幻想再帰のアリュージョニスト二次創作「コルセスカさん変形する」【togetterでも投稿中】   作:鳳卵

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第164話 表裏一体、光闇の『浄界』その⑧(その2の29~30の途中まで)

「そんな『箒力学』の基礎教科書(ベーシック・テキスト)で否定されているような仕組みで、何が出来る!

それに、オリジナルが自己同一性を、唯一無二という価値と尊厳を手放すとは!

それでは、自己を保っていられないはず!」

「そんなことはないですよ。

どちらにせよ、『アイドル・ラリスキャニア』は保たれる!

ボクはそうありたいし、そうあり続けます!」

それ対し、抗(あらが)うラクルラールがまた吠(ほ)える。

 

「認めんぞ!

個人(オリジナル)は独立独歩!

確固とした自己中心性(アイデンティティ)を保つには己と同等以上の鏡像など不要なのだ!

私(こじん)の規定とプロデュースは常に私自身(そのほんにん)だけが成し得るしそうでなければならない!

他者の規定に依存するなど…そんな二次創作イメージ頼みの自己形成など破滅しか招かない!

私は影のように代役のように貶(おとし)められる生き方を認めない!

全てを支配しそれによってようやく尊厳を脅かされない安息の日々を不動の立場と尊厳を勝ち取る!

それこそが真の個の確立なのだ!」

 

それに対し、『ラリスキャニア』は、皮肉げな笑みと共にこう答えた。

 

「言理の妖精…いや、シナモリアキラなら、きっとこう言うんじゃないかな?『そんなのは、ナチュラリストの繰り言だ』って」

「その余計口(よけいぐち)が災いと知るが良い!

警告に二度目は無い!」

 

そのセリフが、終わるかどうかというタイミングだった。

その時、女教師は、これまでに倍する攻撃を仕掛けてきた。

それはまるで、蛇口にシャワーノズルを取り付けたかのような、急激な変化。

ラクルラールは、また戦法を大きく変えてきたのだ。

その腕が伸び、自在に曲がって刃の蛇となる。

 

それもまた、これまでの動きと比(くら)べて最速ではない。

だがやはり、不可避の攻撃であった。

 

これこそが、長生を誇る不死の半神が持つ絶対的な、利点(アドバンテージ)

その積み上げた経験と覚えた戦術の厚みは、並大抵の連中とはまるで比較にならないのだ。

 

当然、地下アイドルたちもそれに対抗する。

両者は、互いにその背後に分身の『軍団』を形作り、“戦力”の増強を図(はか)ったのだ。

それは、偽(いつわ)りの『共同体の権威』

集団を背景とした、追放競争。

いや、もはや追放“合戦”だった。

 

二人の『ラリスキャニア』が、お互いの追放を重ねる有様(ありさま)は、まるで捏造(ねつぞう)された履歴書のよう。

空白は、瞬(またた)く間に埋められる。

全くの虚無から、次々と華々しい経歴が生じ、花畑のように美しく咲き誇っていった。

 

恐るべきは、この演目の“興行主”たちの“面の皮”だ。

彼女たちは、追放されるたびに自分の勢力を新グループとして再定義。

元祖、本家、新、真、新世代、新本家と、より正統性を主張する『宣名』を重ねることで、見飽きられた存在を再生(リノベーション)し、新鮮さを演出する。

それは、極めて古びた手法(メソッド)。

 

もちろんそこに、真の『新しさ』などはない。

けれど、そこには勢いがあった。

名称の微妙な変更を重ねることで、無理矢理創り出した“新世界”には、ただそれだけでも得られる活力があったのだ。

老人たちは、それを『若さ』と呼ぶだろう。

だが、彼女たち自身は、そして信奉者(ファン)たちは、それに別の名を与えた。

『情熱』、と。

 

そして、その分断を恐れぬ無謀な振る舞いにも、一つの裏付け、呪術基盤のようなものが現れようとした。

元々、『ラリスキャニア』の知識にあったものか、それとも単なる偶然や気の利(き)いた解釈(あとづけ)か。

ともかく、彼女たちの活動を支えるその概念を、こう呼ぶ。

 

“浄化の切断”と。

 

すなわち“切除”あるいは“剪定”

または“お化粧”(メイク)

 

それは、無限に続く理想(じぶん)との相克(たたかい)の中で、どこまでも魅力的に、いつまでも輝き続けるために行われること。

ごく在り来りな、努力の一環。

 

その『分別』は、切り捨てではない。

一時的なお別れ。

また“流行”(ムード)が変わるまでの仮初(かりそめ)の 封印。

その起源を、再生者の王子の剣に持つその業(ワザ)は、当然のように、対象への思いやりを基盤としていた。

具体的には、こういうことだ。

 

「嫌なことや辛(つら)い過去は、消し去って、それで終わりじゃない!

だって“最適”は常に変わり続けるから!」

 

一度『不浄』として定義されたものや記憶(おもいで)が、いつまでも嫌われ者のままとは、限らない。

嫌で嫌で仕方なかった学生時代も、思い返せば学べることや、同類(ちじん)との共感(つながり)にすることが出来るように。

そして、ちょうど今、互いを追放し合う『ラリスキャニア』たちの背後に、影(ほんたい)となり付き纏(まと)い続けるその『不名誉』が…やがて、その『本体』(かげ)の努力によって『成功者の苦難と栄光の道のり』として、肯定的(ポジティブ)に再解釈されて、光り輝いていこうと、しているように。

 

「だから、先生には絶対に捕まりません!」

「貴女が影を振り払えるなら、別かもしれませんけどね…!」

 

「ならば…これでどうだ!」

 

 

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