幻想再帰のアリュージョニスト二次創作「コルセスカさん変形する」【togetterでも投稿中】   作:鳳卵

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第167話 表裏一体、光闇の『浄界』その⑪(その2の31~32の途中まで)

その両手を天を支え――いや、むしろ掴み取ろうとせんが如(ごと)く広げ、

 

「私は世界の中心を『心臓』を手に入れる!

唯一にして至高の教師として、万民を教え導く者として永遠に君臨し続けるのだ!

そして、闘争に敗北した者の行き着く先は、実に惨めだ。

序列の下位に転落するしかないのだよ。

皆の価値基準を裏付けるためだけに存在する、最底辺(ボトム)となりただ踏みつけられてその生を終えるのだ。

さっきのような甘ったるい妄想が通用すると思うなよ!」

 

と、堂々と己が勝利の確認を終えた。

 

そして彼女は、そのまま朗々と謡(うた)うように、眼前の敗者へと命令を下(くだ)してきた。

 

「私に従え。

そうすればこの夢世界の半分の管理権を貸与してやろう」

 

突然の、脈絡のない発言。

地下アイドルが驚いている隙(すき)に、すかさず解説が挟み込まれる。

 

「お前はこの戦いの間で随分と成長したようだな」

「え、はい」

 

戸惑(とまど)う元生徒に教えを垂(た)れる。

 

「それは全部私のおかげだ。

私との闘争を失えばお前は弱体化する!」

 

「そ、そんな!」

 

しかし、言われてみれば心当たりは山ほどあった。

 

ラリスキャニアは、英雄でも探索者でも呪術師でもなく、『星見の塔』留学といった箔(はく)がつくような経歴もない。

所詮(しょせん)は、迷宮生まれの一般人だ。

しかし、そのただの地下アイドルが、こうまで闘えるものだろうか?

相手は、劣化しているとはいえ、世界的に有名な半神なのに?

両者の間の格差(ヒエラルキー)は、それこそ天と地の間ほどあるはずなのに…

 

気がつけば、そこには違和感しか無かった。

それを裏付けるように、ラクルラールは言葉を重ねる。

 

「生死の境を彷徨(さまよ)ったり、高位のアストラル体からの試練を受けることによる、急激な成長。

それは、呪術師(シャーマン)ならずとも可能な普遍的(ゼオータイル)な現象だ。

おかしいとは思わなかったのか?

お前の成長速度は、特定の闘争のときだけ異様に速い。

アキラ姫…シナモリアキラとの対決、そしてこの夢での戦い。

その共通点は、どちらも高度な『杖』の使い手を相手取(ど)った闘争だと言うことだ。

そして、シナモリアキラ『本体』と言うべき『大蛇』は既にアイドル迷宮では実質的に引退済み。

つまり――」

 

そこでラクルラールは、一歩前進した。

足音が大きく響く中、新たな宣言が谺(こだま)する。

 

「もはやお前はここでしか、私との闘争という指導でしか成長出来ないのだ!」

 

「…!」

 

更に、その発言の衝撃がまだ薄れないうちに、女教師は更に指摘を重ねてくる。

 

「そして、その13回転が今の貴様の限界だろう。

違うか?」

 

「そ、それは…」

「…」

 

図星を疲れたラリスキャニア“たち”は、戸惑い、沈黙する。

 

「だが、私ならそれを更に限界以上に伸ばすことも可能だ!

知っているはずだ!

このラクルラールのこれまでの実績が、この世界の神話と歴史が、そのことを確かに保証していることを!

さあ、決断しろ!

もはや貴様に残された機会はこれしかない!

もう、祝祭も近い。

第五階層に激動の刻(トキ)が迫っている。

力の無い者は、皆死に絶える破滅の時代が。

それに抗える最後のタイミング、やるべき時は――今だ。

そうだろう?」

 

「確かに、先生との闘いは…この競演は“ボクたち”にとって貴重な機会ではありました…」

「限界以上の力を発揮しなければ、立つことすら能(あた)わない逆境。

それを、成長のための“伏線”として利用していたのは確かです。

“甘えていた”と言われれば、そうなのかもしれません。

ですが、ですが…」

 

選択を促(うなが)された"元生徒たち"は、ためらい、迷う。

こうまで不利な状況だ、当然だろう。

おまけに今や、生命線(ライフライン)たるファンを奪われた『ラリスキャニア』は、もはやあらゆる面で限界のはず。

ここで真なる対立を、圧倒的な上位者への反逆を試(こころ)みるのは、誰が見ても愚かな行為でしかない。

だが、それでも…

 

「「お断りします!」」

 

二つの声は、きれいに揃(そろ)った。

 

返答をしたのは、これまで踊っていた勇壮で華麗なコンビ、衣装違いの二人ではない。

地味な練習着と、それによりそう影のラリスキャニアだ。

 

その外見は、これまでよりだいぶしょぼくれてはいるが…その眼には、強い光がある。

 

「残念だなぁ?

この調子で成長すれば、いつかは黄金の高みすら目指せたかもしれないのになぁ!」

 

すかさず放たれる、ラクルラールの煽(あお)りにも、

 

「それでも…ボクは、ボクらは『ラリスキャニア』を信じます!

支えてくれる子豚ちゃんを信じ、支えられている自分(ボク)ら自身を信じるのです!」

 

と、応じる声にも揺らぎはない。

 

 

「欺瞞(ぎまん)だな!」

しかしそこで『教育』の魔女は、新しい指摘を以(もっ)て攻撃に代えてきた。

 

「見ろ!たとえばコイツだ!」

 

彼女は、一つの配信窓を指し示す。

 

 

 

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