幻想再帰のアリュージョニスト二次創作「コルセスカさん変形する」【togetterでも投稿中】   作:鳳卵

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第171話 彼女たちは、誘うのだ。(その2の34~35の途中まで)

「最終的にアイドルの振る舞いを決定するのは、常にそのアイドル自身!

演技指導の存在は認めても、最終的な演技は演者自身が行い、そしてその価値を決定するのです!たとえそれがーー」

「――誰にも認められることがないとしても!」

 

『ラリスキャニア』"たち"は、伝説の恐るべき『杖』兵器、機関銃のように交互に喋(しゃべ)り続けた。

 

もちろん、この間も女教師からの攻撃は、常に降り注いでいる。

青い雨が、再支配を目論(もくろ)んであらゆる方角から忍び寄り、音よりも速く突き進む。

 

けれど、それらは決して地下アイドルに刺さることはない。

なぜか。

 

その理由は、極めて単純(シンプル)だった。

"二人"は、お互いを庇(かば)い合っていたのだ。

この演目の"興行主たち"は、それぞれが交互に『本体』と『影』の役割を交換し合い、そしてその度(たび)に互いに前に出て、お互いの盾となりながら『呪文』戦(くちげんか)を継続させている。

それは、古い古い原初の呪術。

『身代わり』を基礎とする愛の護りだった。

 

「確かに、押し付けられた規範(コード)に押しつぶされるアイドルもいるでしょう。

芸能界の厳しさ、世間やファンの心変わりや毀誉褒貶(きよほうへん)に揉(も)まれるうちに、自分を見失ってしまうこともきっとーーいいえ、絶対にあることでしょう」

「けれど、それは敗北を意味しない。

それがアイドルの、最終的な屈服であるわけがない!」

 

「理想に追いつけず、現実に足を引っ張られ、あげく幻想に押し殺される

…けれどそれでも、そんな雁字搦(がんじがら)めで板挟(いたばさ)みの立ち位置(スタンス)だからこそ、出来ることもあるのです!」

 

「ハハハ、そんなものがあるものか」

「「いいえ、あります!」」

 

そして、動じない女教師に対し、“二人”は、声を揃えて叫んだ。

彼女“たち”が信じる希望を。

 

「「ボクたちの飛翔が、ここに!」」

「飛翔、だと?」

 

心底、不思議そうに問い返す女教師に対し、元生徒たちは自信たっぷりに回答する。

 

「ええ、圧力をかける大気があるからこそ、空気の抵抗の存在こそが基盤(スタンス)となり、翼を羽ばたかせるための“力”となるように!」

「アイドルを、ヒトを真に活かすのは、完全支配のような"理想"(し)を徹底させる『生』の権力ではありません!」

「そしてまた、現実を諦観し、閉じた閉鎖的な関係(おうこく)とそれ以外の破滅の看過に閉じこもるという、別の停滞(し)でもないのです!」

「アイドルは常に!」

「理想(せい)と現実(し)の狭間にある!」

 

「「それこそが、人間(ロマンカインド)、その闇の中にある光(かがやき)こそが、アイドルそのものなのです!」」

 

「ふん、強がりはよせ。

所詮(しょせん)貴様は道化(ピエロ)に過ぎん。

どんなに喋りまくり、威張り腐ったとしても、それはどこかの誰かの代弁、世界に渦巻く諸力や超越者たちの勢力争いの代理闘争に過ぎんのだ!

全ては虚夢の無限地平に消えるか、止揚の果てにどこかの『理想郷』の血統書(ぶひん)として消費されるのみ!

貴様ら偶像(アイドル)の輝きなど、一時の夢幻(ゆめまぼろし)でしかない!」

 

「たとえそうだとしても!」

「ボク"たち"はやります!

やってみせます!

今まで全てのアイドルが、そうしてきたように!」

「ボクたちが道化(クラウン)だと言うのなら、それは、古い女王(クイーン)を否定するため!

貴女のような"死の王権"と、その支配を否定するためにある役割(キャスト)です!!"

そう、ボク"たち"こそがいわば九つの全てにしてそれを束(たば)ねる王権、すなわちーー」

 

「「アイドル王権"です!」」

 

「そんなものはない!」

「「いいえあります!」」

 

そして地下アイドルたちは、『呪文』(ことば)のぶつけ合いをいったん切り上げ、まず目の前の相手に――対立者に問いかけた。

それは、全周囲の女教師から押し寄せる青い糸の“波”――教導呪力の圧力に抗(あらが)うためでもあった。

 

「先生、貴女には"楽しいもの"がありますか?

好きなこと、やりたいことがあるのですか?」

 

「アイドルでなくても良い。

連載漫画の続きを読むことでも良い。

心を躍らせ、生命を繋げてくれる。

そういったものはないのですか?

支配と一元的な価値の支配とは真逆の、『自由』を呼びかけてくれる何かが、貴女にはないのですか?」

 

「漫画だとーーくだらん。

そんな非効率で無意味な雑情報(ノイズ)に、私がかかずらわっているとでも思うのか?」

 

「ええ、思いません。

貴女が理想とする“完璧な支配”の下(もと)では――」

「――きっと面白い漫画なんて、決して描くことが出来ないでしょうから」

 

そして“二人”は、その問答を通じて力をため、タイミングを合わせ、

 

「「もちろん、アイドルも!」」

 

強く、押し返す。

 

「くっ、どこにこんな力が!」

「力なんて、いくらでもありますよ。

ファンの応援がある限り!」

「アイドルには、無限の力があるのですから!」

 

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