幻想再帰のアリュージョニスト二次創作「コルセスカさん変形する」【togetterでも投稿中】 作:鳳卵
猛烈な勢いで放たれる、ラクルラールの呪詛(ことば)。
しかし、地下アイドル“たち”は、そこに“機”を見出して、反撃に打って出た。
「ヒトは確かに、傷つきます」
「けれど、決してそれだけで終わりはしません!」
交互に語り、呪文(ことば)を重ねていく。
「ボクらはどこまでも夢を見続けることが出来る
過去と未来を常時参照するのが現在!
過去を痛み、明日を目指し、想う
その狭間の時でボク“ら”は旅立つ!
奈落から飛翔し、傷ついてもまた立ち上がり新天地を目指すことが出来るのです!」
「先生、どうして未来の希望をお語りになられないのですか!
今の貴女は、ただ過酷な『現実』と言う呪縛(のろい)で、生徒を怖がらせているだけではないですか!」
その反抗は、少しずつ強大な女教師の圧力を押し除け、呪力の波となって周囲の夢空間を改変していった。
その勢いは、止まらない。
「失敗も成功も!
善も悪も!
光も影も!
みんなみんな、積み重ねて生まれ変わって、先へと進んで行くのです!
彫刻のように、厚塗りのように、そして、転生のように!」
またラクルラールが言い返すが、
「故郷を持たぬ孤児風情(みなしごふぜい)が何を言う!
貴様らは、無知で愚かな迷える子羊、世間の荒波にすぐに砕けてしまう硝子細工(ガラスざいく)に過ぎん!
すり潰されたくなければ、私のように真に強大な超越者の庇護と導きを受ける」
それに対し、すぐに反撃に討って出る。
「そんなことは問題になりません!」
「だって、ボク“ら”自身が、
希望だからです!
アイドルとファンの応援の環流こそが、
螺旋が前進と飛翔へ繋がっていく!」
「偶像(アイドル)は、癒しと安らぎ、楽しさと希望の目印です。
誰もがアイドルを愛することで幻想(ユメ)を描き、その心の故郷(ホーム)へと帰って(還って)いきます!
ボク“ら”こそが、安心と愛の引喩(アリュージョン)のための指標(アイコン)となるのです!
そう、偶像(アイドル)は、信仰の、心の拠(よ)り所(どころ)と成るためにある!」
「競争を廃止したり抑制するためではなく、逆にその停滞を防ぎ、持続的な継続を可能にするためにこそ、罪の『赦し』や『悪性』の受容が必要なんです!
だって最初から階層や『地位』が定まっているのなら、競い合う必要なんてないじゃないですか!
個性や努力を引き出すには、その土台として安定や福祉だって必要なんですよ!
『教育』だって、そのためにあるんじゃないんですか?
先生の“善導”は、そうした期待に応えるために創られてきたのではありませんか?
貴女がこの第五階層(ち)に降り立ったのは、何のためですか?
子供(せいと)を苦しめ手放さないだけなら、それはただの虐待家庭(どくおや)ではありませんか!」
「「先生、貴女の“善導”も“庇護”もこの第五階層は必要としません!」」
「くっ、言わせておけば!」
ラクルラール自身の理屈、その依って立つ原理に基づいた批判は、わずかだがその存在に揺らぎを与えた。
そこへ、追撃が重ねられる。
「そして帰還は、再帰となる!
故郷(ホーム)は常に新しく、美しく輝く“カワイイ空間(ヘブン)!”
“ボクたち”『ラリスキャニア』の舞台(ステージ)は、常にファンのための最高と最適を模索(もさく)していく。
そう、そしてそれはアイドルだって同じなのですよ!」
「そんな都合良くいくものか!お前を待っているのは迫害と排除だけ!
どんな世界も共同体も、異質な存在の排除から成り立っている!
異物はただ、排除されるだけだ!」
「そんなことは!」
「ありません!」
「この世界槍がティリビナの世界になるなら、ティリビナ世界での異色アイドルになり、槍神教の世界になるなら槍神教での異色アイドルになる!
たとえどんな世界に変わったとしても、その世界での普通(スタンダード)を踏まえて特色を出していけば、きっとウケるはずです!
だから、学校から卒業しても、邪悪な家族から旅立っても、みんなきっとやっていけます!
今まさに、多くのアイドルがそうしているように!」
『陸』の『ラリスキャニア』は、実体を確かめられる理屈で反撃する。
その足取りは重く、決して揺(ゆ)るがない。
「そもそもアイドルは仮の存在でも良いのですよ!
役者志望、歌手志望、モデル志望とにかく目立ちたい玉の輿に乗りたい青春を過ごしたい!
どんな目的でアイドルをやっても良いし、アイドルの後に何をやっても良い!
『卒業』した後、芸人やキャスターになろうが旅館を経営しようが専業主婦(夫)になるが裏社会に入ろうがそれは自由です!
そしてもちろん、今度はアイドルをプロデュースする側に回ったって良い!
ちょうど『シナモリアキラ』がそうであるように、腰掛けでも踏み台でもなんでもアリなのですよ!」
「ボクらは、もともと異色だから、どこでも溶け込めるのです!
どんなところでもやっていけます!
だって、異質や新しい魅力を必要としない世界なんて、あるはずがないのですから!」