幻想再帰のアリュージョニスト二次創作「コルセスカさん変形する」【togetterでも投稿中】   作:鳳卵

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第101話・二正面対戦/夢での開戦(82~83の途中まで)

 

まず始まるのは、『夢』での戦いだ。

 

地下アイドルは、夢の中、女教師ラクルラールと向かい合う。

これはある意味、宿命の師弟対決と言えるのかもしれない。

 

しかし、敵であるはずの師からまず投げかけられたのは、予想外の言葉だった。

 

「教えろ。

どうやって私の呪縛を打ち破った?

きちんと説明出来たら、仕置きは半殺し程度で済ませてやろう」

 

どうやら、ラクルラールは、今回の勝敗より自身の術式の不備に対して興味があるようだ。

 

考えてみれば、それも当たり前のことかもしれない。

通常、弟子や生徒とは、教師より劣った存在である。

自らと、同等以上の実力を持つ相手に教えることなど、何も無いからだ。

 

ゆえに本来、教師と生徒の性分というのは本来なら成立し得ない。

 

なにしろ、生徒などは余裕で打ち負かせるという自信、そしてその自信の礎(いしずえ)となる実力こそが、教師たる者の資格なのだから。

 

よって、教師を自認する者が、生徒に敗北する可能性を認めるわけがない。

 

ラクルラールが、生徒たるラリスキャニアを端(はな)から相手にしないのは、当然のことであった。

 

だが、そこにも例外はある。

確かに、通常時は生徒は教師に劣っているものだ。

 

けれど同時に、その力関係(ヒエラルキー)は、いつまでも続きはしないものでもある。

 

なぜならば…

 

「そんなに、ボクに負けたことを認めるのが怖いですか?」

「何?」

 

「それとも逆でしょうか?

御自分の、教師としての未熟さが明らかになるのが怖いとか?」

 

そう、そうした論理にも関わらず、最終的には、生徒は教師に匹敵しなければならない。

それこそが、『教育』の目的なのだから。

 

始めこそ、自らの生徒を圧倒出来なければ教師足り得ないけれども、最後には逆に乗り越えられなければならない。

それが、教師という職務の矛盾なのである。

 

自らを上回れないような生徒しか育てられない教師は、その資質を疑われても仕方ないのであろう。

 

それゆえに、ラクルラールは…

 

「違う!

そんなわけがあるものか!

良いだろう…お前の『挑発』に乗ってやる!

だが覚悟しておけ、私の試験の不合格者には生存の道などない。

私の黄金のように貴重な授業を受けておきながら、その内容を取りこぼす『欠陥製品』(できそこない)など、生徒とは断じて認めないからな!」

 

こうして、応えざるを得ない。

 

これをチャンスと見て、地下アイドルは、すかさず切り込む。

 

「では、一つお聞きしてよろしいですか?」

「なんだ?」

 

「先生には、こちらは不要ですか?」

 

そして、ラリスキャニアは懐(ふところ)に手を入れ、何かを取り出した。

 

それを目撃したラクルラールが、その完璧に整えられた眉を動かす。

それは、十分に彼女を驚かすモノであった。

 

 

ーーけれど、戦いは『夢中』だけでは収まらない。

 

同時に、『現実』でも戦いは起こっている。

いや、正確にはずっと続いていたのだ。

 

地下アイドルが、己が煩悶(はんもん)から女神触手(ディスペータ)を生み出したときから、彼女たちの闘争は始まっていた。

 

現実、洞窟状に飾られた地下アイドルの自室(マイルーム)

そこでは、先程までラリスキャニアが吸血樹に縛られていた。

 

だが、戦いが始まった以上、もはや彼女はそんな状態にはいない。

固く彼女を拘束していたはずの、吸血樹のツタが宙をかく。

 

それもそのはず。

ツタでは、影を縛ることなど出来はしない。

 

影との入れ替わり。

『夜の民』が得意とする呪術によって、地下アイドルは、束縛から脱出していたのだ。

 

そして彼女は、そのまま高速で床を移動して距離を取る。

 

回転、全身を触手に見立てた這(は)い這い移動、そして、ヘッドスプリングからの立位への体勢変化まで、ラリスキャニアは奇妙な動きで、隙なく移動することに成功していた。

 

「蛞蝓(ナメクジ)か何かですか、貴女は!?」

 

それは、罵声じみた吸血樹の問いかけだったが……

 

それに対しても、地下アイドルはぬるりと躱(かわ)した。

 

「ご存知だろう?

蛇さ」

 

「くっ!」

 

歯噛みする悪魔の左手(ディスペータ)をよそに、ラリスキャニアは身構える。

 

床を転がったその姿は、当然ながら埃(ほこり)だらけではあったが、それもある意味問題は無かった。

 

なぜなら、彼女がまとっていたのは、既に薄汚れたマントだったから。

 

しかし、それも今、この時をもって終わる。

地下アイドルは、マントを大きく広げ、左手に一枚の紙切れを掲げる。

 

【清掃】の呪符。

それによって清められたその姿を見て、元女神は息を飲んだ。

 

「その格好は…!」

 

結果として、一瞬、わずか一瞬だけ隙が生じる。

 

もちろん、それを見逃すラリスキャニアではない。

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