幻想再帰のアリュージョニスト二次創作「コルセスカさん変形する」【togetterでも投稿中】   作:鳳卵

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第124話(100の最後近くまで)

「ラリスキャニアが増えている…!

それも、窓ごとに!?」

 

そう、合図と共に宙空に現れた小さな窓、それを見れば、一目瞭然(いちもくりょうぜん)

そのひとつひとつに、小さなラリスキャニアが映り込んでいるのだ。

 

しかも、それら全てが、同じテニスラケットを構え、同じようにテニスウェアを着込んでいる。

だが同時に、それらはどれも違うラリスキャニア。

 

ポーズ、窓の先に映るファンの姿、細かいアクセサリー、髪型、スカートか半ズボンか、そして映像窓に浮かび上がる記念メッセージに至るまで、その全てが、それぞれ微妙に異なるのだ。

 

全てが同じで、全てが違う。

 

それは、“永遠の一瞬”

どれだけ時が流れようと、もう二度と訪れないこの一時(ひととき)、その時間の持つ一面を強調した業(ワザ)

すなわち、【一回性】というひとつの呪術であった。

 

そして、多くの小人に囲まれながら、通常サイズのラリスキャニア二人は、力強く宣言した。

 

「「ボクはボクを…もう一人の『本物』のラリスキャニアを信じます!」」

 

それに返るは、悲鳴のような声。

 

「『本物』が二人いるわけがありません!

どちらかが偽物のはずです!」

 

今、攻めているのは、あちらだというのに…これではまるで、逆に元女王の方が、追い詰められているかのようだ。

 

それでも、二重の響きは一切退かない。

 

「「いいえ、『ラリスキャニア』である限り、『アイドル』である限り

だって『アイドル』は、いつも明日の『本物』

になるため現在(いま)の自分(ニセモノ)を否定していく『本物』なのだから!

ボクと兄弟は二人でひとり!

互いに鏡の『偽物』で『本物』なのです!」」

 

声を揃えて反論する鏡の双子を、元女神はやっきになって否定する。

 

「鏡は、やがて必ず壊れます!

自分の理解者、反映してくれる愛してくれる相手なんて、本当はどこにもいない!」

 

痛々しい叫び声、痛々しい言葉。

それはまるで、今にも死にそうになっているかのようである。

 

「「いいえ!

アイドルの舞台(ステージ)では、あらゆることが可能なのです!

これまで叶わなかった夢も、これから実現するはずが無かった理想も!

そして、有り得ないはずの幻想も!

ここでは、その全てが実現するのです!

それを成立させるため、ボクは、ボクらは共に舞い踊ります!

夢の中で出会ったもうひとりのボク!

彼女を、相手役(アンタゴニスト)として活かすために!」」

 

それを聞いた悪魔の左手(ディスペータ)は、

 

「そんな強引な間に合わせの表現が、そんな在り方が上手くいくはずがありません!

さっさと諦め、敗北しなさい。

ここで私に負けておいた方が、後で挫折して絶望のままに終わるよりよほど良い!」

 

と、激しく叫ぶと、また、語調をガラリと冷たく変える。

 

「それとも、その小細工の寄せ集めで、本当にこの私(ディスペータ)に勝てるとでも思っているのですか?」

 

たった一瞬だった。

 

その、脅迫のような言葉が、彼女の舌先を離れるかどうか、というその一瞬。

 

会話の間も間断(かんだん)なく行われていた、閃光と閃光、連射される光の瞬(またた)き、それに紛(まぎ)れ…膨大な“白”が、人面樹(ディスペータ)から迸(ほとばし)ったのだ。

 

それは、あまりに速く、光を保護色として忍び寄り、何よりあまりに大量で一切の隙間(スキマ)無く襲いかかってきた。

 

その攻撃は、射つ殴るといった点(いちじげん)でも、薙(な)ぎ払い回し蹴りといった線(にじげん)でも無い。

 

ラリスキャニアにとって、全く未知の攻撃だった。

 

それでも、もしそれが、身体全体を使った押さえ込みであれば、まだ彼女(たち)にも対応は可能だったかもしれない。

 

アイドルファンと言う群衆は、しばしば暴徒化し、ときに、組み技のような挙動に出ることもあるからである。

 

だが、違った。

 

その挙動は、地下アイドルの思考の範囲内に存在しなかった、“面”(さんじげん)の攻撃。

 

それは、彼女が苦手な、歴史年表や世界情勢では当たり前の技術。

王や将軍、騎士の嗜(たしな)み。

 

地を穿(うが)ち、物体を組み合わせ、呪力を生産し、半永久的な呪的効果をもたらす構造物(アーキテクチャー)を構築する営為(えいい)

 

人呼んで、それを【築城】という。

 

気づけば、二人のラリスキャニアは、完璧に囚われていた。

 

人面樹(ディスペータ)から放出された大量の骨が、鳩のように飛び交ったかと思いきや… あっという間に彼女たちを包囲し、霜柱のように真っ白な牢へと、転じていたのだ。

 

大腿骨(だいたいこつ)や尺骨(しゃっこつ)※の柱、背骨の天井、それらをつなぐ腱(けん)のワイヤー補強、果ては、脱出阻止に肋骨の“骨状網”まで……

それ正に、死の牢獄であった。

 

 

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