幻想再帰のアリュージョニスト二次創作「コルセスカさん変形する」【togetterでも投稿中】   作:鳳卵

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184話 天への飛翔⑥(その2の44の途中まで)

そしてダメージから立ち直る間もなく、文字通り間髪を入れず次なる相対が始まる。

 

対峙する両者の瞳が、十字に輝いた。

相互の未来予測が、高度なフェイントの掛け合いと苛烈な応酬を実現しているのだ。

地下アイドル側でそうしたやり合いを支えているのは、主にSNA333のサイバーカラテ道場システム。

だが、最終的にその戦術を決定しているのは、そのリーダーである。

多少の小国をも上回るとされた軍事力を率いていたその実績は、ここでも十全に発揮されているのだ。

 

ちなみに、ご覧のようにそんな戦術は一般地下アイドルである『ラリスキャニア』では全くついていけない領域であった。

 

しかし、何度も言うが相手はそんなことはおかまいなし。

そうこうしているうちに、何やら不可視の強大な気配がこちらへ放たれる!

 

「な、なんだアレ!

いや…どこかで?」

 

もちろん、戸惑(とまど)う彼女にはこちらも全く対応出来ない。

 

けれど、問題ない。

 

〈止まりなさい!〉

 

「な、なんか目から出たー!」

 

気づけば、凄まじい速さで装具(アクセ)が変形していた。

衣装に合わせて多少形が変わっていた勾玉が、更に大きく展開。

片眼鏡(モノクル)となってそれぞれの右目に装着されたのだ。

それは、義眼の原理を応用した、『邪視』の媒介。

簡易的な『氷鏡』であった。

そして、迎撃は、そこから放たれる。

 

唐突に、片眼鏡(モノクル)から巨大な竜の爪を思わせる幻影が出現。

一瞬だが、相手をひるませた。

竜爪眼の先打ちで、ラクルラールに一撃食らわせることに成功したのだ。

予想外に効果を発揮した会心の一撃。

 

しかし、助力者はそれに慢心せず、冷静に状況分析を行った。

 

〈どうやら、相手の右目の武装になにかトラブルでもあったみたい。

アルト関連となると、冷凍ビーム砲?

機能的トラブルなのか、それとも何かしらの精神的不調(トラウマ)か。

…なんとなく、相手の苦手意識が見えてきた気がするわね〉

 

「に、苦手というか…とりあえず、なんでまだボク"たち"がこの激戦で死んでないのか不思議なんですが…」

 

〈黙りなさい。

ほら、すぐ次が来るわよ!〉

「わわわわわー!」

「ひいい、なんかまたヤバいー!」

 

慌(あわ)てふためく『ラリスキャニア』 たちは、それでもなんとか仮想使い魔の群れや三頭犬の仮想きぐるみ、演出のオルガンローデもどきなどで、女教師の追撃を耐え忍ぶ。

 

ここで、それらをサポートした同僚の地下アイドル代表から、心強い一言。

 

〈誤謬(バグ)が多すぎて修正(デバッグ)に苦労したわ。

次からは、もっと呪術の再演にも気を配って欲しいわね〉

 

それに対し、パーティーグッズ用のオルガンローデおもちゃ巻物(スクロール)を投擲(はいき)しながら、演者(メインキャスト)から、それぞれ返答の一言。

 

「か、仮想使い魔なんて作るの初めてで…」

「ボク“たち”、呪術なんて、『学園』でしか習った記憶しかないのですが…それも、アイドル用なのか一般兵士用なのかよく分からない一式(レシピ)だけで…」

 

だが、弁護や抗議の声は届かない。

なぜなら…

〈ほら次!

分身ラクルラールの大群から九秒後、上五時の方向からブレイスヴァ拳!

対応しないと死ぬわよ!〉

 

「「ひぃぃぃー!」」

 

状況はこの通り、まだまだ予断を許さないからだ。

 

 

 

 

 

 

どれだけ時間が経ったのか、“戦況”は膠着(こうちゃく)状況にあった。

 

『ラリスキャニア』“たち”は、どちらも疲労困憊(ひろうこんぱい)

冷や汗が流れすぎて、せっかくの"六王仕様コスメ"が落ちてしまいそうだ。

 

だが、それでも…

 

「今の第五階層には、それを照らし出せる星(きぼう)が足りない!

その役割を果たせるのは、私と私の学園のアイドルだけだ!」

 

その言葉は、聞き逃せなかった。

『ラリスキャニア』“たち”は、最後の気力を振り絞り、元学園長に対する抗弁に、打って出る。

 

「星なら、もうあります!」

 

「それは、この学園の残した昼(やみ)を照らし出すサイリウムの輝き(かげ)!

そして、その承認を受ける全てのアイドルたちです!」

 

「「ボクが、ボクたちがアイドルという銀河そのものなのです!」」

 

その宣言と共に、“二人”とその周囲の配信窓が力強く瞬(またたき)き、多様に異なる万色の輝きを以(も)って応援の意志を示した。

それこそが、一見して明らかな、彼女"たち"の信念の実証であったのだ。

 

しかし、やはりそれぐらいでは、まだまだ女教師は怯(ひる)まない。

"陰"の力を借りるラリスキャニアに対抗するように、ラクルラールも、九つの闇を背負ってここに立ちはだかる。

 

 

 

 

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