幻想再帰のアリュージョニスト二次創作「コルセスカさん変形する」【togetterでも投稿中】   作:鳳卵

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第144話(その2の13~14)

「止(や)めろ!

私の経済活動(ビジネス)を、二度と『遊戯(ゲーム)』と呼ぶな!

違う、違う、違う!

私は、違う!

あいつではない!

ゲームなど経済や市場の付属品、下位の卑小なカテゴリに過ぎんのだ!

私こそが本物!

このラクルラールは唯一絶対!

自律し自立した不動にして確固たる存在なのだ!」

 

ラクルラールの口調はどんどん早口になり、その言葉も、段々と支離滅裂になっていく。

 

「させるか!

もう二度と私は負けん!

最後の最後で肥大化した貧乏神(アンフォーチュン・スピリット)を押し付けられたりせっかく同色揃(そろ)えた土地や宇宙鉄道女王の座を奪われたりなどもうしない!

開拓地からの逆転帰還も許さない!

同じ過(あやま)ちは二度と繰り返させぬ!」

 

そしてトドメに、元学園長は、とびきり意味不明な宣言を叫んだ。

 

「アキラくんもプリンも全部全部、私のものなんだから!」

 

「えっ?

プリン?

シナモリアキラが?

痛風?

新手の吸血鬼?」

 

謎の発言を耳にした地下アイドルは、戸惑(とまど)うしかない。

理解出来ない。

相手の依(よ)って立つ文脈が、まるで分からない。

 

しかも、相手が耳を貸さないせいで、その言葉はどうしても一方的になってしまう。

 

密(ひそ)かに歯噛みするが、今更どうにもなりはしない。

ここまで来たら止まることは出来ないし、戻ることは尚更出来ないのだ。

もはや、ラリスキャニアは、ただ進むしかない。

 

地下アイドルには、恩師を説得するに足るだけの弁舌が、『呪文』の力が不足していた。

だって彼女は、あの慰霊祭を救った歌姫なんかでは、決して無いのだから。

 

だが、せっかく固めたその覚悟を眼前からの唸(うな)り声が断ち切る。

 

「それを否定する者はーー」

 

それに続いて、くるみを割るような音が聞こえた。

もちろん、こんな夢の端で、そんなものを食べる者がいるわけもない。

 

その真相は、女教師の口元からこぼれ落ちた、あの白色が静謐(せいひつ)に物語っていた。

どんな広告にも載っていないほどの、曇(くも)りなき純白。

 

伝え聞くところによれば、上流階級は、ジョギング、ジム、そしてその部位の研磨によって、己の価値を誇示(こじ)すると言われている。

骨に似て更に輝き、雲や雪にも勝(まさ)る輝きを放つ、誰もが見慣れたその物体。

 

その正体は、歯だ。

女教師は、誇るべき自らの一部(パーツ)を、噛み砕いていた。

 

ラクルラールは、激怒していたのだ。

おそらくは、ガラクテンこずえとの戦いとは、比較にならないほど。

 

更に、転がり落ちた廃品(がらくた)に続き、願(のろ)いをかけるように、怒声が追いかける。

 

「この私が打ち砕く!

たとえ何者であろうとな…!」 

 

そして、教師と生徒は、声を揃(そろ)えた。

 

「「マジカル・アピールだ!」です!」

 

そう、今度こそ最後の決戦が始まるのだ!

激怒した魔女と、地下アイドルの戦いが!

 

両者の間で闘争心が空気を熱し、可視化出来るほど強大になったアイドル闘気(オーラ)の風がぶつかり合う…!

 

その時、“興行主”は、己のシステムに対する強大な圧力を感じ取った。

何者か――と言うかまず間違いなく目の前の“恩師”が――が、強引に介入を図(はか)っている。

「これは…!

何かが『知識』の断章に干渉している!?

ラクルラール先生には、王権の資格があるということなのか…!?」

 

驚愕(きょうがく)する地下アイドル。

だが、誰もそんな彼女の反応(リアクション)を待ってはくれない。

待ってくれる、わけがない。

 

今こそ、時をもを置き去りにする勢いで…女教師は一気に攻め立てて来る!

ラリスキャニアには、何も分からない。

 

それでも、たった一つだけ確かなことは、

 

「燃え尽きろマッチ売り!

夢見人は、現実にすり潰される時間だぞ!」

 

もはやここから先は、完全に容赦(ようしゃ)無用。

 

「そして当然こうなる貴様の甘ったるい計画などしょせんは画餅(がべい)に過ぎんのだ!」

 

一切の呪文(ことば)が通じない戦いが始まる、ということだ!

 

まず、絡みつくのは、青い糸。

元学園長の手先から髪から、それは霧雨のように放(はな)たれる。

 

空中を走る無数の動きが描くのは、輪郭(りんかく)だけで表現された社会の縮図だ。

 

効率の追求、目的と手段の逆転。

利益を追求するあまり、過酷(ブラック)企業化する砂糖農場(プランテーション)

ラクルラール農場が、栄華を誇る。

 

けれど、その成功には影が差す。

それに楯突く、不純物(ノイズ)もまた現れているのだ。

それは、約束された破滅、歪(いびつ)な統治によって準備された反乱(クーデター)

 

反乱を起こす再生者(ゾンビ)・労働者(プロレタリア)抵抗軍(レジスタンス)の出現である。

 

敵味方に分かれ、槍や原始的な杖を構えて殺し合う二つの勢力。

 

そして良く見れば、そこには更なる異常があった。

上司と部下は、共に青い糸で吊られて動いていたのだ。

 

それぞれ自らの意志と利害で対立しているはずの両陣営は、その実(じつ)、どこの誰とも知らぬ超越者たちの手駒として扱われていた。

 

 

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