幻想再帰のアリュージョニスト二次創作「コルセスカさん変形する」【togetterでも投稿中】   作:鳳卵

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174話 ゆえにそれこそ、踏切飛翔する行為こそが(その2の36~37の途中まで)

それは、送受信の繰り返し。

絆の反映たる螺旋(スパイラル)

互いの呪力(ちから)を高め合う、肯定的(ポジティブ)なやり取り(ストローク)であった!

 

しかも、そこは笑みに満ちていた。

ラクルラールが、白衣の下に着ていたTシャツの気持ち悪い柄とは全く違う、本物の笑顔が辺りに広がっている。

影の分身の『ラリスキャニア』でさえ、なぜかその表情が良く分かるほどだ。

 

笑顔。

笑顔が満ちている。

本物の、心からの笑顔が。

 

“二人”は、その笑みを以(も)て叫ぶ

 

「真の舞台は、良い笑顔と共にあるものなのですよ!」

「みんなの輝きが、応援の呪力(クオリア)が、一つに集約し、究極の幻想をここに結実させるのです…!」

 

その叫びに応(こた)え、『ラリスキャニア』の全身が光り輝き、その影も、一段と黒さを増した。

 

「「コーデよ、ボクたちに力を!」」

「なんだ、この光は…!?」

 

「「ダブル・アイドル・ドロー!」」

 

そして『ラリスキャニア』“たち”は、手近な配信窓から何か平たいものを――アイドルアイテムが封じられたカードを受け取った。

 

鏡写しの地下アイドルは、それぞれ逆側の手でカードを構え、発動させる。

ここへ来て“二人”が行ったのは、突然のお色直し(コーデチェンジ)だった。

それは、アイドルとしてはごくありきたり(ゼオータイル)な振る舞いに過ぎない。

 

だが、それでも女教師は驚愕していた。

 

なぜなら、全てを知るはずの彼女にとっても、それは予想外の変化だったからだ。

 

『ラリスキャニア』“たち”の姿が変わっていく。

その服装(ドレス)が、装飾品(アクセ)が、更には化粧(メイク)までもが、新しい様式(スタイル)へと変調(モジュレーション)されていくのだ。

それも同時に、全く異なる様相に。

 

まず、目に映るのは、『実体』の『ラリスキャニア』だ。

 

「陸界変調!(テラリウム・チェンジ)」

 

闇は全てを飲み込み、黒は万色を溶け込ませる!

すなわち、描かれるのは極彩色に縁取られた密林の陰。

南国の強い日差しは、同時に急激な明暗の落差を作り出し、生き生きとした色彩と暗黒の同居を実現させた。

それは、陰の存在によってこそ輝く、密林の蔓(つる)のドレス。

大樹に絡(から)みつき、隙を見て天へと駆け上がる。

常に獲物を窺(うかが)い、頂点を目指す生存闘争(ストラグル・フォー・イグジスタンス)の参加者(プレイヤー)

 

これぞ、その“陸触手”の美しさを再演する武装の完成である。

 

続いては『影』の『ラリスキャニア』の手番(ターン)

 

「海界変調!(アクアリウム・チェンジ)」

 

光差す大海原。

無限に広がる海洋には、しかしその光が決して届かぬ深淵(しんえん)があった。

大いなる水域を満たすは、多様なる生物たち。

それらを育(はぐく)む深みこそ、表層の生(せい)に対応する死の空間である。

 

そこに棲息(せいそく)するのは、光の領域のものたちとは、似ても似つかない奇怪に映る生物群。

変化し、周囲に溶け込み、身体を千切(ちぎ)って逃走する。

それは、騎士道や王道とは無縁なる、忍の如(ごと)き影の生存法(サバイバル)

 

ここにおける『触手』とは、決して最強存在の象徴(シンボル)ではない。

だが、何人(なんびと)もそれを侮(あなど)ることなかれ。

王者は暗殺者に、騎士は農民兵や魔女に殺されるもの。

弱者や小悪党と甘く見たら最後、その油断はたちどころにその命を奪うことだろう。

 

唯一無二(オンリーワン)とは、心折れた敗者の慰(なぐさ)めではなく、生態系の隙間(ニッチ)に適応した次期優勝候補(ナンバーワン)の呼称なのだ。

 

海の百合。

波間の影に見まごう見つけにくさ、

しかし、それは決して無力や弱さの現れではなく、環境への適応がもたらした“最適解”であった。

その形状は、まるで骨の一片すら持たない無脊椎動物(イソギンチャク)

 

いかにも頼りなさげではある。

だがそれは同時に、慈愛と共生、更には一種の『福祉』の象徴。

小魚(クマノミ)を養(やしな)う度量すら宿しているのだ。

 

そう、それこそが海の『触手』!

 

それすなわち、無彩色の海陰。

海洋生物を主題とする悪役(ヒール)の闘衣。

それは嫌われ者で憎まれ者、闇の中から静かに這(は)い寄り出てくる。

これぞ、“海触手”の豊かさ、その顕現(けんげん)であった。

 

そしてこれによって、触手の二つの解釈(ファセット)が同時に完成した。

 

植物の蔓(ツル)としての森の延長の面と、海棲(かいせい)の軟体動物としての面が、それぞれの衣装(ドレス)によって表現され、代演されている。

対にして双なるコーデの共演は、異なる魅力を共存、いや『共生』させ、舞台(ステージ)を華やかに彩(いろど)っているのだ。

 

更に、確かに切断されたはずの右腕まで、各々(おのおの)のドレス部品によって補われていた。

これぞ、機械女王の会社(ドーラヴィーラ)と『ラリスキャニア』のスポンサーのブランドが提携して取り入れた成果。

ライセンス契約がもたらした、ドレス義手である。

 

 

 

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