幻想再帰のアリュージョニスト二次創作「コルセスカさん変形する」【togetterでも投稿中】   作:鳳卵

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205話 九つの異界、一つの戦い/共演⑩その2の60~61の途中まで

時計迷宮の中心は、これまた何故(なぜ)か不思議なお茶会(ティーパーティー)だった。

それは、美しい庭園を模(も)した人造花の茶会。

もちろん、ラクルラールはそこにいる。

この中でただ一つ針が動かない大時計のその下に、真っ白な円卓(テーブル)と椅子(イス)を用意して。

彼女がそこで着用しているのは、血のように真っ赤なドレスだ。

肩の部分が妙にふくらむ古めかしい型、同色で同じくやたらと大きくふくらみ、枕のように角張った形をした帽子。

近寄って見ると、その象徴(モチーフ)が心臓(ハート)であることが良く分かる。

そして、優雅にお茶を飲む女教師のまなざしは、駆け寄る『ラリスキャニア』ではなくテーブルの上にある。

 

それでも、『ラリスキャニア』は、勢いよく優雅にカップを口へと運ぶ女教師に飛び掛かり…

その途端、大音量の鐘の音に迎えられた。

 

「時間ぴったりだ。

ご苦労だったな、死ね」

 

それと同時に地下アイドル“たち”は、全周囲から現れた巨大な時計針の刃によって、無惨(むざん)に斬り倒された。

 

倒れながら、『ラリスキャニア』は、思う。

そういえばあそこの時計、いつの間にか針が動いているような…?

 

 

 

 

走り続ける地下アイドルには、何が起こっているのかすら、まるで分からない。

分かるのは、ただ時を刻む音が鳴り響き、自分を取り囲んでいると言うことだけ。

 

彼女“たち”は、巨大な歯車の足場を飛び移りながら急ぎ続ける。

しかしなんだか、いま走り始めたばかりのような気がしない。

良く思い出せないが、なんだか随分(ずいぶん)と長い時間を走り続けているような?

 

時計の駆動音が無数に響き渡るなか、地下アイドル“たち”は、走り、飛び、登(のぼ)り、あらゆる死の罠を潜(くぐ)り抜けていく。

交差する時計針の刃、不意に飛び出す殺人鳩(ハト)人形、文字盤から現れ互いに銃器や杖やまなざしを向け合う姉妹らしき魔女の人形、突然爆発し捻子(ネジ)や発条(ゼンマイ)を撒(ま)き散らす置き時計、何処(どこ)までも付き纏(まと)う目覚まし時計ドローン、何故(なぜ)か牢獄に入れられている見覚えのあるメイド人形の複製(レプリカ)…

 

ありとあらゆる困難を、『ラリスキャニア』“たち”は、その絆(キズナ)と連携(れんけい)で乗り越えていく。

おんぶ、肩車、組体操、曲芸雑技跳躍鞍馬(きょくげいざつぎちょうやくあんば)槍踊り…

一体何をどこまでやったのか、自分(たち)自身ですら分からぬ数限りない挑戦と攻略。

 

あらゆる仕掛けを乗り越え、ついに辿(たど)り着くは迷宮の主の下。

時計迷宮の中心は、これまた何故(なぜ)か不思議なお茶会(ティーパーティー)だった。

それは、美しい庭園を模(も)した人造花の茶会。

もちろん、ラクルラールはそこにいる。

彼女がここで着用しているのは、血のように真っ赤なドレスだ。

肩の部分が妙にふくらむ古めかしい型、同色で同じくやたらと大きくふくらみ、枕のように角張った形をした帽子。

近寄って見ると、その象徴(モチーフ)が心臓(ハート)であることが良く分かる。

 

もちろん『ラリスキャニア』は、勢いよくそこで優雅にカップを口へと運ぶ女教師に襲い掛かり…

「時間ぴったりだ。

ご苦労だったな、死ね」

 

そしてまた、無惨(むざん)に斬り倒された。

 

 

走り続ける地下アイドルには、何が起こっているのかすら、まるで分からない。

分かるのは、ただ時を刻む音が鳴り響き、自分を取り囲んでいると言うことだけ。

 

 

交差する時計針の刃、不意に飛び出す殺人鳩(ハト)人形、文字盤から現れ互いに銃器や杖やまなざしを向け合う姉妹らしき魔女の人形、突然爆発し捻子(ネジ)や発条(ゼンマイ)を撒(ま)き散らす置き時計、何処(どこ)までも付き纏(まと)う目覚まし時計ドローン、

何故(なぜ)か牢獄に入れられている見覚えのあるメイド人形の複製(レプリカ)…

 

 

『ラリスキャニア』“たち”は、何度も何度も疾走(しっそう)し、有りとあらゆる罠を潜り抜けた後(のち)…同じ回数だけ斬り倒される。

 

そして倒れ伏す地下アイドル“たち”は、その時ようやく床を目撃することになる。

派手な服の敵手に目を取られ、全く見えていなかった迷宮の真相を。

見ればそこには、無数の引っ掻き傷がありよく見ればそれは連(つら)なって文字となっていた。

 

“ニゲロ”

 

“コレハワナダ”

 

“ラクルラール ニ ムカッテハ イケナイ”

 

“クリカエシテイル”

 

“クリカエシテクリカエシテクリカエシテアアアアア”

 

それは全て、死後の伝言(ダイイング・メッセージ)

 

しかし、同じ時を繰り返す『ラリスキャニア』が、それを目撃することは無いだろう。

そうして、危険を知らせる言葉は誰にも届かず、ただ繰り返される時の中、鐘の音(ね)と、共に闇の底へと沈んでいく…

 

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