幻想再帰のアリュージョニスト二次創作「コルセスカさん変形する」【togetterでも投稿中】   作:鳳卵

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第147話(その2の16の途中まで)

 

 

突然だが、地下アイドル迷宮は、現在過渡期にある。

 

なにしろ、『SNA333』が『アマランサス・サナトロジー』を吸収して肥大化したうえに、その中心人物(センター)が、統制をほぼ放棄(ほうき)している。

 

更に、本来その役割にあるはずの紀人にしても、迷宮内侵入不可(たちいりきんし)条約に、加入しているのだ。

加えて、それに次ぐ地位(ポジション)のラプンシエルにしても、来たる祝祭の準備や冥界管理のため、実に多忙であった。

 

その間、子グループとして『アマランサス(略)』が名義上の復活を遂げはしたが……そんなこんなで、特性であるグループ内ランキング制度は、ろくに機能していない。

 

だが、これほどの巨大グループが内部ランキングを引っさげて復活したらどうなることか。

一つ言えることは、それは、アイドル迷宮自体を一つのグループが呑み込むことに成りかねない、ということである。

ラリスキャニアは、歌姫spearの到来によって『迷宮』が『上』のアイドル序列に組み込まれてしまうことを恐れていたが、そうでなくとも『SNA333』といういちグループだけでも、同様の事態は、既に起こりつつあったのだ。

 

それは、非・シナモリアキラおよび、非・『アマランサス』のアイドルたちにとって、間違いなく危機的状況であった。

しかし、そういった低位や中小グループ、個人勢のアイドルたちに、こうした事態に対処するスキルや呪的および社会的資産があるわけもなく…彼女たちは手をこまねくしかなかったのだ。

 

そこへ持ち込まれたのが、ラリスキャニアの『アイドル地域通貨』(ローカル・チケット)制度である。

これこそまさに、渡りに船であった。

話題になる、気晴らしになる、そしてなんとなく楽しいし、なんだか乗り遅れたらダメな気もする。

 

それに加え、今ひとつ個性を売り出せないような弱小アイドルたちにとって、明確なメリットもあった。

なにしろ、ラリスキャニア(上位十二位のランカー)から、アイドル技術や流行に関するノウハウを講義(レクチャー)してもらえるのだ。

 

サイバーカラテ使い(シナモリアキラ)にならなくても、コネや情報収集(リサーチ)力があれば、ノウハウを盗める。

直接対決出来れば、その“最適”を参考にすることも出来る。

 

だが通常、上位に食い込めない弱小ランカーアイドルたちには、そのどちらも不可能である。

迷宮のアイドル同士で交流を持つ機会自体が、意外と貴重なこともあり、これは多大な利点(メリット)であった。

 

よって、アイドル地域通貨(ローカルチケット)契約は速(すみ)やかに締結(ていけつ)され、呪術的な取引についても、あっさりと成立したのである。

 

…実のところを言うと、これは呪術【陰謀論】の応用でもある。

実際は存在しない相互理解や、一体感を錯覚させる一夜の夢、酔いの幻。

自家中毒の感染呪術。

それは、幻想の始祖吸血鬼たるラリスキャニアの業(ワザ)の残り香。

九回転の業(ワザ)が、ファンとの無限聖婚の幻惑だとすれば、この十回転の無限アイドルコラボは、その拡張版。

それは、全てのアイドルとファン、そして業界関係者を繋(つな)げ、『どこにもない理想郷(ユートピア)』を再演する。

その呪いの又の名を『竜王国(ガロアンディアン)』と言った。

 

 

閑話休題(それはさておき)

そんな、あまりの変身触手の横溢(アグレッシブ)に、ついに怒り心頭に発したか。

ラクルラールは、一旦引っ込めたはずの呪文(ことば)を全力で繰り出してきた。

呪いを、放つ。

 

「こんなに大量の呪力を外部から融通されて“保(も)つ”はずがない!

存在を乗っ取られるぞ!」

 

「それも問題ありません!

対策は実行済みです!

なにしろ、クロウサーや機械女王の影響力を少しでも減らすため、グレンデルヒ系などの財務を得意とするアイドルの助力も、たくさん借りましたからね。

『SNA333』の財政系アイドル『金霊』(かねだま)などは、口癖が”~だカネ”とキャラ付けが安直すぎて順位は低めですが、潜在能力(ポテンシャル)は、おそらくかなり高いは…」

 

「信用出来るはずがないと言っているのだ!

お前との契約(かんけい)を維持する必然性など誰にもない!

所詮(しょせん)は利用されて使い捨てられるだけだ!」

 

「ボクは全アイドルのファンであり、その全員を信じています!

それがボクの答えですよ!」

 

「それが何だと言うのだ!

狂人自慢でも始める気か?」

 

「いいえ、違います!

ファンは、誰よりアイドルのことを知っているとは言えないかもしれない。

けれどそれでも、誰にも負けないことはある!」

 

「気持ち悪さか?」

 

地下アイドルは、半畳(やじ)を無視した。

受け流す。

復讐の類(たぐ)いは、演技(パフォーマンス)で倍返(ばいがえ)すのが、彼女の流儀なのだ。

だから、ラリスキャニアは、こう切り返した。

 

「アイドルへの愛ですよ!」

 

そして彼女は、表現(アピール)を繰り出す。

数百人を超える、アイドル全員のマジカルアピールを、同時に!

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