幻想再帰のアリュージョニスト二次創作「コルセスカさん変形する」【togetterでも投稿中】   作:鳳卵

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179話 天への飛翔①(その2の40~41の途中まで)

「時代は変わる、どんなものどんな理想郷も、変わってきたしこれからも変わり続けるでしょう!

だから、アイドルも変化と進化を止めなければ、その変化した新しい理想の世界に受け入れられることだって、きっと出来ます!

進化を忘れないアイドルなら、どんな未来だってやっていけるはずです!」

 

「第五階層の破滅はどうする!

それがお前の恐怖だったはず!」

 

その叫びと共に、ラクルラールは眼下を指差した。

遥(はる)か下、夢世界の学園跡地では、今も『ラリスキャニア』 の悪夢が蠢(うごめ)いている。

それが表(あらわ)すのは、戦争によって焼けだされ苦しみの中で滅びていく未来(かのうせい)に対する恐怖。

それはまさに、ラクルラールが指摘した“すり潰される”ことの象徴のような情景であった。

 

だが、その恐怖そのものでしかないイメージを前にしても、“二人”は決して退(ひ)かない。

立ち止まることもない。

 

「政治のことは分からないしやる気もないので、政治専門のヒトに委託(アウトソーシング)します!

アイドルカツドウから離れてまでやってるんですから、きっとそれぐらいの自信と実力ぐらいはあるのでしょう!

本当にダメだったら流石に逃げますが、まあそれまでは、せいぜい期待しないでお任せしますよ!」

 

「ボク"たち"はボク"たち"に出来ることを!

アイドルにしか出来ないことをするのです!」

「それが、ボク"たち"の"平和政策"!

未来を受け止める生存戦略です!」

 

恐怖を感じないわけではい。

今も、震えがある。

 

だが、手を握ることが出来る。

ファンもいる、同僚もいる

何より、ずっと影(パートナー)が居てくれる。

誰よりも馴染みで、何より親しい“友達”が。

お互い手を握り合えば、震えを抑えていける。

たとえそれが、幻想でしかないとしても。

 

それに――

 

「アイドル愛があれば、きっと分かり合えます!」

 

「アイドルは承認欲求に飢えています。

常に飢餓状態(ハングリー)

けれどだから、だからこそ!

救い手(セイヴァー)たる資格がある!」

 

「だって救われたい観客(みんな)だって、それと全く同じなんだから!

なにしろ、この世界には、絶対的に不足しています!

承認と養護(ケア)が!」

 

“彼女たち”には、支えがある。

たくさんの、支えが。

 

そこへ、再度の指摘、いやもはや『糾弾』と言って良いほどの叫びがぶつけられる。

 

「さっき言ったことをもう忘れたか!

『承認』も『価値』も結局は数量だ!

多様性や“個性の尊さ”など所詮は弱者の戯言に過ぎん!」

 

「それは違います!

お金は第二の価値基準、次善に必要な“必要チケット”であって、人の望みを充分に満たす“充分チケット”ではありません!

多少補完は出来るにしても、真の取り引きには使えないのです!」

 

「充分チケット?真の取り引き?

お前は一体何を言っているんだ?」

 

師の批判(ツッコミ)に、その元弟子は自信を持って応えた。

 

「愛です!

推しへの愛こそが、アイドルファンとしてそしてアイドルとして最低限の、そして最も必要な通貨(チケット)なのです!」

 

少なくとも、理想としてはそうでなければならない。

 

「アイドルの価値は、そしてアイドルファンみんなの価値だって、そんな単純な数量(スカラー)なんかに還元出来るわけがありません!

貴女は、砂漠で札束を積み上げれば、水より『価値』があるとおっしゃるのですか!

一つの古代の粘土版があれば、たくさんの漫画は必要がないと、本当にそうお考えですか!」

 

「それに、アイドル一人ひとりの需要(ニーズ)は異なるもの!

共通点こそあれど、交換可能性など誰にもありません!

みんながみんな、唯一無二(オンリーワン)なのです!」

 

“二人”は、共にありったけの熱量を込めて反論に努(つと)める。

 

「アイドルにとっては、ファンのみんなが義触手(てあし)も同然!

みんながボクの、そしてボクがみんなの『三本足』です!」

「アイドル(ボクら)は、認められ、価値を得るためにファン(みんな)を必要とし、そしてファン(みんな)もアイドル(ボクら)を必要とする!」

 

「アイドルと承認欲求、それがボク“たち”なりの!」

 

そこで、また“二人”は、声を合わせる。

 

「「『絶対言語』です!」」

 

「だから、政治のことは、人一倍承認欲求がありそうな女王様にお任せしまちゃいます!」

 

「なんかすごいロボらしいので、きっと大丈夫ですよ。

ロボなので!」

 

そこで地下アイドル“たち”は自分たちの政治的無力さと無知を口実(イイワケ)にして、【避呪】系の呪文を放った。

『杖』が苦手なものの一部が持つ“精密機械に対する盲信的な信仰”を利用し、言説の強化を図(はか)るという寸法である。

それは、トリシューラ個人への信頼は特に持たないと言う表明であり…同時に、これ以上無いほどの支持の表明であった。

政治に対する無関心=全面依存を明言すると言うスタンスである。

 

まあ、これはこれで一つの責任の取り方であることも、また事実ではあった。

言ってみれば、これは証券会社や投資家に資産運用を委任するようなもの、機械女王への一点賭けなのだから。

 

もちろん、それは政治への参加や干渉を当然とするような者たちから見れば、眉を顰(ひそ)めるような怠惰さではあったが…これはこれで政治に対する姿勢(スタンス)ではある。

しかも、今回のその意見表明の対象は、よりによって“あの”第五階層。

『上』の傀儡国家との呼び声も高いこの地において、果たして真面目な政治参加がどれだけの意味を持つのかは…意見が、大(おお)いに分かれるところであろう。

 

だが、それでもそれはれっきとした政治表明であり、“彼女たち”自身が定めた立ち位置(ポジション)であった。

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