幻想再帰のアリュージョニスト二次創作「コルセスカさん変形する」【togetterでも投稿中】   作:鳳卵

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第153話(その2の20~21の途中まで)

よって今回は、とりあえず近そうな例を参考にイメージを補完して、役作りをすることにした。

 

幸いにもラリスキャニアには、炎や太陽に縁があり、更に『青い鳥』(ペリュトン)にもある程度近い身近な例に、心当たりがあった。

 

アイドル迷宮の元二位、ヒュドラボルテージである。

”鳥と鶏、夜と朝。

やや無理がある準(なぞら)えではあったが、その類似性はなんとか機能した。

 

その結果こそが、この暗黒の太陽であった。

誰も見たことが無いのに、なぜか“有名人っぽい印象を与えるイメージ。

これぞ、彼女の決意と覚悟の顕(あらわ)れたる表現(アピール)

言わば、未知の再演という矛盾である!

 

誰もが心のどこかで待ち望み、しかし実際の目撃者はほぼ皆無だった、この炎。

それは運良く、斬新で魅力的な表現(アピール)として世間に受容されていた。

対戦するアイドルたちを取り囲む動画窓が、それぞれ過敏な反応を示して、それを褒め称える。

 

無数の声援に囲まれ、影炎の太陽はますますその威力を増し、ラクルラールを焼き尽くさんと、突き進んでいく…!

 

しかし、まだ足りない。

 

「やっぱりそう来ますか…!」

 

ラリスキャニアは、予測していた。

この業(ワザ)を以(もっ)てしても、相手を圧倒することは不可能である、と。

果たして、予測は的中した。

 

目前の女教師も、また彼女と同じような構えをとっていたのだ。

 

「よりによって、この私にその業(ワザ)を使うとはな…!」

 

そしてすぐさま、広がりゆく熱波が動きを止める。

 

それは、停止。

 

原典に心当たりが無い者でも、一目で分かるその劇的な効果。

それ即(すなわ)ち、全てを凍(い)てつかせる封印の演技に違いない!

 

「まさか『氷血呪』!?

そんな希少呪術(レアスキル)の再演が可能だなんて!」

 

そもそも、誰もそんな現象を知らなかった。

まさか、影太陽を『氷血呪』の封印によって、制圧することが可能だとは。

 

確かに、『氷結のコルセスカ』は第五階層に限らず世界中で人気の役ではある。

それが、世界を滅ぼす火竜の封印者である以上…その特技の再演によって、古代の文脈がよく分からない破滅(オチ)に余裕で対抗出来たとしても、全くおかしいことではないのかもしれない。

 

確かなことは、ただ一つ。

 

眼前の『守護の九姉』は、そんな手段でラリスキャニア必殺の演技をじりじりと、しかし、確実に押し返しつつあった…!

 

「この私に、あいつの真似(マネ)を強制させた罪…万死に値するぞ!」

 

しかも、相手はまた何やら、よく分からない理由で激昂(げっこう)している。

 

けれど、

 

「ボクにだって多少の『知識』くらいはあります!」

「『知識』だと?そんな半可通(はんかつう)の生兵法(なまびょうほう)、何になる!」

 

だが、それでも地下アイドルは、懸命に研究してきたのだ。

通常のラリスキャニアは、アイドル以外の物事には、全く興味を持たない。

 

だが、アイドル関係者については、その例外。

熱心に研究している。

『空組』や機械女王こと、瓦楽天(がらくてん)コズエのことを考えれば、そうした人々が後からアイドルデビューする可能性も、決して否定出来ないからだ。

 

だから、当然…

 

「あの英雄のことも、しっかりアイドル研究しています!」

 

「巫山戯(ふざけ)るな!

何が出来る!貴様程度の解釈力で!

そんな破れかぶれ、いつまでも保(も)つわけがなかろう!

見ろ!

早速、身体が崩れ出しているぞ!」

 

あざ笑う女教師。

それに対して元生徒は、決意を込めて叫び返した。

 

「…その程度のこと、先刻承知!

だったら一刻も早く、貴女方を打ち倒すまでのことです!」

「出来るものか!」

 

「いいえ、やってみせます!

ボクの、いや、ボクたちのマジカルアピールで!」

 

もはや猶予(ゆうよ)は無い。

限界を迎える前に、対戦相手を撃破しなければ…!

 

けれどその時、地下アイドルの身体が大きくよろめいた。

 

呪力の過剰消費…だけではない。

彼女は、ついに生物としての限界、アマチュア呪術師としての限界に、到達してしまったのだ。

 

これまでの演技の限界を超え、人生の絶頂に達したラリスキャニアの業(ワザ)は、その身体に多大な負荷をかけていた。

 

『猫の国』(いせかい)の言業(コトワザ)に曰く、『亢竜悔いあり』

頂点まで昇りつめた者は、必ず衰え、後悔すると言う。

地下アイドルは、いまやその言業を体現する運命(さだめ)にあった。

 

だが、それで良いわけがない。

問いかけは、まだ続いているからだ。

 

舞台が、問いかけている。

踊り(ダンス)の動き(パターン)が、そして観客が。

ラリスキャニアを見つめている。

 

それがお前の限界か、と。

諦めていいのか、と。

 

そんなわけがない。

 

だから、抗え、どこまでも。

小さな竜巻のように。

世界に嵐を起こす、異界の蝶のように。

 

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