幻想再帰のアリュージョニスト二次創作「コルセスカさん変形する」【togetterでも投稿中】   作:鳳卵

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第110話(89~90の途中まで)

「三回転!

これがみんなの応援の輝き!

木漏れ日クラップ・プラネタリウム!」

 

拡大を続け、巨大化した影の大樹。

その枝は、常に揺らめき、光の当たり方を変える。

 

そして、多くの文化圏で、影という語は光をも同時に意味している。

 

飛び交う鳥の影が、太陽を遮り落差で一瞬の閃光をもたらすように、影は光を生み出す媒介とも成り得るのだ。

 

影の樹木は、無数の触手で拍手しながら回転し、手の先に光を宿すことで影人形軍団の突撃を防ぎながら、快調に進撃を続けていった。

 

それはまさに、『地下』(アンダーグラウンド)の体現。

ずっと不安に駆られていた地下アイドルは、今、実家のような安心感を得ていた。

彼女が求め続けていた地下アイドルの出資者(スポンサー)も、頼るべき仲間も…みんなみんな、そこにいたからだ。

 

『青い鳥』(ラリスキャニア)の帰るべき居場所は、最初からずっと、彼女の足の下にあったのだ。

 

それを言い換えれば、確実な優勢である。

その勢力図の変化を背景に、地下アイドルは大いに語る。

 

「鏡の否定は、拒絶ではなく乗り越えるべき批判!

それを乗り越え、先に進んでこそ真のアイドルです!

己自身がファンとなり、常にプロデュースして高みを目指し続ける!

既存例(かこ)の積み重ねでしかないテキスト頼りの貴女とは違います!」

 

これで、勝負は完全に決まったかのように見えた。

 

だが……

 

「“貴女とは違うんです!”か。

フン!

ものは言いようだなぁ!

随分とお手軽な『個性の確立』だ!

適当な『悪役』を見つけ、それに自己の否定的な欠点を押し付けて『切断処理』するとは!

あきれた安易さだよ。

そして、最も普遍的(ゼオーティア)なやり方であるとも言える。

そんなモノが本当に『個性』と言えるのか?

それがお前の選択なのだな?

アイドル!

だが、そのコンセプトも魅力も、所詮は人の手によって作られた人工的なものだ。

その参照元たる『猫の国』にあってさえそれは変わらない!

異世界を参照元とするには、時系列が合わない?

なんと愚かな判断だ!

この『邪視』に支配された世界に、そんな『杖』的な道理が通用するわけがあるまい!

この世界にアイドルが取り込まれたのは、信仰を力とする神々にとって、都合が良い仕組み(システム)だったからに過ぎないのだ。

お前は知っているか?

地上の大半を占める『鉄願の民』が、それにも関わらず、なぜ序列第九位という地位に甘んじているか!」

 

唐突な質問。

地下アイドルは、女教師がこの期に及んで『呪文』に頼ってきたことに意表を突かれ、動揺してしまう。

 

とりあえず、とっさに返答するが……

 

「それは…物質的な性質が強くて、『杖』以外の呪術が苦手だから…?」

「その通り!正解だ!」

 

「なっ!?」

 

決め手となるはずの相手側の最終質問が、あっさりと回答できてしまったことに、かえって動揺してしまう。

 

このパターンは…想定していた後者に近い。

 

だが、まさかあえて正答させたうえで、更に追撃を重ねてくるとは!?

無意識のうちに、質問の処理を戦闘の終結と重ねてしまっていたラリスキャニアは、予想外の事態に混乱を隠せない。

 

そしてもちろん、その隙を百戦錬磨の半神が逃すはずもない。

 

「槍神教など多くの宗教において、物質とは精神に従属するものだとされている。

卑俗で汚穢(おわい)である土に、神が息吹を吹き込んで人に魂を与えたとする神話があるように、欲望

人は貴(とうと)い教えによって善導され、『善』と『精神』の根源たる神に近づかねばならない!

大地の分身である『紀竜』を信仰する竜神信教とは、相容れないわけだな。

だが、このラクルラールのスタンスはその真逆!

誰もが憧れる至高の価値を、引きずり下ろしこの手に握る!

地に星を落とし、私と同じ泥にまみれさせる!

それが私のアイドル道だ!

私の生徒が、すなわち私自身の延長(てあし)が、それを成し遂げる!」

 

強固な信念に支えられた『呪文』が、強大な支配力をもたらす。

それは、もともと完全に制御されていない闇の大樹にとって天敵だった。

 

「それならボクは、嘘も!矛盾も!全てを飲み干すような強さで貫き通します!

己の輝く道を、アイドル道を貫いて見せますよ!」

 

ラリスキャニアは、とっさに強い言葉を用いて反撃するが……

 

「愚か者め!それが出来るのは、『アイドル』概念で『紀』にまで到達出来る『神級』のアイドルだけだ!

たとえ『黄金』級のアイドルとても、そこにはたどり着けぬわぁ!」

 

「それしかないなら、やってみせる!」

 

その反撃は、どうにも付け焼き刃でしかない。

 

そうこうしている間にも、ラクルラールは、両手を大きく広げて近づいて来る。

靴音が響く。

 

気づけば、闇の大樹は無数の青いものによって囲まれていた。

それは、女教師の髪によって構成された巨大な網(ネット)

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