ある日幻覚が見えるようになった   作:アカシヤ

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投稿頻度が低いのは許して・・ユルシテ・・・


類では無いと思いたい

 あやふやな言葉の便利さに気づいた後、自分は何とか全ての横断歩道を渡り切った様だった。とても長い道のりに思えたが、後ろを振り返ればまだ学校が見える。

 

「これを毎日か・・・」

 

 哲学とは見えない世界を可視化する物だと言われているが、たぶん見たいのはこんな世界じゃあないだろう。こんなのがいたら幸福の追求なんて出来やしない。

 吐いた溜め息から幸福が逃げていく。

 

 

 

 渡る横断歩道の数を減らすために遠回りをしていて分かったが、いつもより少し見る方向が違うだけで十数年住んだ町も全く異なって見えるようだ。ここは学校が目印になるから大丈夫だが、もしそうじゃなかったら迷ってしまっていた事だろう。

 少しワクワクしながらも家への道を探していると、見覚えの無い建物を見つけた。

 

「へー、こんな所に店なんてあったんだ」

 

 それは5階あるアパートの後ろに隠れており、確かに普段の通学路からは見えない位置にあった。興味が湧いたのて近寄ってみる。

 すると本当は少しだけ見ていくつもりだったのが、観察している内にその不思議さに意識が吸い込まれていく。

 

 屋根や壁は微妙に歪み、窓の様な薄い水色の板からは中の様子は窺えない。建て付けの悪そうな扉と掲げた看板に描かれた異国風の文字は絶妙な入りにくさを作っていた。この店の店主は随分と個性的な感性を持っている様だ。

 

 中には入りたくない、しかしどんな店なのかは気になる。そんな二つの気持ちを満たす為に幾つかある窓らしき物を見て回るも、やはり全てが偽の窓で、それ以外にめぼしい情報源は無かった。

 

 扉に手を掛けようとして、やっぱり怖くなって再び道探しに戻ろうと踵を返すと、後ろで扉の開く音がする。見た目から予想したのとは違い、その音は正常で滑らかであった。

 

「ぉぎゃ、くさぁん〜」

 

 振り返ろうとしたが、その声の異常さに気づいて辞めた。何とか言葉としての体を成しているが、カタコトとも違う気持ち悪さがある。

 

「いらぁしゃいませェ」

 

「あ、おーい!」

 

 歩いてでは逃げ切れそうになかったので、たまたま通りかかった自転車の人にさも仲が良さそうに駆け寄った。

 

「え、えーと何処かで会ったっけ?」

「久しぶり〜・・・あれ?す、すいません人違いでした・・・」

 

 ありがとうお兄さん、あなたが来なかったらどうなっていた事か。

 

 お兄さんを見送る横目であの店を見ると、エプロンの様な服を着た人が戻っている所だった。目が冴える程赤い髪をしており、辿々しい歩き方も相まって店よりも近寄り難い。

 

 店の場所を記憶して直ぐにその場を離れる。もう一度来られたら逃げられなさそうなので、この道は使わない事が決まった。

 

ーーー

 

 無事に家に帰った後、あの個性的過ぎる店について調べてみた。あの風貌で噂にも聞かないというのはあまりにも不自然だったからだ。

 

「画家・・・?それも、これって・・・」

 

 オカルト系と一緒に出たあの店のサイトには、あの赤髪の人(神島さんと言うらしい)が描いた絵が幾つか載っていた。問題なのはその内容で、俺も見た事がある幻覚がチラホラとあったのだ。

 仲間が見つかったかも知れないドキドキと、よりにもよってあの人かという落胆が同時に来る。もう少しまともな人なら良かったのに・・・。

 

 時刻を確認するとまだ5時で、行って少し話を聞くくらいなら夕食までにも間に合うだろう。できるだけ早く知り合っておきたいし行くべきだろうか。

 

「でも、怖いんだよなぁ」

 

 あの道は決して広いとは言えないし、不審者もたまに出る。さらにはおどろおどろしい幻覚まで付いて来るのだからもうホラー映画並みの怖さがあるだろう。

 

 悩んだ結果後日に延期する事にした。まぁ、今日明日でいなくなる事も無いだろう。 

 しかし何もしないのも落ち着かないので、代わりとして他にも幻覚が見える事を活かして何かしている人が見つからないか探し始めた。

 

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