幻想再帰のアリュージョニスト二次創作「コルセスカさん変形する」【togetterでも投稿中】   作:鳳卵

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190話 天への飛翔⑫(その2の48~49の途中まで)

とは言え、今回出てきた解析結果は、驚くべきものであった。

なぜなら…

 

「つまり先生は、常に先回り出来る…“ボクら”が予知できる範囲より、更に先の時空から干渉して来ているって言うのか!?」

 

それは、対手が圧倒的なまでに優位であることを、意味していたのだから。

遠未来からの干渉、結果を支配する能力。

たとえどれだけ勝利を実現したとしても、その時点の過去に干渉してその結末を書き換えられれば、それは無かったことになってしまう。

こちらがどれだけ最善の選択肢を選んでも、相手は常にそれに対策を取ることが可能であり、最善を更に上回った最高最悪を叩きつけて来れるのだ。

言わば、究極の対抗(メタ)戦術、後手が先手になる呪術的・後出しジャンケンである。

 

けれどその分析を聞いた『陰』の地下アイドルは、そこに違和感を見つけた。

 

「でもそれはおかしい!

先生は!確かにシナモリアキラと機械女王に負けているんだ!

そんな干渉が万能なら、そもそも現時点で敗北しているはずがないじゃないか!」

 

「確かに、言われてみればそうだ。

そんな力があるなら、この世界(ぜオーティア)の歴史の始まりから完璧な支配者として君臨し続けられているはずだね。

そうじゃないということは…!」

 

そこで、“ 二人”の声が揃(そろ)う。

 

「「先生の支配力には限界がある!」」

 

ならば、出すべき結論はただ一つ。

 

「無限の試行や、約束された未来からの保証なんていらない!」

「先生の支配(やりかた)に逆らわなきゃいけないなんて、絶好調(ナイスタイミング)過ぎる!

ぜひやらせて欲しい!」

 

「だって、そこには何も無い」

「何も無いならーー」

「「つまり、そこでどんな演技をしたって良いってことだよね!」」

 

そう、過去の失敗を上回ったり、時空の空白を埋めるような行為は何も、ラクルラールの専売特許ではない。

どんなアイドルでも、いいや一度でも表現をしたことのある表現者(パフォーマー)なら、誰だって――

 

「舞台には緊張と恐怖でいっぱい!」

「頭が真っ白になることなんて、当たり前」

 

そこで二人は声を合わせる。

 

「「でも!」」

 

「だったら…アイドルが負けるわけがない!」

「ううん、同じ条件なら「絶対に負けない!」」

 

それは、彼女“たち”の…アイドル『ラリスキャニア』の核となる“信仰”だった。

 

無論、それは非常な困難を伴う挑戦となるだろう。

敵は、歴史に名を残し、絶大な力を誇る不死身の半神。

彼我(ひが)の力量差、格の違いは比べるのもおこがましい。

 

けれどそれでも、彼女たちはそこに立ち、歌い踊るのだ。

なぜなら、彼女たちこそは、この世界槍における"戦力の空白"にある日勝手に作られた第五階層の、その地下アイドル空間のーー

 

「「アイドルだから!」」

 

思考空間に、そんな合意(ハーモニー)が響き渡った。

そこへ、また声がかけられる。

それは、存在しないはずの第三者。

 

特殊なアイドル商業(ビジネス)契約によって、“地下アイドル経済”に関与している、ある小女神の声である。

 

その彼女が気怠(けだる)げに語りて曰く、

 

〈話は決まったようね。

でも、本当に良いの?

今の貴女の身体は…いいえ、その全てはもう…

これはあくまで“公開練習”なのでしょう?

なら、この"勝負"自体を途中下車(ちゅうだん)したって良いでしょうに〉

 

それは外部からの通信。

この空間を成り立たせていた"観測者"からの、言わば"最後通牒(さいごつうちょう)であった。

 

「分かってる。

けど良いんだ。」

 

「ありがとう、見守っていてくれて!」

 

〈私は貴女たちが何を選ぼうと受け入れるわ。

破滅しようと切り抜けようと、どちらでも構わない。

だって私にとって一介の地下アイドルぐらい.どっちでも…良いのだから〉

 

「うん、それは最初から分かってたよ」

「だけど最初からそれを受け入れてたよ。

だって真剣じゃなきゃ、練習にならないもの。

命ぐらい賭(か)けなきゃ…誰にも追いつけない」

 

そして、"二人"は感謝を述べる。

 

「それでも、ありがとう」

「だから、ありがとう」

 

〈…やっぱり、貴女“たち”のことは、よく分からないわ。〉

 

その愚痴を聞き、地下アイドル“たち”は共に微笑(ほほえ)む。

なぜならその愚痴こそが、密かに“二重存在”(ドッペルゲンガー)の実在性を承認していることに、気づいていたからだ。

 

「では、行ってきます!」

「“興行”を再開しなくちゃ!」

 

そして、"二人"の『青い鳥』は、あるいは『吸血鬼』は、どちらでもありどちらでもない少女たちは…多重の夢幻空間の中で全力で飛翔し、舞い降りまた舞い上がった。

 

それはどちらでもあるし、どちらだって構わない。

 

だってアイドルの舞台は夢と現実の狭間。

そこではなんだって、起こり得るのだからーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

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