以上、どちらも証明が難しいものなのだが、この現象に解決の糸口が発見できたのはでかい。小さな気づきでも良いから積み重ねて、いずれかはこの障害物共を視界から排除してやるのだ。

 

「これを治すまでは自転車ですら乗れないからな・・・車なんてもっての外だ」

 

 あと三年もすれば自動車免許の取れる年齢になる。そうなれば何をするにも車が必要なこの地域だ、祖母や祖父の為にも確実に取る事を迫られるだろう。だから、それまでに解決するのが最低目標にしよう。勿論、速く解決するのに越した事は無いのだが。

 

 

 そう言えば、人間何でも慣れるもので、ダルマや魚の頭などの形をした幻覚が漂うお味噌汁も余裕で啜れるようになった。交通に関する不安はともかく、食事なんかに関してはそもそも日常の一部に取り込まれる日も近いのかも知れない。

 

 

 

ーーーーー

 

 卯月くんと待ち合わせをしている場所までは昨日と同じ様に幻覚が視界の邪魔をする為、その間に「瞼に幻覚の情報を遮断する機能がある」と仮定した場合の、他にその機能を持っている物が無いかの実験をしていく。

 

 実例は既に1つ見つかっていて、スマホやデジカメ、テレビなどにより「一度光景を変換して再構成された」映像には幻覚が見えない事は初日に確認している。

 

 よって、サングラスやアイマスクなどの「視界を塞ぐ代表例」や、自分の腕や綿・皮などの「生物に由来する物」で確かめてみていった。これはいずれも「光景と目の間で情報が変化させられない」を前提として選んでいる。

 

 

 

 この作業には、側からしたら明らかに挙動不審な人にしか見えないと言う問題もあるが・・・多少は仕方の無い犠牲だと割り切ろう。学生という立場からしてそこまで怪しまれはしないはずだ、たぶん・・・

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。