幻想再帰のアリュージョニスト二次創作「コルセスカさん変形する」【togetterでも投稿中】   作:鳳卵

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246話 連鎖する反撃③ その2の92の終わり近くまで

ただし、今のその少女はその外形から予感させるような躍動から、切り離されている。

なぜならば、灰色の霧で形成された薄幕(ヴェール)が、周囲の空間ごと彼女の全身を覆(おお)っているからだ。

時を操る呪術による時空間停滞。

それこそが、その現象の正体。

いかに強大な存在であっても、いかに速き呪文であっても時の流れには基本的に逆らえない。

時間が遅くなれば、その時間軸の上にあるモノも当然遅くなる。

それが、道理と言うものである。

 

だが、しかし…

 

「分かっているはずだ。そんなものは、一時凌(いちじしの)ぎに過ぎん」

 

その言葉と共に、光景自体を巨大な指がつまみ上げた。

指はそのまま、それをまるでただの拾得物(おとしもの)のように持ち上げる。

すると、その周囲に元々切れ込みが入っていたかのような、縦長(タテナガ)の枠がするすると出現。

そしてそのまま“切り取られた”枠が巨大な茶色の“大地”に置かれれば、その近隣(きんりん)に同様(どうよう)の枠が無数に並んでいることが見えてくる。

そこで初めて、類推(るいすい)によってそれらの正体が察(さっ)せられることであろう。

 

カードである。

 

それらのカードは、一つ一つの異なる情景、おそらくこの擬似『浄界』“ラクルラールの無限の九部屋”それぞれの区画から送られているリアルタイムの動画を、端末の画面のように映し出したモノ。

それらを前にして、遊戯者(プレイヤー)ラクルラールは語る。

 

「見ろ。全ての物事は情報として一枚の画面に収(おさ)めて並列に扱い札(カード)にして計算(デジタル)で処理することが出来る。そうだ全てのアイドルいやこの世のあらゆるものは金銭(マネー)であり富と文化的序列を生み出す一つの呪力源(パワーソース)でしかない。現代呪術文明特に呪力網媒体(ネットワーク・メディア)においては全てが暇潰(ひまつぶ)し。かつて人々は書物を選び長時間かけて読解したがやがてそれは念写映画館を選ぶだけの受け身の行為となり自宅でチャンネルを切り替えるだけの長椅子菓子食(カウチポテト)ついにそれが高じて携帯端末での複数配信並列視聴にまで極まった」

 

それに続いて新たな唇が開いて曰く、

 

「貴様がいかに足掻(あが)こうがそれも所詮(しょせん)はそうして流動食のように無限に消費されすぐに飽(あ)きられ使い捨てられる無数の娯楽(コンテンツ)の一ついくらでも代わりがあり交換可能な菓子の一片(チップ)に過ぎん。不健康食品(ジャンクフード)粗雑な雑音(ノイズ)それは効率的な個々の生存戦略にも社会全体の利益にも全く繋(つな)がることはない」

 

そこへ三つ目の口が加わる。

 

「なればこそ貴様は負けるしかない。今すぐ我らの靴を舐(な)めろ。何故なら我々ラクルラールの勝利は揺るぎないのだから」

 

“三人”のラクルラールが卓を山脈のように囲む中、『ラリスキャニア』は、“二人”だけだ。

だが、

 

「部分的に認めましょう。それは一つの真理、一面的には正しい意見です。ですが…」

 

「アイドルは、それだけじゃありません!アイドルはみんなの希望、喜び、そして何よりアイドルは」

 

「「『夢』誰もが平和に幸せになれる『夢』そのものなんです!!」」

 

それでも地下アイドル“たち”は互いを支え合いながら、コンビ打ち(タッグプレイ)で格上の軍団に立ち向かう。

その姿勢(スタンス)は、三重の嘲笑(わらい)を以(もっ)て迎えられた。

 

「面白い」

 

「なら、証明してみせろ!」

 

「私に、いやこの“我々”に勝とうと言うのなら…」

 

そして、“三つ”が斉唱(せいしょう)する。

 

「「「このラクルラールを札決闘(デュエル)で打ち負かしてその妄言を実証してみせろ!出来るものならなぁ!」」」

 

それに対し、

 

「支援者(サポーター)のみんなの分析情報が届いたよ!右端は、話術(トーク)などを駆使した妨害戦術を翻弄して場を制御する『支配札陣(コントロール・デッキ)』左端は、魅力圧力(チャームパワー)や相手の弱点攻撃によって速攻で相手札陣を沈める『圧殺札陣(ビートダウン・デッキ)』そして中央のラクルラールは、高ステータスイケメンや熟練(プロ)美女キャラを基盤として安定した強さを誇る『英傑軍札陣(ビートダウン・デッキ)』だよ!」

 

「左端は、“風”の反撃で札山(デッキ)破壊したからひとまず大丈夫。中央も“部屋部屋”各所での抵抗で妨害している。だから残るは…」

 

「「右端と戦いつつ押し切るだけだね!」」

 

ノリノリな地下アイドル“たち”

しかし、それを座卓の三面から囲む女教師“たち”は、冷ややかに見つめる。

 

「流石に見抜いたかだがだからどうした?」

「我ら三体に勝ち目などあるまい」

 

そして、遊戯者(プレイヤー)ラクルラールたちは、敵陣の主力らしき札(カード)を指し示してかく語る。

 

 

 

 

 

 

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