幻想再帰のアリュージョニスト二次創作「コルセスカさん変形する」【togetterでも投稿中】   作:鳳卵

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第121話(97~98の途中まで)

しゃらん!

 

そこには、勾玉を連(つら)ねたブレスレットがあった。

牙のような、触手のような丸みの群れ。

それが、動きがあるたびに、玉と玉がこすれ合い、小さなシンバルのように音を響かせていたのだ。

 

しかも、それには更に特筆すべき点があった。

それらの玉には……

 

「『髪の毛』いや黒い。これは、細い影?」

 

そう、無数の細い影が、何かのコードのように繋がっていたのだ。

 

「「「親切な方から青いスパゲッティの差し入れがありましてね。

それを六王パーンの業(ワザ)を参考にして、ボクなりに組み立てて(ブリコラージュ)みたのですよ!」

」」

 

「確かに、パーンは『髪の毛』の【融血呪】も扱えるので、どこかで使用場面を目撃したとしてもおかしくありませんが…

肝心の呪術本体は…ははあ、さては罠を回収して再利用されましたね。

入念な下準備が裏目に出るのは、相変わらずですか。 

そう、あれもキロンと戦ったとき【鮮血呪】をコピーされていたはず…

しかし、【万色彩星】(ミレノプリズム)による【パラドキシカル・トリアージ】の再現、いや再演とは…いくら『夜の民』がコピー好きとはいえ、その二番煎じはいただけませんね。

それに、罠の技術もどこかで見たような…ああ、あの迷宮小説経由ですか、なるほど」

 

魔女は、なんだか一人で納得しているようだ。

 

「いいえ、これは絆の力ですよ!

ファンの応援が、ボクの力になる…つまりボクの魅力と数の勝利です!」

 

それに対し、地下アイドルが何やら自慢するが……

 

「何が『絆』ですか。

単なる『拘束』(バインド)じゃないですか。

ファングッズを通じて、無許可で呪力を吸収するとか、この第五階層以外だったら投獄ものですよ?

徴税権は、その領域の支配者だけに認められた特権です。

まあ、ここでもライブ中以外なら、迷わず投獄されるはずですが」

 

そう、その『絆』あるいは『拘束帯』、髪の毛のコードには秘密があった。

 

それらは残らず、宙空に展開された動画窓に接続されていたのだ。

その先は、呪術的なつながり、すなわちアストラルネットを通じてファンの手元まで延びている。

 

「ファンとアイドルが、おそろいのグッズを身につけることは珍しくないですよ。

まあ、大抵の場合は呪術干渉を防ぐために色々仕掛けやクッションを用意するものですが」

 

「それらをあえて全て取り払っておいた、と。

呪術や拡張身体を介して呪力を啜(すす)るのは、『怪物』の所業ですよ?

恥は無いのですか?

そのままただの『異獣』として、人々の支持を失って追放されることを恐れていないのですか?」

 

「そのお言葉、そっくりお返ししますよ、悪魔の左手(ディスペータ)さん」

 

「……」

 

沈黙。

そして、魔女はまだ何か考えることがあるのか、独(ひと)り言のような問いかけをつぶやき始めた。

 

「…その『髪の毛』、さては中途半端に複製した『融血呪』を使っていますね?

影絵として劣化コピーで使用するぶんには、ラクルラールに支配される可能性は極限まで減る…その代わり、性能もかなり低下しているはずですが、それは元々の関係性で補った、と。

たとえ『四血呪』と言えど、デチューンされていれば、逆に使いこなせるし複合使用も可能というわけですか。

これはまあ、当然と言えば当然ですね

なぜなら、四禁戒の源流は、いやその紀源は…まあ、それは今は関係ありませんか」

 

それは、延々と続くかのように思われたが……

 

「しかし、いくらラクルラールの生徒とはいえ、途中で見放された貴方がそんな高度な呪術をどうやって?

その端末では、配信と同時に行う呪術支援にも限界があるでしょうし、『呪文』は私が妨害して…まさか!」

 

そこで元女神は、唐突に大声をあげた。

 

彼女は、何かに気づいたのか、可動域いっぱいに身体を動かす。

そのまなざしを下に向けるために。

人面樹の枝に、青白く鬼火が灯(とも)り、闇と陰に隠されていた床を照らし出す。

 

すると、どうだろうか。

そこにははっきりと、黒々とした文字が描かれていた。

 

ゲンリノヨウセイカタリテイワク

 

「…!」

 

声なき叫びをあげるキュトスの姉妹に対し、“興行主”は、舞台解説を開始する。

 

「声を封じられたときは、流石(さすが)にちょっと焦(あせ)りましたが、ちょうど良い“インク”があったので、使わせていただきました」

 

「血文字ですか!変色したことを逆手に取るとは…ですが!」

 

そこで、元女神は、そのまなざしを改めて鋭くした。

 

「そんな方法で戦って、勝てると本気で思っているのですか?

身を削って、仲間に負担をかけて…そうやって『絆』を言い訳にして消耗戦を繰り広げていれば、どんな相手にも必ず勝てる?

負ける気がしない?

…それで失うのが、些細(ささい)な代償に過ぎないと、そう考えているなら、大きな間違いです!」

 

「では、何を失うと言うのですか?」

 

その問いかけに対し、返されたのは、

 

「全てです。

仲間も、命も、世界もそれまで得てきたものも、思い出も、負ければ大切だったもの全てを失う。

“ここまで犠牲にしたから、もう十分だろう”とか“”そんな甘い見込みは、一切通用しません。

この世界は残酷です。

そんなことは、貴方もよくご存知ではないのですか?

ねえ、さっきまで絶望していた地下アイドルさん?」

 

とてつもなく陰鬱な、まるで世界の終焉を幾度も見たかのような、重みのある言葉だった。

 

だが、その問いかけに対しても、彼女は…

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