幻想再帰のアリュージョニスト二次創作「コルセスカさん変形する」【togetterでも投稿中】   作:鳳卵

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第141話(その2の11~12)

もちろん、協力者は彼女たちだけではない。

 

『SNA333』(トライスリー)あるところ、その宿敵(ライバル)あり。

 

『祝祭』に備(そな)え、『死の女王島』において、アイドル開拓対決を行なっていた『アマランサス・サナトロジー』たちも参加しているのだ。

 

実を言うと、その勝負はもうとっくに終わっていた。

 

なにしろ、『祝祭』における出番や席次(ポジション)を争うその予選は…早々に迷宮第一位『開拓氷姫』のワンマンチームが圧勝していたのだから。

今回は、ハンデとして男装メイドと女装王子『SNA333』とアキラ姫は、別判定(カウント)されていた。

 

しかし、にも関わらず、引きこもっていたはずのゲーマーアイドルは、突然のアウトドア大活躍。

なんと、彼女の開拓地だった島の中央部は文明が発達し過ぎて、地下の謎遺跡や復活した異界邪神アイドルたちを含めて丸ごと飛翔。

そのまま、概念的上方へと次元上昇(アセンション)していってしまったのである。

 

そのため、置き去りにされた残りのチームはその帰還を待つ間、暇を持て余していたのだ。

 

しかも、その開拓の遺物は、それはそれで役立った。

開拓対決アイドルたちが、生存(サバイバル)のため島に作り上げた様々な物資や建築物。

アイドル農園、田畑、果樹園、木材加工場、鍛冶場、工場、造船所、祭壇、神殿、墓地、城のようなホテル

忍者屋敷と動物園(ファウナパーク)の二大アトラクション、アイドルラフディシティのラプンシエル・フリースクール、わたしにーさま運河と水上公園、トリシューラショッピングモール、そして古代怪獣アイドルと相打ちになり、そのまま巨大モニュメントとなったシナモリアキラロボ……

 

それら無数の施設は、そのままアイドル経済の実験場として容易に流用可能だったのである。

 

おまけに、それらの所有者たちの協力を得るのもまた容易だった。

反ラクルラールの意志、自分たちも憎き『恩師』に一泡吹かせたい。

出来れば決闘で叩きのめして実力を証明しつつ、目立ちまくりたかった。

 

それらの思いが、思想も性格も異なる地下アイドルたちを一つにした、

蓄積された怨念(おんねん)と私利私欲がもたらした仮初(かりそ)めの連合。

だがそれは、向かう対象が明確である現状において、何よりも強固な絆(バインド)となった。

 

それは、力となる。

 

それまで、ラリスキャニアは夢世界を覆う青い網によって囚われていた。

"残酷な世界"を象(かたど)った、ラクルラールの拘束。

だがそれも、世界をも超える"新たな網"の前では、あっさりと打ち破られ、乗り越えられてしまう。

 

それは何も、地域通貨と動画窓だけのせいではない。

 

それらはあくまで、媒体に過ぎない。

 

マジカル・アピール『歓迎!毒電波協会!』(ウェルカム・トゥ・ザ・アンダーグラウンド・アソシエーション!)

 

"興行主"を自称する地下アイドルが放った、妄言の『外破』

彼女が持つ吸血鬼の性質を拡大したそれは、当然永続するものではなかった。

その呪力は、世界に定着することなく劣化し、変質し、流れ去り…そして新しい、より生き生きとした媒体へと癒着(ゆちゃく)していたのだ。

 

そして『外破』、そして始祖吸血鬼(ルートヴァンパイア)といえば、先日第五階層で大暴れした『病気持ちのシナモリアキラ』である。

その中には、『交易』や『共同体と共同体の接触』を司る者もいた。

そう、吸血鬼とは『共同体が内包する呪い』の別名。

 

すなわちその本質は、共同体(コミュニティ)を形成しうる媒体(メディア)を介して伝染する、呪力(ミーム)なのである。

 

【独り聖婚】によって強化された『青い鳥』(ペリュトン)の触手による網(ネットワーク)

それを電流のように、そして病原体(ウィルス)のように伝わる『吸血鬼』の呪力(ミーム)つまりは、妖精呪文によって解体され擬似的な使い魔の紀人と化した、ラリスキャニアの半身。

身を削って創り出した、呪術的なつながり(バインド)

それこそが、ラリスキャニアによる"アイドル経済"のための"新たな網"の正体であった。

 

そんな即席の寄せ集めな構築物(ブリコラージュ)を前に、誰も失わさせはしないと、自らが描く絵図面(ビジネス)で、必ずみんなをしあわせにしてみせる、と。

“興業主”は力強く、世界に向かって叫んだのだった!

 

そしてそれは力となる。

 

形には意味が宿る。

信仰、それすなわち呪力(ミーム)

 

この呪術世界(ゼオーティア)を構成する普遍的な/凡庸なる消費財(エネルギー)である。

 

それらは、その叫びに導かれた浮遊物体、いつの間にか新しい網(ネットワーク)から集まってきた九冊の本に祝福されていた。

 

もちろん、ラリスキャニアがどこかで拾った謎の"台本"が変化したのか、その大半は粗雑な贋作に過ぎない。

 

お粗末な『技能』、押し付けがましい『愛情』、推し活第一で基準が壊れている『健康』

未だ不安定な『地位』、関係者が無頓着(むとんちゃく)ゆえにどこか曖昧な『生存』、我欲を押し通すための口実としての面が強い『道徳』

 

だが、その中には真作も存在した。

アイドル経済の中核にあり、その共同体(コミュニティ)性と市場(マーケット)性という相反する両面を繋(つな)ぎ止める、三冊の本。

 

好奇心から、あるいは気まぐれから提供され貸し出された、上位の地下アイドルたちが持つ本物の断章。

競争と序列に加え交流をも促(うなが)す『尊敬』、奪い合い溜め込むだけではない価値を象徴する『富』

そして、未熟ながら情熱的な、三百人を超える所有者(オーナー)たちを見守る『知識』

 

三冊の本は、まるで一つの星系のように、ぐるぐると円舞曲(ワルツ)を踊る。

回転の中心軸を固定しない、不可思議な動き。

それらは、どれか一つが優位になることもなく他を貶(おとし)めることもなく、新たなる秩序と小宇宙を形成していたのであった……

 

 

 

 

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