幻想再帰のアリュージョニスト二次創作「コルセスカさん変形する」【togetterでも投稿中】   作:鳳卵

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第106話(86~87の途中まで)

だが、相手は百戦錬磨の半神である。

当然、そうした予想を外してくる可能性も十分にあるだろう。

 

例えば、ひたすら攻勢に出てくる、というパターンも、また十分に考えられる。

 

定番(セオリー)の戦法であれば、最初は軽く軽撃(ジャブ)それに続けてこちらの攻撃をいなし、わざと劣勢になって隙を作る次撃、そして最後にこちらの弱点を突いてくる。

 

だがこの徹底攻勢のケースは、まず最初にこちらの弱点を突き、次は別の弱点、最後に圧倒的な攻撃と繋げて、相手に反撃を許さず完璧に叩きのめす形式だ。

 

言わば、予想外な方向からひたすらこちらを翻弄(ほんろう)しにくる戦法である。

 

実際は…どうなることだろうか?

 

いずれにせよ、困難な状況であることには変わりがない。

地下アイドルは、可能な限り態勢を整えて相手を待ち受けるしかないようだ。

 

なんにせよ、これは絶対に負けられない戦いである。

 

女教師たちは、あくまで地下アイドルが再現した分身触手のひとつではあるが…ある意味、本人以上に本人でもある。

 

それは、ラリスキャニアの中のイメージであり、彼女たちとの関わりの記憶、いわば『因縁』そのものなのだから。

 

もし敗北すれば…良くて廃人、悪くすれば敗北した相手の転生先として人格を上書きされてしまうことだろう。

そんなことは、絶対に避けねばならない。

 

"興行主"は、予想を固めながら決意を新たにした。

 

それは、彼女自身の人生という舞台をしっかり運営していこう、という覚悟なのだ。

 

「再戦したところで、この私は倒せんぞ!

お前では同じ失敗を再び繰り返すのがオチだ!

追試で落として、卒業試験は見事落第にしてやろう!」

 

実際に放たれたラクルラールの最初の発言は、いきなりの挑発だった。

 

これは、あえて質問をしないことによって、相手のペースを崩そうという目論見(もくろみ)だろう。

 

言い換えれば、女教師は、質問回数を一切消費せずに後者の戦法を取ってきたわけだ。

 

「いいえ、これは『再戦』ではなく、『三度目』の戦いです!

ボクは、あなた方にもう『二回』負けていますからね!

これは『三度目の正直』というヤツですよ!」

 

「フン!そううまく行けば良いがな!」

 

だが、こちらについては上手くいなすことが出来た。

 

この程度は勝敗のうちにも入らないが、牽制への対処としては、まずは及第点(きゅうだいてん)といったところではないだろうか。

 

そして、こんな牽制を取ってくることから、あちらが取ってくるであろう戦法についても、大体予想がつく。

 

しかし、はたして本当にその予想は、的中するのだろうか?

 

相手が裏をかいてくるのか、それとも裏の裏で、実際に予想通りなのか。

結局は、何も分からないのかもしれない。

 

それでも、地下アイドルにはどこか安心感があった。

この状況は、巨大な不安に押しつぶされそうになっていたあの頃とは、大きく違うからだ。

 

少なくとも、今戦うべき相手は、目の前にいる。

 

今の戦闘を可能にしている【陰謀論】的な枠組みというのは、あるいはこうして分かりやすい納得と安心を得るためだけに、あるのかもしれなかった。

 

そして、論戦は始まった。

今度こそ、その美しき唇から苛烈な詰問が飛び出してくる。

 

「さて、行くぞ!

お前はアイドルの天才か?才能持つ者なのか?

私の教育以外で自分に星(かがやき)を撃ち抜く才があるとなぜ分かる!」

 

ようやくの、最初の質問。

女教師は、勢いよく捲(まく)し立てて来た。

 

どこかで聞いたことがある口調…いや、この息をつかせる間もないしゃべり方は、考えるまでもない。

 

これは、彼女がこの第五階層に侵攻してきたときの口ぶりだ。

 

ラリスキャニアは、学園衛星が襲来したときのことを調べたから知っている。

 

あの戦いは、サイバーカラテ道場にデータとして蓄積され、ユーザー全員に共有されている。

 

そして、そのユーザーの大半は探索者、しかるべき対価を払えばいくらでも情報を売買してくれる連中である。

 

つまり、ある程度の手間さえかければ、外部ツールや違法な手段を用いなくてもその情報を取得することが出来るのだ。

 

まあ、それはそれとして。

 

まるで侵攻のときを再演するようなこの口ぶりは…あの女教師が、本気になったということなのだろうか?

 

とりあえず、応答する。

この程度であれば、迎え撃つのは造作もないことだ。

 

「才能というのは、それを認めた者が勝手に見て取るものです。

ボクに才能があるかどうかは、ボクの子豚ちゃんが…ファンたちが決めてくれます

まずは、鏡からこちらを見返すボク自身という最初のファンがね!」

 

「…フン、なるほど。

鏡に映るもう一人の自分それを手にすることによる自己の補完か。

良いだろうその返答を認めよう。

さあ誇れ最初の勝利だそれが最後にならなければ良いがな!」

 

そして、最初の問答はひとまず上手くはいった。

これは好調な滑り出しではある。

 

だが、好調過ぎて、かえって怪しすぎる。

勝っても負けても、その裏に罠を疑わざるを得ない。

 

地下アイドルは、相手の厄介さを再確認しながらも、それでも立ち向かうしかないのであった。

ラクルラールは、やはり油断ならない相手である。

 

そして、次の質問も、間髪入れずにすぐに放たれたのだった。

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