幻想再帰のアリュージョニスト二次創作「コルセスカさん変形する」【togetterでも投稿中】   作:鳳卵

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第119話(96の途中まで)

「天眼の民…」

 

それは、寝言のように、

 

「視座が皆、異なるゆえに分かり合えない

全く同じ解釈は、ただ一つとして存在しない」

 

次々と、

 

「彼女は平凡で、全くアイドルの才能が無いように見える…

それは、彼女の『天眼』が『客観的』な視点に過ぎず、そこからは何の独創性も出てこないから・・・」

唯一絶対の、強者(ちょうえつしゃ)の解釈(みかた)には、決して逆らえない……」

 

生成され続ける舌と口からこぼれ出ていた。

 

だが、そこで彼女は気付いた。

気づいてしまった。

 

それなら、なんでこの女王は、ボクに対して執拗に干渉するんだ?、と。

それほど強いのなら、自分のような弱者にわざわざ勝ったり、奪い取ったりする必要なんて、無いだろうに……

 

ふと、床に落とした瞳に自分の影が映る

たったひとつ、ただひとり。

 

いつもラリスキャニアに寄り添ってきてくれた唯一無二の『親友』(ともだち)

 

同じだけど違う姿。

自分だけを参照する存在にして、踊りの師匠。

『正しい動き』『より美しい踊り』を追求する相棒、指導者(トレーナー)にして随伴走者(サポーター)

己を正すための、鏡の代わり。

 

同じだから、自分を知ることが出来る。

完全に同じじゃないから、違いがあるから、相手を見つめて、教わることが出来る。

 

ふたりはひとつ。

ひとりでふたり。

靴のように、手袋や靴下のように。

同じで異なる、一組の一対(ペア)

 

不意に、ラリスキャニアは閃いた。

それらの像から、彼女の分析力が一つの答えを導き出したのだ!

 

『しかし、もし客観的な視座というものが、もともと存在しないのなら…!?』

 

そして、迷探偵は、推理を再開した。

 

「存在しないはずの『客観性』の保証…

仮想的な『第三者視点』…

メイファーラの可能性、『客観的な観察』の真の意味と勝ち取り…

それに…端末が、本体に反逆出来る可能性。

『弑逆』(しいぎゃく)の要素を持った部下が、実は邪魔者でなく、必要不可欠な存在であるとしたら…!」

 

「一体、何をうわ言を言っているのですか?」

 

彼女は、訝(いぶか)しげな元女神の眼差しなど、文字通り一顧だにせず……

 

「そうだ!

アレらの説が否定されるため、いや、乗り越えられるために、踏み台になるためにあったなら・・・飛躍を

補助するための組体操(リフト)の支え役のようなものだとしたら…!」

「殺します」

 

なんと、その強烈な攻撃すらしのぎきり、

 

『そうか!

だから再演は…二次創作は救いにもなり得るんだ!

もちろん、破壊であり侮辱行為になることも多々あるだろうけど!』

 

その推理は、一つの結論へと到達した。

 

「一体、貴方は何をおっしゃりたいのですか!そこまでべらべらと、何がしたいのですか!」

 

そんなふうに、全ての舌と口を破壊されてなお、『心話』で話し続けるラリスキャニアに対し…ついに、というか更に、元女神がキレた。

 

眼差しに加え、おびただしい呪文、死者の軍勢、そして最後に悪魔の左手(ディスペータ)そのものが猛烈な勢いで、地下アイドルに迫る!

 

だがしかし、それはほんの一瞬だけ、遅かった。

 

「喰らいな…はっくしゅん!」

 

小さなくしゃみ。

ほんの、ちょっとしたトラブル。

 

しかし、ちょっと待って欲しい。

ここへ来て、なぜそんな可愛らしい失敗が起こりうるのだろうか?

 

元女神(ディスペータ)は、死者の女王。

すなわち、その身体の半分以上は既に死の領域にある。

 

いかに零落しようと、そんな彼女が風邪を引いたりくしゃみをしたりなど、するものだろうか?

現に、彼女の二つある顔の半分は、既に鼻なんて腐り落ちた空洞に過ぎないのに……

 

そこで、悪魔の左手(ディスペータ)にも、突然の閃きが訪れた。

結果には原因がある。

『杖』的な理屈(ロジック)でなら、それの究明には科学的な調査と立証が不可欠だ。

 

だが、『邪視』の直観では、それは大きく異なる。

災厄の原因など、とっさに思いついたモノで十分だ。

 

それは、因果の誤謬(ごびゅう)

この呪術世界(ゼオーティア)において、あらゆる災厄の原因は、せいぜい二つ。

超越者(カミ)の祟(タタ)りか、あるいは……

 

当然というべきか、その時、半神の脳裏によぎったのは、誰よりもよく知っている腐れ縁。

 

そう、少し前に夢の中で激闘を繰り広げた宿敵の存在であった。

 

「ラクルラール!

あの、夢の中のカーイン人形ですか!

あの中に、精神に干渉するウィルスか何かを仕込んでいましたね!」

 

そういうことであった。

強大な呪術師がすることには、大抵の場合必然的な理由がある。

カーインを模した人形には、当然、彼に準じた機能が備わっていたのである。

 

あれは、ただの出オチではなかった。

出オチ・ウィルス入り・水風船カーインだったのである!

 

まあともかく、そうして悪魔の左手(ディスペータ)が遅延発動した嫌がらせに気づき、激怒している間にも事態は進行している。

迫りくる数々の攻撃をしっかりと見つめながらも、ラリスキャニアは、大声で語っていたのだ。

それは、窮地を脱するための強力な呪文?

いや、違う。

 

それは……

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