幻想再帰のアリュージョニスト二次創作「コルセスカさん変形する」【togetterでも投稿中】   作:鳳卵

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219話 あくまでも、"ボクたち"らしく①その2の71~72の途中まで

その答えに、質問者は意気込む。

 

「つまり、あえて"最適"を取らない理由があるわけですね。

だったら、先生に、ラクルラールに逆転するには…!」

そして彼女は、ある提案をした。

果たして、

 

〈…そうね、やはりその計画(プラン)が最適よ。

おそらくそれなら、あのラクルラールに対しても確実に一定の効果を見込めるかもね〉

 

推測は的中。

アイドル空間一の戦略家は、地下アイドルの案を肯定したのだ。

 

「か、勝てるのか!?」

「やったー!」

「この戦い、我々の勝利に…なるのか!?」

 

円卓を、歓声が包み込む。

 

だが、それもまた一瞬で静まり返ることになる。

 

〈けど、待ちなさい。

けど、それをやれば『ラリスキャニア』、貴女自身もただではすまないわよ。

 

あのラクルラールが、自分の弱点を見つけられたと知ってただで済ますはずがない。

今度こそ、本気で潰(つぶ)されるわよ〉

 

沸(わ)き立っていた群衆を鎮(しず)めたのは、冷徹な分析(シミュレート)と、それに負けないくらい厳しいまなざしだった。

けれど、

 

「先刻承知です」

 

質問者が、そしてその背後の円卓の面々は一斉にうなずく。

見返すその視線はどれも真っ直ぐで、その姿勢には一寸の歪(ゆが)みすら存在しなかった。

そこには、迷いのない覚悟が見て取れた。

 

それを見た協力者はため息をつき、不承不承(ふしょうらぶしょう)ながらそれを受け入れることにした。

 

〈良いわ、協力しましょう。

どのみちこの教師(あくむ)にカタをつけるには、こうして夢の世界で闘うことで徹底的に圧勝して、破壊(しょつきょ)するしかない。

今後のことを考えると、この処理ばかりは『適当』に済ませるわけにはいかないしね。

他に労力(コスト)と成果(ゴール)のバランスが取れる案も無いし、仕方がないから貴女に賭けてあげるわ。

……最後まで、ね。

ただ、あと一言だけ忠告しておくわ〉

 

そこで参謀は、こう付け加えた。

 

〈今のラクルラールは、呪いそのものよ。

下手に関わればもう逃(のが)れられず、その意志は全てを破滅へと巻き込んでいくことでしょう。

この分析をどう活かすか…それは、貴方たちに託すわ。

よく考えて使いなさい〉

 

そして更に、その言葉が、また『ラリスキャニア』“たち”に新たな閃きをもたらすことになる。

 

「そうか、もしかしたら…」

 

その発想は、すぐに念写され円卓とその外部に共有された。

“彼女”は、師の正体、いやその本質が少しだけ分かった気がしたのだ。

あえて言うなら、それは恐怖、悪夢、絶望、後悔、執着、悪縁、そして過去(おもいで)

第五階層を、そのヒトの心から心へと伝播してきた情報体。

それをどう理解――解釈するべきか。

 

まずは基本だ。

基本は全てに通じる。

擬似餌触手を変身させるときと同じこと。

相手の情報をまとめ、分析し、対策を立案する。

そのアイディアは、まずはこのような口上から始まった。

 

「『呪力』(ミーム)すなわち、ヒトの心を渡る、伝達・複製可能な情報。

あらゆる呪術存在、知的生命を成り立たせ、文化の継承を可能とする構成因子。

またの呼び名を…模倣子!」

 

〈突然どうしたの?

小学校一年生から人生を復習(やりなおし)でもするつもり?〉

 

そんな、唐突に長台詞を始めた地下アイドルに対して投げかけられたのは、手厳しい指摘(ツッコミ)だった。

正気を疑っているような口調だが、同時にその声音(こわね)からは雪山で仲間を起こそうとするような、分かりにくい優しさが感じられた。

まあ、それも当然(あたりまえ)かもしれない。

なんと言っても、そんな思いやりや気遣い無しに一大アイドルグループで不動の代表(センター)なんて、出来るわけがないのだから。

 

しかし、

 

「いや、“ボク”に復習なんて出来ないよ。

小学校の記憶なんて無いんだから、勉強のやり直しなんて…」

 

それに更に返されたのは、空気を読まない真剣回答(マジレス)であった。

一見もとい“一聞(いちぶん)”して、無意味で無価値にしか思えない反応(リアクション)

 

しかし、その疑似脳細胞の一片すら用いていなさそうなその言葉こそが、連鎖反応的な発想の飛躍をもたらすこととなる。

 

「そうか、理解だ…!」

 

それは、この"拡張・脳内会議"における決定権(キャスティングボート)の保持者、ボク議長からの発言だった。

 

〈えっ?〉

 

困惑する外部協力者。

その困惑を置き去りにしながらも、話は進む。

 

「理解、表現、伝達、そして共感。

アイドルアピールこそが、唯一の打開法、

先生を『攻略』可能な手段なんだ!」

 

〈そんな馬鹿な……〉

 

呆(あき)れたような反応をよそに、

 

「やろう」

 

議長(ファシリテーター)らしき者が、賛意を示す。

 

「ボク議長、しかし!」

 

「このままじゃ、負ける。

ボクたちの名声と『地位』は地に落ちるだろう。

しかも、それだけじゃない。

この戦いには、アイドル空間の、そして第五階層の未来がかかっているんだ!」

 

と、“群衆”の中ではどんどん話が進んでいった。

そして、

 

「もし、ラクルラールが勝利したら…」

「彼女は、復活してしまうかもしれない」

「第五階層に、アイドル空間にまたあの悪夢が…不自由で楽しさが少ない学園生活の日々が戻ってきてしまう!」

 

それらの声はだんだんと熱を帯びていき…

ついに、外部協力者への感謝を述べる者さえ現れ出した。

 

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