幻想再帰のアリュージョニスト二次創作「コルセスカさん変形する」【togetterでも投稿中】   作:鳳卵

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第100話(82の途中まで)

「怖い怖い、よほど推しが負けるのが嫌いらしいね。

…まあ、気持ちは分かる。

さっきまで、ボクも敗北に打ちひしがれていたしね

けど、アイドル迷宮で、勝ったり負けたりしているボクとしては、敗北にもまた価値があると思うんだよ。

 

零和有限確定完全情報(ゼロサム)ゲームにおいて、自己の敗北は常に他者の勝利だ。

勝てなかったときは常に悔しいけれど、より優れた相手の勝利から学びを得られることは、とても多い。

それに、努力が実って激戦に勝利した瞬間、その幸福の時にこそ、アイドルは最も美しく輝く。

それを観るのは、なかなかどうして、悪くないものだよ。

そこにはアイドルという存在のひとつの到達点があり、そして人々(ロマンカインド)を幸福に導く力がある。

シナモリアキラだって、たぶんそれは否定しないだろうね」

 

「貴様がアキラくんを語るな!

シナモリアキラを、決めつけて良いのは、世界でただ一人!

私だけだ!」

 

「前半だけ同意します。

ですがそもそも、貴方が語る“番外魔将の勝利”とは、所詮(しょせん)は断片的な情報から妄想を膨らませた断章取義なもの。

失われた世界線の記録は、すべて紀元槍に、そしてその側面である『永劫線』に収められています。

それはもはや、新しく書き足されることも解釈されることもない、堆積(たいせき)し続けるだけの断片。

死んだ記録です。

それを無闇(むやみ)に掘り起こし、あげく好きなように補完したり演出しようとするのは、蛇足的な愚行に過ぎません。

そんなことに手を出して良いのは、死を治める覚悟と力量がある者だけなのですよ。

死者を蘇らせ、悪夢のように歩き回らせること。

“有り得た今”の具現。

それは、死の女神の、“悪しき”領域の支配者の特権。

――貴女では、役者不足です」

 

特に死の女神の語気は強い。

しかしーー

 

「けれど、その特権は、娘女神ーーアマランサス、『ラプンシエル』によって盗まれましたよね?」

 

「ククク、言われているぞ、死の女神。

いや、『元・死の女神』様と言うべきだな。

今の貴様は、ただの寄生虫なのだから」

 

残念ながら、その権威は既に零落してしまっていたのだ。

まず、アイドル通であるラリスキャニアの反論。

 

それに加え、元女神が弱点をさらした機を逃さず、女教師も、すかさず非難の矛先を宿敵に変える。

 

ここに力関係が変わり、一時的な共闘が成立した。

そして、その一瞬を逃さずーー

 

「では、お二人とも、ボクと対バンをしてくださいますね?

蛇大魔将より受け継ぎし力、今の貴女方に敵(かな)うかどうか試してみたいのですよ!

よもや、勝てる自信がないから戦わないとか言いませんよね?」

 

地下アイドルは、勝負をーーいや、新たなる“興行”を持ちかけたのだ。

 

それでも『元・死の女神』は、

 

「安い【挑発】ですね。

肝心の番外魔将の力も、もう完全に消え失せたようですし、貴女に勝ち目はありませんよ。

そもそも、貴女の挑戦に応じて、私たちに何か得があるのですか?

まあ、そこの教師もどきには、貴女の面倒を見る責任があるかもしれませんが」

 

と冷ややかだったが、もう片方は…

 

「いいだろう。

私の生徒を自認するのなら、面倒をみてやらんとな。

たっぷりと思い知らせてやろう。

このラクルラールは、どこかの臆病寄生虫とは違うということをな!」

 

と、ノリノリになっていた。

 

しかもそこへ、

 

「そうだ!

ボクも新スタイルを身につけたし、このままシナモリアキラあたりのパートナーとして名乗りを挙げても良いかもしれないな!

脱皮する蛇と転生の相性も良いし!」

 

と、ラリスキャニアから更なる煽(あお)りが入る。

 

すると、

 

「それは断じて許しません!」

「やめろ!

すぐに貴様を矯正(きょうせい)してやる!

みっちりとしごいてその発言を絶対に後悔させてやるぞ!」

 

あっという間に二人ともが、対バンに乗り気になったのだった。

 

かくして、戦いは成立した。

 

学園都市の残骸から組み上げられた女教師は、夢の中からは出られない。

 

よって対決は、『現実』が吸血樹ディスペータ、『夢中』が女教師ラクルラールという分担と相成った のであった。

 

これは一見、二対一と不利な勝負だが、その実、ラリスキャニアに有利な戦いである。

 

なにしろ、今の彼女は『現実』と『夢』の二方面から同時に二大魔女に侵食されている。

 

速攻かつ最高の効率でこの苦境を脱するには、むしろ同時攻略こそが、最善の方策なのだ。

 

そう、今こそ、決死の二面同時対バンが始まるのだ…!

 

 

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