幻想再帰のアリュージョニスト二次創作「コルセスカさん変形する」【togetterでも投稿中】   作:鳳卵

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第169話 表裏一体、光闇の『浄界』その⑬ それは、全ての土台であって(その2の33の途中まで)

当然、その挙動は“彼”の全身を縛る青糸と競合し…結果として、それは激しいもがきとして出力されるばかりであった。

 

言葉として返る反応はと言えば、やはりラクルラールの嘲笑と悪罵(あくば)のみ。

 

「馬鹿め!

アンチはアンチ。

いくら優しい言葉をかけたところで、“養分”にすらならない世界の不良品(バグ)なんだよ。

悪や不浄を、滋養に出来るわけがない!

そいつはな、この後(ご)に及んで自分の身が可愛いんだよ。

ただ自分の事ばかりを考えるせいで、結局、その自分すらも守れない。

何も考えず感情に流されて自堕落に生き、それゆえにこうして容易(たやす)く利用される。

そう、これは『ヒト』と名付けられただけの“がらくた”に過ぎん!」

 

「そんなことはありません!

“彼”の自由を奪っているのは、先生、貴女ご自身ではありませんか!

一体、拘束され、苦しめられている状態の人間(ロマンカインド)の何を判断しろと言うのですか!」

 

地下アイドルは、苦しげな表情を浮かべながらも必死に反論する。

とはいえ、抵抗の言葉に応(こた)えは返らないまま。

代わりにあるのは…

 

「馬鹿らしい!

大衆は飽きっぽく気まぐれだ。

その支持に頼る復活は、『真の不死』とはほど遠い。

キロンの末路を知らないのか?

『九英雄』もその同類たちも、皆全て巨大企業群(メガコーポ)、巨大霊性複合体 ( スピリチュアリティ・コンプレックス ) の利害と大衆の享楽に、消費され尽くした!

『推し』だの『信仰』だのといったところで、それは体(てい)の良いエゴの言い換えに過ぎない!」

 

辺り一面を轟く声、見渡す限りを埋め尽くすラクルラールの顔。

もはや全ての配信は、女教師が完全に掌握(しょうあく)している。

逃げ場なんて、もうどこにも無い。

無数の窓から成るモザイク画は、巨大な顔となって大(おお)いに笑う。

満面の悪意を湛(たた)えたその有り様(さま)は、まさに、逃れようの無い悪夢そのものであった…

 

「…そうかもしれない。

けど、それでも!」

 

「ボク"たち"には、結局こんなことしか出来ない。

歌は苦手だし、演技だって、舞台上でヒトを魅了出来るようなものじゃない。

強力な呪術(オルガンローデ)は使えないし、大きな勢力とのコネもない。

増してや、どこかの歌姫のように不死身のパワーなんか、あるわけがない。

それでも…!」

 

そう、それでも。

二人の『ラリスキャニア』は、血を吐くように、叫び続ける。

 

「それでも、この思いは!

アイドルと子豚ちゃんたちへの想いだけは本物だから!

これを取ったらボクには、ボクらには何も残らないから!」

「どうか、ボクらと一緒にアイドルを楽しみましょう!

だってそっちの方が…!」

 

「「絶対に、楽しいから…!」」

 

だが、当然のように青糸の魔女はそれを冷酷に嘲(あざけ)り笑う。

彼女は、必死の呼びかけに構わず、その操(く)り糸を引き絞り、哀れな捕囚に痛ましい呻(うめ)き声を上げさせ、なおも大いに語る

 

「馬鹿め!肉体は、本能と心によって操られる!

更にそれを、周囲との関係性が掌握(しょうあく)する!

それら全てを上位存在たるこの私(ラクルラール)が支配しているのだから、こいつにも貴様にも『自由』などあるわけがないだろう!

所詮、こいつは暴走し操作されるだけの愚物(フィギュア)に過ぎん!」

 

その力は圧倒的であり、抵抗など不可能に見えた。

けれど…

 

「いいえ、それは違いますよ、先生!」

 

やはりそれでもそう断言すると、元生徒は、地下アイドルは、“興行主”は、そして、ラリスキャニアは…

 

その目の前、何も無いかのように見える“宙”を握った。

まるでそこに、大切な何かがあるかのように。

 

とたんに、極彩色の光がそこから零(こぼ)れ出す。

手のひらから、虹が溢(あふ)れる。

 

「『現実』の『杖』(アイテム)と同期したか!

何だ?闇神(マロゾロンド)あたりの護符(アミュレット)か?失敗作だらけの朱の色号の呪符(シール)か?それとも、超越者との同調を高める呪符装(タリスマン)の類(たぐい)か?」

 

 

溢(あふ)れ広がっていくのは、そのどれでも無かった。

それは、ただの記録との連動、そして鎖。

地下アイドルたちが呼び出したのは、関係者を強く縛るだけの、拘束帯。

ごくありふれた関係性の呪力。

 

だが、そこには光が、輝く思い出が確かにあった。

『ラリスキャニア』“たち”は、輝く手のひらからそのぬくもりを感じる。

 

そして彼女は、それを自分以外に伝えるため、その手を大きく広げた。

それは、他者を迎え入れる抱擁(ハグ)の構え(ポーズ)

途端に、青い光が飛び散った。

その青こそは、ずっと残り続けていた、『ラリスキャニア』自身の中の悪しき教育がつけた心の傷(トラウマ)、その残滓(ざんし)

 

その飛散こそ、"彼女"が、それを乗り越えた証(あかし)であった。

 

同時に、地下アイドルの足元から色彩が広がる。

それは、世界の書き換え。

たった今、これまでとは全く異なる“世界観”が、地下アイドルを中心として広がり出しているのだ…!

 

その現象に、ラクルラールは驚愕(きょうがく)した。

 

何故(なぜ)ならそれは、彼女の予想を軽く上回った情景だったから。

 

「馬鹿な有り得ん!新しい『浄界』だと!?

『浄界』は、基本一人に一つ!

そもそも、それは極めて難易度が高い『邪視』の奥義!

たとえ多重人格であったとしても、複数の展開はあり得ない!

一体、どこの超越者が干渉してきている!?」

 

 

 

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