幻想再帰のアリュージョニスト二次創作「コルセスカさん変形する」【togetterでも投稿中】   作:鳳卵

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182話 天への飛翔④(その2の42~43の途中まで)

 

 

飛翔しながら、『ラリスキャニア』は、夢を語る。

それは、彼女“たち”なりの『言理飛翔』

地下アイドルは、異界から伝わったアイドル伝承を語り、その偉大なる上昇(せいこう)を己になぞらえることで、高度を上げていた。

 

それは、曖昧(あいまい)な伝聞に基づく神話。

本来なら、とても呪文に使えないものだったが、しかしそれは同時にメリットでもあった。

なぜなら、伝達の過程で失われた正確さは、想像力と誤解によって補われ、更に『猫の国』(シナモリアキラしゅっしんち)の補正がかかって、その幻想としての強度を上げていたのだから。

 

そのアイドルたちは、天地を切り開き、無人の野山を開拓すると聞く。

彼らは、開拓と開発を繰り返し、ついに飛行する大都市を作り上げた…と言われる。

なお、そのアイドルグループの名前をつけられた都市は日本という国の首都となった…という。

もちろん、それはただの伝承。

真偽も定か(さだ)では無い噂話(エーラマーンのささやき)に過ぎない。

 

『猫の国』(いかい)では、アイドルはプロレスに乱入し、地図も無く極寒の辺境を彷徨(さまよ)い、光の巨人に変身することもあると言うような…そんな話は、所詮(しょせん)伝言ゲームで肥大化した幻影に過ぎないかもしれないのだ。

本当に開拓や大工作業(DIY)を得意とするアイドルが実在したのか、それすらも分からない。

だって、『ラリスキャニア』は、所詮(しょせん)この第五階層の片隅の住人でしかない。

世界(ぜオーティア)のしがない一般人に過ぎない。

 

けれど今日ここには、

 

「「その肯定と否定を語るアイドルが共にいる!

今はそれで十分です!」」

 

どれだけ儚(はかな)く脆(もろ)くとも、それは『アイドル』の威光(イメージ)には違いない。

ならば、『ラリスキャニア』がすがる理由(あしば)としては、充分過ぎる。

だから、夢は語られ、幻想(あこがれ)は再演される。

飛翔する二羽の演者たちは、その偉大なる先人(アイドル)力を敬意を持ってお借りする。

舞踏(ダンス)と衣装(ドレス)の呪力(ちから)受け、大都会が、空を飛ぶ。

天へ向かい、星を目指して飛翔していく。

 

そうして、“二人”の『ラリスキャニア』は、激しく競り合いながら上昇を再開した。

その身を包む暴風は、双方の苛烈な呪術の応酬。

虹犬(ヴァルレメス)種が得意とする攻撃呪術【線の嵐】の撃ち合い。

相殺しきれないぶんで傷つきながらも…今、一匹の虫のように小さな偶像(アイドル)が、巨人の頭を超えていく!

彼女は真っ直ぐに、上昇を続けていく!

それは高みを、全てに君臨する大いなる太陽(ほし)への挑戦だった…!

女教師のあらゆる妨害を受けながら、その姿勢は変わらない。

そして目指す針路に、もはや進路相談はいらなかった。

 

だが、あのラクルラールがそれを易々と見過ごすわけがない。

まず始めに、“軽いジャブ”が来た。

 

「見せてみろ、お前の付け焼き刃がどこまで持つか!」

「な、なんだあれ!」

 

衝撃的な情景を目撃した地下アイドルは、思わず"素"に戻ってしまう。

『ラリスキャニア』は、シナモリアキラ対策として一応ゼオーティアの一般的な兵器体系について一通り学んでいる。

だが、それはそのどれでも無い兵器だった。

強いていえば、『塗壁』……切り抜き動画で観た魔将ベフォニスの関係者に似ているかもしれない。

六王パーンにも似た(というかそのオリジナルにあたる)巨大な幻肢の右腕。

対シナモリアキラ用に、一応覚えていた『ラリスキャニア』の知識の中で、一番近いものがそれだった。

一言で言うとラクルラールの右腕が、やたらと大きくなっている。

その有り様は、まるで鉄の山にいたずらで貼り付けられた小さな人形のようだ。

見ているだけで、遠近感が狂うほどの異常なスケール感。

 

そして、

 

「まずは『小手調べ』だ。

我が"小手"を受けてみろ!」

 

なんとラクルラールのその巨大な鉄腕が、後方から火炎を放ちながら飛んで来た!

 

「な、なんだコレ!」

「なんでこんな頭悪そうな戦法を急に!?」

 

しかもこの巨大アーム、当然のようにこちらを追尾してくる。

その速度こそは遅いものの、そのせいでかえって避(よ)けにくい。

大き過ぎて動く障害物になっていることもあり、これは見た目に反して、かなり厄介な攻撃であった。

 

また、当然ながらこれはあくまで身体の一部。

故(ゆえ)に、紀竜の銃規制が適用されるわけもない。

それはたとえ、内部に爆薬や呪符が満載されていたとしても変わらない事実であったのだ。

 

こんな攻撃は、完全に予想外だった。

こんな状況になんなく対応出来るヤツがいるとしたら、よほどの達人か武装マニアか天才に違いない。

少なくとも、一介の地下アイドルには不可能である。

そしてすぐに、視界いっぱいに巨大な鉄腕が広がった。

 

加えて、その背後にいるであろう女教師の叫(さけ)びが聞こえる。

 

「暴力!圧倒的暴力こそが、全てを変える!」

 

それはまさに、彼女の信念の発露だった。

追い詰められる『ラリスキャニア』 たち。

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